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2011-2012ワールドカップ(W杯)モーグルが開幕。第1戦フィンランド・ルカ、第2戦フランス・メリベル(デュアル)と、シーズン全般を占う序盤戦が終了した。
男子はミカエル・キングスバリー(カナダ)、女子はハンナ・カーニー(アメリカ)が連勝という結果になった。
男子は戦前に予想された3強のうち2人が出場を見合わせる事態に。1人は昨季、W杯総合優勝&世界選手権優勝のギルボー・コラ(フランス)。腰痛で出場を回避した。もうひとりは、バンクーバー五輪金メダルのアレキサンダー・ビロドウ(カナダ)。今季は出場試合を絞る戦略をとっており、この2試合は不出場だった。ショー・カシマらアメリカ勢、アンソニー・べナ(フランス)の健闘もあっぱれだが、19歳のニューキング誕生に向けて一歩前進だ。
女子はまったく、戦前の予想通り。やはりハンナがダントツの実力を見せている。17歳の超新星ジャスティン・デュフォー-ラポイント(カナダ)が、昨季ほどの勢いは感じられないものの、第2戦で準優勝。大物ぶりを見せるが、まだまだ女王とは差がある印象だ。
そんな中、上村愛子がUSセレクションに参加し、日本人トップとなる2位を2度収め、W杯出場資格を得た。今後、突っ走る女王にどう絡んでいくかが注目だ。
ところで、J SPORTSの中継を見て、「あれ?」と思った方も多いのではないだろうか?
それは、“スーパーファイナル”という新システム。従来、シングル戦は予選の上位者が、決勝ラウンドの一発勝負で勝者を決めていた。それが第1戦のルカ大会は、決勝ラウンド上位4名がさらにもう1本を滑り、最終順位を決めるという新システムで行われた。
新システムを好意的に受け止める選手の声もあるが、否定的な意見もある。
例えば、今回の男子に関しては、決勝1stラウンド4位のデニス・ドルゴドゥボノフ(RUS)が失敗し、その時点で残った3人の表彰台がほぼ確定。それを受けて、優勝を目指したべナとカシマが暴走しスコアが伸びないのを見たミカエルが、無難に滑って優勝。結果としてスーパーファイナル自体、やや味気ないものとなった。
今後、このシステムが常用されるかは不確定。ルールまでもが臨機応変でフリースタイル。だが、誰もが納得できるより良い形を構築してほしいものだ。
さて、ここで視点を少し変えて、選手たちがどんなコースを滑っているのか、豆知識を紹介しよう。
コース長は、モーグル(シングル)が235mプラスマイナス35m、デュアルモーグル(デュアル)が200mプラスマイナス50m。斜度は28度プラスマイナス4度だ。標高差はおよそ100m程度。この急斜面にコブが30数個~40数個程度、エア台が2個あり、その中を滑り飛ぶ。スムーズに見えても、コブの1つひとつは身長に近いほどの落差があり、雪面はアイスバーンになることもよくある。だが、固いバーン状況を好む選手たちも多い。
モーグルを見る際には、そんな視点でも見てみると、選手たちの凄さに改めて気づかされるはずだ。
[写真左]ミカエルは王者への階段を上り始めたと言える。2戦とも最高難度、最大の武器であるエアを見せずに勝利
[写真中央]ショー・カシマは日系アメリカ人。今季、自身初表彰台で、しかも2戦連続。25歳で大きくブレイクした
[写真右]フランスのエース、ギルボーに変わり、2戦連続表彰台の上ったベナ。ミカエル、カシマとの3人は、2戦連続同じ顔ぶれの表彰台となった
[写真左]ハンナは現在W杯8連勝。ここまで圧倒的に勝ち続けているのは、史上最多勝利記録を持つドナ・ワインブレット(USA)以来だ
[写真右]昨季のW杯、ノルウェー・ヴォス-ミルクダーレン大会のコース。第2エアからスタート位置を見上げると、緩く見えても斜度は27度もある
[写真]一方、こちらは昨季のW杯スウェーデン・オーレ大会のコース。斜度は28度と平均的だが、コースサイドもカチカチのコンディション。転んだらゴールまで止まらないほどだ
Photo / Shin Okamoto
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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