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極寒で、静かな隔離部屋で落ち込んでいると、さらに奈落の底へと突き落とされそうなメンタルになった時に、葛西監督からの連絡は絶妙な手助けとなった。
ジャンプの酸いも甘いも知り尽くすレジェンド葛西監督と会話をするたびに顔色が良くなり、みるみるうちに元気になっていった小林陵侑。
ノリさん(葛西監督)が心のよりどころとなり、会えるたびに、言葉は少ないがアイコンタクトのみであっても、それはもう充分なのだ。
小林陵侑に金メダルをかけて貰った葛西監督は、カミカゼカサイの異名と欧州で畏敬を得たレジェンドの称号もどこ吹く風、あれは遠く下川町のジャンプ台ではしゃぎまわる子供のような素振りをみせて歓喜に暮れた。
ついにシーズンエンドへ。再開するW杯
小林陵侑はW杯個人総合優勝を目指し、タフなシーズン後半戦を戦う
今週末から再開するW杯は、2月25日(札幌代替個人戦1試合)、26日(団体戦)、27日(個人戦)にフィンランドで名門3連シャンツェとして名高いラハティで開催される。
続いて3月3日のリレハンメル1試合に、5日と6日にオスロ、ホルメンコーレンでのノルウェー連戦となる。
W杯終盤戦へ、さらに個人総合優勝への道と、メダリストがそれぞれしのぎを削り合うタフな闘いとなる。その後にはフライングのオールドファッションな台、オーベルスドルフ(ドイツ)と最終シリーズの巨大なフライング台プラニツァ(スロベニア)が控える。
もちろん五輪メダリストとしての大いなる飛躍が期待できそうなのは、“五輪ノーマルヒル覇者”小林陵侑と“五輪ラージヒル覇者”リンビクだ。そこにイエロービブをキープしているガイガー(ドイツ)や、いくらか鳴りを潜めていたクラフト(オーストリア)、充分にベテランの味をみせたフェットナー(オーストリア)らの強豪選手がどこまで肉薄して、接戦を演じ試合を盛り上げてくれるのかに注目が集まる。
シーズンエンドの3月後半までまったく目が離せない勝負となるのは間違いないだろう。
文・岩瀬 孝文
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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