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今回のコラムでは、今までのモーグル日本チームの歴史を振り返ってみよう。過去の結果を金字塔的にざっと紹介するにとどめるが、W杯、世界選手権、五輪と、輝かしい成果を残していることに気づいていただけるだろう。
W杯がスタートした‘80年代からコツコツと足跡を残している日本チームだが、世界の舞台で大きな結果を残したという意味では、'90季W杯猪苗代大会で山崎修が9位に入ったというのがスタートだ。そしてモーグルが初めて正式種目となった’92アルベール五輪直後のW杯猪苗代大会では、本間篤史が6位入賞を果たす。
この頃から日本国内ではモーグル熱が高まりつつあり、世界レベルに活躍する日本選手が続々と現れることになる。
‘93季、岩渕隆二がW杯最終戦で3位。日本に初表彰台をもたらした。
原大虎、附田雄剛、三浦豪太、里谷多英などのビッグネームも、この頃から活躍を始めている。
‘94リレハンメル五輪に出場したのは、三浦と里谷だった。特に17歳の里谷が11位と健闘し、日本中から注目された。
そして’96季、世界も驚く快挙が果たされる。W杯の最終戦に初出場した坂本豪大が、なんとW杯初出場初優勝。前代未聞の形で、日本人選手が初めて世界を制したのだ。しかも同大会では、当時16歳だった上村愛子が、やはり初出場で3位表彰台に上がったのだった。
'97季は世界選手権長野大会が開かれ、附田が予選2位になるなど、最高の盛り上がりを見せた。そんな流れの中で迎えたのが’98長野五輪。結果はご存じの通り、「里谷多英・金メダル」である。これは冬季五輪での日本女子初の金メダルとなった。加えて長野五輪では、高校生だった上村がアイドル的な注目を浴びるなか、7位入賞を果たした。
’01季には、上村が新たな歴史を作った。世界選手権ウィスラー大会で3位、W杯総合で2位。3大タイトルの2つで、表彰台に上がる飛躍を見せたのだ。
’02季は、里谷が再奮起。大舞台に強いところを見せて、ソルトレークシティ五輪で銅。五輪2大会連続メダルという偉業を果たした。
’03季は附田が、世界選手権デュアルで2位。男子で初めて世界選手権表彰台を獲得する。’05季は、コーク720を導入した上村が、W杯最終戦優勝、世界選手権モーグル(シングル)4位・デュアル3位と輝きを見せた。
[写真左]’98五輪金、’02五輪銅の里谷多英。五輪メダリストは、日本チームではまだ彼女だけ。しかも2大会連続。永遠に輝く歴史だ
[写真右]’03世界選手権デュアル銀メダル。W杯1勝、表彰台11度。日本チーム男子で、最高の経歴を持つのが附田雄剛だ
’08季~’09季は、長野五輪のあった’98季と同じレベルで、歴史の残るシーズンだったと言えよう。
’08季W杯後半戦、上村が実に5連勝。それによりモーグル日本チーム初となる、W杯総合優勝を成し遂げた。これは今後、再び成されるかどうかわからないほどの大偉業と言っても過言ではないだろう。さらに翌’09季。猪苗代で開催された世界選手権で上村は、シングルもデュアルも圧倒的な差をつけて優勝。地元のビッグイベントを、最高の結果で盛り上げたのだ。加えて同世界選手権では、伊藤みきがシングル4位、デュアル2位。男子でも西伸幸がシングル4位、デュアル2位。日本チームは、表彰台に計3人を乗せるという大成功を果たしたのだった。
’10バンクーバー五輪では、上村が4位とわずかにメダルに届かなかった。だが、遠藤尚が7位、村田愛里咲が8位、19歳コンビが入賞を果たし、新たな芽が活躍し始めた。
’11季には、世界選手権で西が3位。日本史上初となる2大会連続で世界選手権表彰台を獲得した。
[写真左]’08W杯総合優勝を果たした上村愛子。前回のコラムにも書いたが、シーズンチャンピオンというのは真の実力がなければ成りえない
[写真中央]’09世界選手権猪苗代大会デュアルは、上村愛子と伊藤みきのワンツーフィニッシュ。歴史に残るシーンとなった
[写真右]’09世界選手権デュアル銀、’11世界選手権デュアル銅。2大会連続のメダルは、まさしく快挙。西には来季、3大会連続を狙ってほしい
以上が現在まで、モーグル日本チームが勝ちとってきた、主な活躍結果である。今季後半、世界選手権のある来季、そしてソチ五輪のある’14季、・・・。今後もなにが起こるか、ぜひ楽しみにしたい。
さて、話変わって1月28日に行われたW杯の第5戦カルガリー大会。男子はミカエル・キングスバリー(カナダ)、女子はハンナ・カーニー(アメリカ)の完勝。男女とも今季負けなしの5連勝。ハンナに至っては、昨季からの12連勝だ。この2人にとって、もはやライバルは自分自身。ミスしなければ、99%勝つ雰囲気だ。
そんな中、上村が7位と復活の兆し。星野純子が予選10位と決勝の常連になりつつある。さらに遠藤尚は、予選2位。決勝でも3位。上位4人のスーパーファイナルで失敗し、4位ではあったが表彰台が見えてきた。
その上向き調子でぜひ、日本チームこそ、キングとクイーンにストップをかけて欲しい。
Photo / Shin Okamoto
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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