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スキー コラム 2021年12月1日

北京オリンピックを前に過酷なスケジュールが組まれたモーグルワールドカップ

ブラボー!!モーグル by STEEP
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昨シーズン悔しい総合4位に終わった堀島行真。今シーズンこそ打倒キングスベリーを狙う

昨シーズンはコロナ禍の影響などで全5戦というミニマムな開催に留まったモーグルW杯だが、今シーズンは一転して多くの大会が予定されている。北京五輪(2月に開催)の代表選考の機会をしっかり確保する意味もあり、五輪前(1月下旬まで)に全9戦が行われるという異例のスケジュールが組まれたのだ。

日程 種目 会場
2021/12/4 モーグル ルカ(FIN)
2021/12/11 モーグル イドレ(SWE)
2021/12/12 デュアルモーグル イドレ(SWE)
2021/12/17 モーグル アルプ・デュエズ(FRA)
2021/12/18 デュアルモーグル アルプ・デュエズ(FRA)
2022/1/7 モーグル トレンブラント(CAN)
2022/1/8 モーグル トレンブラント(CAN)
2022/1/13 モーグル ディアバレー(USA)
2022/1/14 モーグル ディアバレー(USA)
2022/1/23 モーグル ヴァルマルンコ(ITA)
2022/2/26 モーグル たざわ湖(JPN)
2022/2/27 デュアルモーグル たざわ湖(JPN)
2022/3/5 モーグル クズネツク (RUS)
2022/3/6 デュアルモーグル クズネツク (RUS)
2022/3/12 デュアルモーグル シムブラック(KAZ)
2022/3/19 モーグル メジェーブ(FRA)
2022/3/20 デュアルモーグル メジェーブ(FRA)

*2021年11月30日現在

今シーズンのW杯、とくに五輪前の2ヶ月間は、五輪の代表枠争い、大舞台に向けた新しい技術を試す予行演習を兼ねる。同時にこの緊張の糸が張り詰めた過密スケジュールは、選手たちにいつもより高い怪我のリスクも背負わせることになる。

なお、五輪のスケジュールは下記のとおりだ。

●2月3日(木)
女子モーグル予選1
男子モーグル予選
●2月5日(土)
男子モーグル予選2
男子モーグル決勝
●2月6日(日)
女子モーグル予選2
女子モーグル決勝

五輪のインターバルを挟んだW杯後半戦は、メダリストにとっては凱旋パレードとなり、メダルをつかめなかった選手にはリベンジのチャンスとなる。後半も大会数が多く、五輪で気持ちが切れてしまう選手も出がちなことから、総合優勝争いは最後まで予想しにくくなりそうだ。

打倒キングスベリーを狙う堀島行真はどうなる? 原大智も復帰!

キングスベリーの不在だった昨季の開幕戦は、堀島とラフォンが優勝。ただし、“密”を避けるために表彰台は設置されなかった

昨シーズンの男子は、絶対王者ミカエル・キングズベリー(CAN)が開幕戦を負傷欠場というまさかの展開からスタートした。その開幕戦で優勝した堀島行真(JPN)だったが、以後のレースで失敗が続き初のW杯制覇はならず、総合4位。結局、常に2番手、3番手のポジションを堅持していたマット・グラハム(AUT)が初の総合優勝、ベンジャミン・キャヴェ(FRA)が総合2位に。初優勝を経験したルドヴィグ・ジャルストロム(SWE)が3位という結果となった。なお、早期にカムバックしたキングスベリーはW杯総合10連覇を果たせなかったものの、世界選手権のMO、DMを含む復帰後の全4戦ですべて優勝することで、北京五輪金メダル候補の筆頭に返り咲き、10度目のW杯総合Vも現実的なものにした。

一方、一歩後退した印象のある堀島もこのままでは終わらないだろう。緩斜面やピッチが細かいコブに弱いという弱点克服を目指したトレーニングを積んでおり、目標として掲げるW杯総合優勝、五輪金メダルに向けて高いモチベーションを維持している。

その点からも、男子は今シーズンもキングスベリー、堀島、そしてグラハム、キャベの4強がW杯総合、五輪の表彰台を争うことになるだろう。そこに変化はなさそうだが、ダークホース的な要注意の存在は何名かいる。

まず、負傷欠場していたウォルター・ウォルバーグ(SWE)だ。大柄な身体で高難度エアを難なくこなす身体能力は“未完の大器”といった雰囲気が十分。ウェブ上に公開されている以前より迫力アップの滑り動画を見る限り、今季は台風の目となる可能性が高い。

