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世界選手権選手後に残されているレース数は、GSのみが4レースで、他の3種目はいずれも残り2レースずつ。種目別のランキングに見てみると、タイトルの行方はまだまだ予断を許さないが、スラロームだけは上位3人に絞られている。現在トップのマルコ・シュヴァルツ(オーストリア)とラモン・ツェンホイゼン(スイス)、セバスチャン-フォス・ソールヴォーグ(ノルウェー)だ。ただ、シュヴァルツとツェンホイゼンとの差は146点と大きく、残り2レースでの逆転はかなり難しいといわざるをえない。このままツェンホイゼンが逃げ切れば、もちろん彼にとっての初タイトル。31年間保持していたネイションズカップ(国別対抗)の王座を失っただけでなく、男女を通じてひとつもタイトルを取れなかったオーストリアにとっても、意義のある首位奪還となるだろう。
混戦が続いていた男子スラロームだが、マルコ・シュヴァルツが抜け出しタイトル争いをリード
さて日本チームだが、これまでのところ男子はワールドカップポイント獲得はおろか、誰も2本目に進んでいない。日本の男子選手のワールドカップポイント獲得は、2019年1月の大越龍之介(ウェンゲンのスラロームで22位)が最後だ。このままだと2シーズン連続で無得点という残念な結果になりかねない。おそらく加藤聖五(野沢温泉SC)がバンスコ(ブルガリア)とクラニスカ・ゴーラ(スロヴェニア)でGS3レース、小山陽平(日本体育大学)がクラニスカ・ゴーラのスラローム1レースに出場するだろう。シーズン序盤新型コロナ感染で出遅れた小山は、ようやくコンディションも整ってきて、シュラドミングでは2本目進出まであと0秒12秒差の31位にまで迫った。
小山陽平は1月からワールドカップに参戦。シュラドミングのスラローム第7戦では30位と100分12秒差の31位
年末に腰の痛みで休養を余儀なくされた加藤も、1月末にレースに復帰。GSのFISポイントを更新するなど調子を上げてきた。ワールドカップでの残されたチャンスは数少ないが、シーズン後半のふたりの奮起に期待したい。
腰痛のため3週間の休養を余儀なくされた加藤聖五だが、残るチャンスにワールドカップ初得点をかける
一方、女子では安藤麻(日清医療食品)がスラロームの種目別で現在29位。残り3レースの成績次第で、最終戦出場への可能性がある。最終戦は、通常のワールドカップとは違い、種目別ランキング25位以内という条件のある特別なレース。これをクリアすることがトップレーサーへの大事なステップともいえるだろう。安藤は現在3レース連続でポイントを獲得中で最高位は15位。25位以内というのは、充分に届く可能性がある。
GSでもポイントを獲得している安藤麻だが、今季中盤からスラロームに専念。最終戦出場をめざして残るスラローム3レースを戦う
J SPORTSでは、レンツェルハイド(スイス)で行なわれる最終戦の女子スラロームをライブ中継する予定。日本ではなかなか見ることのできない女子ワールドカップだけに、これは貴重なチャンス。ぜひテレビ画面を通じて、安藤のスラロームを応援しよう。
文・田草川 嘉雄
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