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歴史的勝利の前哨戦から7週後の再戦。イングランドの雪辱か、フィジーが新たな歴史を創るか。ラグビーワールドカップ2023準々決勝展望
ラグビーレポート by 直江 光信
8月26日に行われたワールドカップ直前の前哨戦は、フィジーが聖地トゥイッケナムでイングランドから初勝利(30-22)を挙げる歴史的なテストマッチとなった。それから7週間。プールC2位で4大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を果たしたフィジーが、プールDを1位で通過したイングランドに、準々決勝でふたたび挑む(日本時間10月16日00時キックオフ@マルセイユ)。
ワールドカップまで1年を切った時点でのヘッドコーチ交代劇に始まり、トレーニングマッチでの低調なパフォーマンスや、SO/CTBオーウェン・ファレルのレッドカード騒動などネガティブな話題が続いた今回のイングランドだが、大会に入ってからはそうした雑音を振り払うような力強い戦いぶりでプールDを全勝で突破した。底力を証明したのはアルゼンチンとの初戦で、開始早々にFLトム・カリーがレッドカードで一発退場になるアクシデントに見舞われながら、強みであるセットピースとキック、ディフェンスに戦術を絞り込み、27-10で完勝。派手さこそないものの最短距離で勝利にアプローチする堅実な試合運びは、続く日本戦でもおおいに威力を発揮した。
ケガや出場停止でなかなかベストメンバーを組めなかったが、陣容もここにきて整いつつある。HOジェイミー・ジョージにLOマロ・イトジェ、FLコートニー・ロウズ、SO/CTBファレル、CTBマヌ・トゥイランギと要のポジションにワールドクラスの実力者が並び、22歳の新星、196センチ、101キロの大型FBフレディー・スチュアードもすっかり主軸に成長。プレーにおけるキックの割合が68パーセントと並外れて高く(他の8強進出7チームの平均は54パーセント)、“退屈なスタイル”と批判を受けることも多いが、型にはまった時の支配力は圧倒的だけに、対戦相手にとっては厄介なチームだろう。
対するフィジーは「同国史上最強」という前評判通りの実力を披露し、2007年のフランス大会以来となるトップ8入りを成し遂げた。ウェールズとの初戦は26-32で敗れたものの、ラストプレーでトライ寸前まで迫る紙一重の惜敗。続くオーストラリアとの第2戦は22-15の最終スコア以上に差を感じる快勝だった。プール最終戦でポルトガルの渾身のチャレンジに23-24と苦杯を喫し、オーストラリアと勝ち点11で並んだ末に直接対決の結果で辛くも2位で通過するという際どい勝ち上がりとなったが、その苦い経験を薬に準々決勝では引き締まったプレーを見せてくれるはずだ。
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