もうひとり戻ってくる選手がいる。モーグルと競輪の二刀流をこなす原大智(JPN)である。20年シーズンは欠場、昨シーズンはFISレースに出場もW杯復帰はならなかったため、実質3年ぶりのW杯出場となる。ブランクが長かっただけに、調子を掴むまでに時間を要するかもしれないが、競輪の猛トレーニングで大きくバージョンアップした下半身は大きな武器となるだろう。

また、昨シーズンはイドレでの第2戦で初表彰台(3位)を記録、開幕時点で19歳のニック・ペイジ(USA)もマークしておきたい。この選手はキングスベリー、堀島に続くコーク1440の使い手なのだ。全米選手権で優勝した実績もあり、五輪シーズンのシンデレラボーイとなりうる逸材だ。

川村あんりを筆頭に2000年代生まれの選手たちが時代を変えるのか?

昨シーズン、悪天候で中止となったカザフスタンでの最終戦会場で、総合2位の表彰を受けた川村あんり

“何が起こるかわからない”。

女子を一言で言い表すとこれに尽きる。昨シーズン、世界選手権MOで優勝することで、世界4大タイトルをすべて手中に収めたペリーヌ・ラフォン(FRA)の安定政権が続いているようには見える。

しかし、昨シーズンから地殻変動の兆候は見えていた。まず、目立ったところでは川村あんりの総合2位だ。W杯出場2シーズン目にして、各国の実力者たちを上回る存在となったのだ。伸び盛りの年齢だけに、今やポストラフォンの最右翼だといえる。

そして、川村以外にも2000年代生まれの選手たちが続々と頭角を表している。W杯第5戦ディアバレー大会DMで、当時16歳のカイ・オーエンズ(USA)が初優勝。また、世界選手権DMでは、優勝が18歳のアナスタシア・スミルノワ(RSF)、2位が17歳のビクトリア・ラザレンコ(RSF)、3位がアナスタシヤ・ゴルドバ(KAZ)と、10代の選手が表彰台を独占というサプライズがあったのだ(年齢は当時)。技術的にはラフォンの安定感は群を抜いており、彼女がW杯総合、そして五輪の大本命であることに変わりはない。しかし、想定外の“事件”が起きそうな予感に満ちているのが今シーズンの女子モーグルなのだ。

一戦も目を離せない日本チームのサバイバルレース

平昌五輪及び、'19世界選手権MO、DMの銅メダリストの“二刀流”原大智がW杯に復帰

さて、最後に日本チームについて触れておこう。現状、前述のように男女とも総合優勝争いに日本選手が加わっているという構図がある。堀島、川村が今シーズン、どこまでやれるかというのは、大きな見どころとなる。

一方、もう一つ大注目点となるのが五輪代表枠争いだ。誰が北京五輪に出場するかは、直前まで確定しないのだ。

SAJでは北京五輪への派遣推薦基準を下記のように設けている。

【1】8位以内の成績を1回以上
【2】10位以内の成績を2回以上(2シーズン合計)
【3】12位以内の成績を3回以上(2シーズン合計)

対象となるのは、'21シーズンのW杯、世界選手権と今シーズンのW杯前半戦である。'21季終了の時点で、男子は堀島行真と杉本幸祐、女子は川村、住吉輝紗良、冨高日向子、星野純子が【1】をクリア済みだ。

そして、開幕前の時点で、日本の出場枠は女子が4、男子は2だ。枠は国別のポイントにより変動するため、堀島、杉本以外の男子選手はまず基準をクリアしつつ、枠の拡大を目指すことになる。また、女子の場合、上記4名以外の選手は、基準をクリアするだけではなく、現在のトップ4を戦績的に越えることが五輪出場への最低条件だ。もし、そうした選手が現れた場合、すでに基準をクリアしている選手であっても五輪出場を逃すことになる。

仲がよく、チームメイト同士で切磋琢磨しあうジャパンチームだが、全員が過酷な生存競争の渦中にあるのもまた事実なのだ

上記の理由から今季のW杯前半戦に出場する選手には全員、五輪出場のチャンスがあるのだ。逆に、残酷ながらW杯に出場できない選手は北京への道が途絶えたことになる。現段階で、基準を満たした6選手以外に海外遠征メンバーとして発表されているのは柳本理乃、中尾春香、原大智、松田颯の4名。柳本、松田は過去に8位以内に入った実績がある。中尾は昨季のジュニア世界選手権DMで2位になったニューカマーだ。

文:STEEP

STEEP

スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/

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