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セットプレーは東海大学が優勢
4月に開幕した第11回関東大学春季交流大会のAグループは5月15日(日)、関東大学リーグ戦の強豪同士が激突、現在、4連覇中の東海大学がホームグラウンドで、昨季同3位の大東文化大学と対戦した。
大東文化大学は4月24日(日)の初戦、帝京大学戦はコロナ禍の影響で辞退、先週の5月8日(日)は、明治大学に17-48で敗戦した。一方の東海大学は先週の5月8日(日)、初戦となった早稲田大学戦ではイエローカード3枚を出してしまったが、激しいディフェンスを軸に38-29で勝利した。
大東文化大学は先週から先発はFW(フォワード)1人の変更にとどめた。共同主将でハードタックラーのFL(フランカー)吉瀬航汰(4年)と、共同主将でゲームキャプテンを務めるFB(フルバック)青木拓己(4年)の2人は元気にスターターで出場した。
突破を見せる大東文化大学NO8ヴニランギ
また、昨季から活躍するLO(ロック)佐々木柚樹(2年)、NO8(ナンバーエイト)サイモニ・ヴニランギ(4年)、SH(スクラムハーフ)稲葉聖馬(3年)、SO(スタンドオフ)落和史(4年)のハーフ団、CTB(センター)には戸野部謙(4年)、ハニテリ・フィラトア・ヴァイレア(2年)らが先発した。
東海大学は先週から3人の先発メンバーを替えて試合に臨んだ。キャプテンCTB伊藤峻祐(4年)、先週ハットトリックの活躍を見せた副将NO8井島彰英(4年)が先発。LOアフ・オフィナ(3年)、FLレキマ・ナサミラ(4年)ら留学生もスターターに顔を揃えた。
BK(バックス)にはSO武藤ゆらぎ(3年)、WTB(ウィング)には岡村優太と中川湧眞の2年生コンビ、FBにはランも鋭くタックルも武器とする谷口宜顕(3年)が入った。
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昨季の関東リーグ戦では優勝した東海大学が42-5で勝利しているだけに、東海大学の優勢が予想される試合となった。
先週の反省も踏まえて「試合の入りからディフェンスで前に出ていこう」と臨んだ東海大学は、序盤のピンチも防ぐ。すると前半10分、自陣10mラインからのラインアウトを起点に外までボールを運び、WTB中川がゲインし、最後はフォローしたWTB岡村がトライ、SO武藤のゴールも決まって7-0と先制する。
アタックの起点となった東海大学LOオフィナ
さらに東海大学のペースは続き、21分にはゴール前のスクラムを起点に、LOオフィナがねじ込んでトライ。25分にはラインアウトを起点に、FLナサミラが抜けだしてフォローしたCTB伊藤がトライ。
31分、スクラムのペナルティトライを挟んで、34分にはディフェンスでプレッシャーをかけ、主将CTB伊藤がインターセプトからトライ。38分にはスクラムを起点にWTB中川がトライを挙げた。前半は東海大学が5トライを重ねて、40-0でハーフタイムを迎えた。
後半2分、東海大学HO下江がトライ
後半も先に得点を挙げたのはリードする東海大学だった。2分、モールからHO(フッカー)下江康輔(3年)が押さえて、47-0と大きくリードし、勝負はほぼ決まったかに思われた。
ただ、「後半、点差がついたことで、逆にみんなが開き直ったことでチャレンジできた」とFB青木ゲームキャプテンが振り返ったように、大東文化大学は果敢にアタックで挑んだ。
9分、スクラムを起点に、NO8ヴニランギがゲインし、最後はLO佐々木が中央左にトライ。18分にはラインアウトからSO落が仕掛けてフォローした途中出場のHO西林勇登(3年)がトライ。東海大に2トライを与えてしまったが、攻める姿勢を最後まで貫き後半34分からFB青木、HO西林、途中出場のCTB森淵京也(4年)、WTB小田嶋生吹(3年)とトライを重ねた。
ともに良い点も課題も出た試合となった
終わってみれば東海大学が59-40と勝利したが、後半だけをみれば大東文化大学も6トライを挙げて、40-19と善戦した試合となった。東海大学は連勝で勝点を8に伸ばし、Aグループ2位へ浮上。大東文化大学は勝点を挙げることができなかった。
勝利した東海大学の木村季由監督は「前半は意図してプレーする時間が長かったが、後半、メンバーを大きく入れ替えたところで流れが悪くなって、どんどん相手の勢いに押されるようになり、別の試合を2試合見ているような気持ちになりました。最後、非常に反省点の多い終わり方をした試合だった」と反省しきりだった。
堅実なプレーが光る東海大学のCTB伊藤共同主将
CTB伊藤主将も「前半40分は1人1人も、チームとしてもいいディフェンスができていたが、後半、個々のタックルの質などが原因で組織として乱れる部分が多く、自分たちのペースを失い相手のペースになってしまった。チームとしても個人としてもレベルアップしていきたい」と後半の出来を反省しつつも先を見据えた。
敗戦したものの、後半は素晴らしいアタックを見せた大東文化大学の日下唯志監督は「立ち上がりはセットプレーの乱れやミスで自分たちのリズムで戦うことができなかった。後半は自分たちの戦いができてスコアを重ねられた。立ち上がりから自分たちのリズムで戦えるように改善して次戦に臨みたい」と話した。
アタックを引っ張った大東文化大学FB青木主将
共同主将のFB青木は「チャレンジの気持ち忘れずに、(次戦は)今日の課題を踏まえて前半からいいゲームをしたい」と言えば、共同主将のFL吉瀬は「セットプレーが安定しなかったので、前半は思うように得点が伸びなかった。セットプレーに重きを置いて練習で伸ばしていきたい」と話した。
まだ5月中旬、互いに春季大会2戦目ということで東海大学、大東文化大学ともに良い点も課題も出た試合となったようだ。連勝した東海大学は2週間後の5月29日(日)、再びホームにリーグ戦2位の日本大学を迎える。一方、連敗の大東文化大学は1週間後の22日(日)、関東対抗戦2位の早稲田大学と対戦する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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