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キングズベリーはW杯通算優勝回数の記録も更新中。第10戦で63勝となった
日本チーム女子は切磋琢磨で大躍進も、堀島以外の男子に不安が残る
次なるテーマは、今季の日本チームである。
まず、特筆すべきは女子の大躍進だ。最高位2位、総合7位でルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた川村あんり、秋田たざわ湖で表彰台に上がった星野純子、総合8位の住吉輝紗良、さらには冨高日向子、伊原遥香、柳本理乃と全6選手が一度は6位以内の入っているのだ。
平昌五輪の代表権を1選手しか得られなかった2シーズン前が嘘のような驚くべき結果だと言える。チームメイト同士が刺激しあい全体のレベルアップが図られるという理想的な環境になっている。女子のチームトータルのポイントは817点とカナダ(688点)を上回り、アメリカ(926点)、フランス(896点)に続く3位なのだから見事と言うほかない。
こうなってくると、俄然面白くなってくるのが来季以降の北京五輪の代表枠争だろう。まだなにも発表されていないが、過去の例で考えると、来季のW杯、世界選手権、'22季のW杯序盤戦が北京五輪代表選考の対象レースとなることが予想される。平昌五輪の際に設定された基準は、「8位以内を1回以内」「10位以内を2回以上」「12位以内を3回以上」であったが、いまの日本チーム女子には、それを楽々とクリアしそうな選手が少なくとも枠(最大4)の数より多いのだ。
MOでスーパーファイナルに1度、DMでセミファイナルに2度進出した住吉
一方、男子はどうだったか? 堀島は2シーズン連続総合2位、優勝3回と誇るべき結果を残した。今季はこれまでより失敗の数が減り、高い確率で表彰台に上がり続けた。明らかにシーズンを追うごとに進化を遂げている。キングズベリーにどんどん迫っている。しかし、迫れば迫るほど、その差が浮き彫りのなっている印象もある。
今季、少ないながらも堀島には上位に入れなかったレースが数戦あり、予選落ちでポイントゼロだったこともあった。その点、キングズベリーは優勝できなかった3レースで、必ず2位に入り80点を確実に獲得している。これこそが2人のなかなか埋まらない差なのである。堀島は、男子ではキングズベリーだけが持つ“完全無欠の安定性”を手に入れるべく、これからのオフシーズンを過ごすことになるのだろう。
一方、気になるのは他の男子選手の低迷だ。序盤戦でルーキーの松田颯がスーパーファイナルに進出するなど目立ったが、年明けの北米ラウンド以降は一気に失速。以後、再浮上することはなく、総合23位に留まった。藤木豪心は負傷でシーズン途中で戦線離脱。杉本幸祐が自己ベストのリザルトを残すなど健闘したが、総合では20位と堀島との差は大きい。
日本チーム男子にとって残る頼みの綱は、セカンドキャリアを視野に日本競輪選手養成所に通い、今季は欠場していた原大智だ。養成所の卒業が決まった原は、来季はモーグル選手としての活動の意志を示している。果たして、1年のブランクをどこまで埋められるか?
さて、ご愛読いただいた当コラムはこれにて終了。来季は、通常通りにW杯が開催されることを願いつつフィニッシュとしたい。
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