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ドラマ多き、W杯秋田たざわ湖大会だった。
まずは2月27日のシングルモーグル。
女子の優勝は、ペリーヌ・ラフォン(フランス)。なんと17歳での初優勝を果たした。過去の女王たちは、ティーンエイジで活躍するケースがほとんど。
「五輪金メダルも世界選手権もW杯グランプリもほしい」
と語る夢いっぱいの新世代女王候補が誕生した。
かつてフランスにはラファエロ・モノ、キャンディス・ギルグといった女王が存在した。そんな'90年代以来の大器だ。たざわ湖大会終了時点で、W杯総合順位も3位。表彰台も獲得できる。
男子の優勝は、絶対王者ミックことミカエル・キングスベリー(カナダ)を振り切ったブラッドリー・ウィルソン(アメリカ)。ミックですら23秒台で滑るコースで、ただひとり決勝で21秒台を連発。圧巻のスピードで、他を圧倒した。
ブラッドリーは'14季に膝靱帯を断裂した。今回はそれ以来の復帰戦だった。過去2回のW杯優勝は、いずれも日本の大会でのものだった。故にあえて復活試合は、
「たざわ湖大会を選んだ」
という。大怪我のブランク後、さらに強くなって帰ってきた。
そして2月28日のデュアルモーグル。
女子の優勝は、デボラ・スカンジオ(スイス)。'03季から出場の大ベテランだ。29歳でのW杯初優勝となった。ちなみに、このたざわ湖大会に出場した選手の中では最年長である。
「どれだけの時間がかかったことか! やっと上り詰めることができた」
という優勝コメントからも感慨深い感情が現れた。
男子の優勝は絶対王者ミックだ。これまでの3戦、優勝から遠ざかっていただけに気合が入った。
しかし、2位となったトーマス・ローリー(アメリカ)、3位表彰台を獲得したベンジャミン・カヴェ(フランス)など、上り調子な選手の勢いが目立った。もはやミックも、”絶対”ではなくなってきている。そんな印象すら抱かせた。
では、日本チームは?
原大智(チームジョックス)が、世界レベルであるのは疑いようがない。シングル戦では、自己最高の4位と表彰台目前。ファイナル1もスーパーファイナルも2番目のタイムと、スピードが際立った。そして今季、8戦目まで全戦決勝進出。これだけの安定感がある選手は、過去の日本チームにはいない。まだ18歳。さらにレベルアップする可能性は十分。表彰台の常連にもなれるはずだ。
早いもので、今週末で今季最終戦だ。
会場は、ロシア・モスクワ。なんとスタジアムの特設バーンでの開催になるのだ。コース長は150m程度、エア台は1つという特別ルールになるという。
思い切った試みだが、これが成功するなら、「W杯モーグル東京大会」なんてことも将来あるのではないだろうか。
男子はミックの総合優勝がたざわ湖で決まったが、女子はクロエとジャスティンの姉妹が9点差の僅差でクリスタルトロフィーを争っている。どんな結末となるのか、見逃せない。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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