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後半2分、レッズはペタイヤのオフロードパスでNO8ハリー・ウィルソンがトライ。14-10とすると、規律を保って反則を減らし、5分、オコナーの内返しのパスを走り込んでキャッチしたWTBフィリポ・ダウングヌが抜け出し、最後はFLアンガス・スコットヤングがトライし、14-17と逆転。10分にオコナーがPGを追加して、14-20とする。
ここからは互いにチャンスを反則やミスでつぶす展開が続いた。スコアが動いたのは、後半35分のことだった。それまで90%を超えるタックル成功率だったレッズの動きがやや鈍る。味方のノックオンしたボールを前にいたオコナーが拾ってしまうオフサイドでブランビーズにPKを与えると、ブランビーズが伝家の宝刀を抜いた。PKからタッチキック、ラインアウトからもモールでトライをきめ、判で押したような3トライ目をあげたのだ。交代出場のFBマッケンジー・ハンセンのゴールは決まらず、19-20の1点差となる。
残り時間は3分ほど。ブランビーズが攻め込むも、レッズの交代出場のFLフレイザー・マクレイトが値千金のジャッカル。反則を誘い、これでほぼ勝敗は決したかと思いきや、レッズがいったんキープしたボールをブランビーズが再獲得して最後の攻撃に出る。PGでも逆転される点差の中で絶対に反則を避けなくてはならないレッズだったが、マクレイトが勢い余ってボール争奪戦で反則を犯してしまう。ボールを出そうとしたブランビーズのSHアイザック・ファインズを倒してしまう反則だった。ヒーローになるはずだったマクレイトの表情が切ない。
レッズの選手たちは天を仰いだ。残り時間はない。40m以上あるPGが入るかどうかで勝敗は決する。重要なPGはトライ後のゴールを外したばかりのハンセンに託された。直前に蹴っていたのが良かったのかもしれない。ハンセンが思い切って足を振り抜くと、ボールはまっすぐゴールポストの間に吸い込まれていった。歓喜のブランビーズ。スコアは、22-20。ブランビーズは4戦全勝(勝ち点18)となり、レッズは今季初黒星(2勝1分1敗、勝ち点11)。キャンベラでの6年ぶりの勝利も手のひらからこぼれ落ちた。
文:村上晃一
【ハイライト】スーパーラグビー2020 オーストラリア 第5節
ブランビーズ vs. レッズ
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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