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残り15分を切った場面で、早大の展開ラグビーがさく裂し得点される。点差は5点、ここは京産大もトライを奪って点差を離されたくない。しかし、京産大のオフサイドでPGを決められてしまう。1T1Gでは追いつけない8点差まで離され、絶体絶命。残り10分を切っているが、京産大は最後まで諦めない。
フナキのトライで早大をあと一歩まで追い詰めた
残り5分、相手のダイレクトタッチでチャンスが訪れる。敵陣でのラインアウトから、PR野村三四郎(済4=西陵)が22m内に持ち込みラウシ―に繋ぐ。ラウシ―のビッグゲインから最後にトライを決めたのはフナキ。土壇場で1点差まで詰め寄った。
残り時間2分を切り、両校気迫のプレーを見せる。しかし、京産大が自陣でペナルティを犯してしまう。相手はPGを狙うが右に反れ、そこから京産大は展開していくが、ここで痛恨のノックオン。ホーンが鳴る中でラストワンプレーとなるスクラムを組んだ。しかしここでもペナルティを犯してしまう。そのまま早大が蹴りだしてノーサイド。9度目の挑戦、今回もまたあと一歩届かなかった。
最後の1分1秒まで彼らはひたむきだった。計り知れない努力に裏付けされた自信が、最後までブレずに戦い続けられる原動力だろう。第1列でスクラムと向き合い続けた野村は「しんどいことばかりだった。でも、それがなかったら今ここに立てていないと思う」と言う。苦しい練習を乗り越え、今や監督に「トップレベルの選手」と言わしめるほど成長した。
昨年の帝京大学戦をスタンドで観戦していた高本と渡辺。「来年は絶対に一緒に国立でプレーしよう」と誓いを立てた。それからひたすら努力を重ね、2人で国立の地を踏んだ。「ここで勝つことが目標だったので悔しい。でも、最後まで一緒にラグビー出来てよかった」(高本)。努力することの大切さを体現したかのような2人だった。
この試合の結果を受け、新チームの主軸となるFL三木皓正(済3=京都成章)は「京産の伝統である努力、ひたむきさ、泥臭さというのがあと一歩足りていたらこの1点は埋まっていたと思う。なので、来シーズンは厳しいチームを作っていきたい」と未来を見据え、部を率いていく姿勢を見せた。
試合終了後の記者会見で廣瀬監督は「やはり、また壁を越えられなかったと実感した。4回生は本当に強く引っ張っていってくれて、非常にいいシーズンだった」と試合を振り返った。その壁を超えるには「チャンピオンシップを目指してチャレンジしていくしかない」(廣瀬監督)。
監督自身、現役時代に立ちはだかった大きな壁。京産大は国立で何度も涙を呑んできた。もう涙で国立を濡らすのは今年で終わりだ。来年こそ国立競技場で、笑顔でノーサイドの笛を聞きたい。
文:藤田芽生/写真:出口敬介(京産大アスレチック)
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