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ラグビー コラム 2020年7月30日

松井千士は、なぜサントリーを退団したのか。 オリンピック、ラグビーワールドカップへの思いを語る

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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──7月13日にメンバーが集まって、フィットネステストを実施されたようですね。以前、お話を聞いたとき、体重が増えているということでしたが、今はどうですか。

「88㎏くらいです。その体重がまだ体に馴染んでいなくて、フィットネステストではしんどい感じもありましたが、目標の数値は達成できていますので、これを体に馴染ませながら怪我なくやっていきたいです」

──キヤノンというチームの印象はどうですか。

「沢木さんがいるからかもしれませんが、いい緊張感がありますね。僕は、一年間はセブンズに特化しますが、皆さんに理解してもらえて楽しくできています」

──キヤノンに以前から仲の良かった選手はいるのですか。

「大学で一緒にプレーした永富健太郎がいますし、キャプテンになった田村優さんは僕が15人制の日本代表で初キャップをとった時(2015年4月18日、対韓国代表)、一緒にプレーしました。安井龍太さん、小倉順平さんは同期入団になったので仲良くしてもらっています。安井さんはセブンズでも一緒にプレーしたことがあるのですが、小倉さんとは初めて話しました。フレンドリーですぐにチームの輪の中心に入っていける人です」

──キヤノンと、セブンズの活動はどのように両立させるのですか。

「セブンズ日本代表の合宿があるときは、そちらを優先することになります。トップリーグ開幕後も、セブンズのワールドシリーズ出場を優先させてもらいます。もちろん、トップリーグの試合にも出たいのですが、オリンピックでメダルを狙うなら、両立は難しいと思っています。東京オリンピックまではセブンズを追いかけます」

──前回のリオデジャネイロのオリンピックでは、直前にメンバー選考から漏れ、バックアップメンバーとしての帯同でした。その悔しさはあるでしょうね。

「そこは強いです。もし、2016年のオリンピックに出場できていたら、今回の一年延期が決まったとき、一年後も挑戦できたかどうかわかりません。あの悔しさがあったから、すんなりやり切ろうという気になりました」

──ラグビーをする多くの選手が目指すのは、高校、大学、トップリーグの優勝、そして日本代表、RWCだと思います。オリンピックはその中で異質のものです。松井選手にとってはどんな位置づけなのですか。

「代表カテゴリーの中で初めて選ばれたのがセブンズ日本代表でした。その後、15人制日本代表にも選ばれましたが、最初に認められたのはセブンズです。オリンピックはアスリートが目指すもっとも大きな大会だと思いますし、出場できる可能性があり、メダルを獲るかもしれないチームにいられるチャンスは、そうはありません。僕の中でオリンピックはRWCと同じくらい大きなものです。達成してからRWCを目指したいです」

──現在のセブンズ日本代表はどんなチームですか。

「2016年のときもそうだったのですが、正直に言えば、毎大会、好成績をあげているわけではありません。まだ期待されているようなチームではないと思います。昨年、15人制日本代表がRWCで活躍しましたよね。憧れると同時にセブンズのメンバーとして悔しい思いもしました。僕たちは注目選手も多くない。オリンピックで注目される存在になりたいし、尊敬されるようなチームになりたいです」

──福岡堅樹選手がセブンズからの引退を表明しましたね。

「福岡さんとはポジションも同じですし、ライバル視していることをメディアにも取り上げてもらいました。RWCで活躍されたのを見て、あの人に勝ちたいという気持ちが大きくなりました。一緒にプレーしたかったし、学ぶものもあったと思います。でも、医師になる夢に向かって決断されました。同じくオリンピックを断念された桑水流裕策さん、橋野皓介さんも含め、先輩方の気持ちも背負って戦いたいです」

──メダルを獲るために、何をレベルアップさせたいですか。

「ラグビースキル、個人のスピード、フィットネスはもう一段階、二段階高くしないといけないでしょう。まだ、まとまりにも欠けています。セブンズファミリーと言われるくらい、家族のようになろうと話している中ではまだ愛情が足りない。一年延期になって時間ができたので、より一層、チームとしてまとまっていきたいです」

──東京オリンピックでメダルを獲るためにターゲットになるチームはありますか。

「日本代表は開催国枠で参加しますのでベスト4のチームと初戦に当たる可能性が高いです。フィジー、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカあたりですね。環境に慣れているという意味で日本代表のほうが有利なので、初戦に勝って勢いに乗りたいです」

──松井選手自身は、セブンズの選手として4年前と何が変わりましたか。

「リオの後、サントリーに入団してスピードの面でも自信が持てたし、それによってワールドラグビーセブンズシリーズでも活躍することができました。大学生の頃は先輩に引っ張ってもらう存在でしたが、自信がついて前に出て発言することも増え、大会によってキャプテンも任されるようになりました。メンタルの部分は強くなったと思います。ポジションも、主にWTBだったのが、SHもやりますし、FWでスクラムを組んだり、ラインアウトで飛んだり、いろんなポジションでプレーできるようになりました。岩渕健輔ヘッドコーチ(男子セブンズ日本代表)からも『チヒトは、試合に出続けてもらわないといけない』と言われますし、どのポジションもこなせるように取り組んでいます」

──東京オリンピックが終われば、次は2023年の15人制RWCですね。

「2023年に向かってはアピールする期間が短くなりました。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(男子15人制日本代表)も東京オリンピックは見てくれると思うので、強烈なインパクトを与えるようなプレーをし、トップリーグでもアピールしていきたいです」


──最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「まずはオリンピックに出場してメダルを獲るので、応援してもらいたいと思います。帰ってきたら、キヤノンで活躍したいです。ラグビーファンの皆さん、キヤノンファンの皆さん、サントリーファンの皆さん、ぜひ引き続き応援をよろしくお願いします」

──チームは変わっても応援してくれるファンの皆さんがいるのは嬉しいことですね。

「今年になって移籍が多いのですが、SNSでファンの皆さんからたくさんの激励のメッセージをいただいています。何があっても応援してくださるファンの皆さんは、すごく優しいと思いますし、そういう応援があるからこそ、さらに頑張ろうと思えます。感謝しています。これから、キヤノンでしっかり試合に出て、結果を残せるように頑張るので、引き続き応援をお願いします」

すべての質問にハキハキと答える態度に自信とプライドが感じられた。リオデジャネイロ・オリンピックのときは大学生だったが、社会人として経験を積み、セブンズ日本代表ではチームを引っ張るリーダーの一人となった。スピードを落とさず、体重を増やすことにも取り組む。オリンピックからRWCへと目標も明確だ。福岡堅樹がいなくなるのは寂しいが、松井千士はこれから円熟期を迎える。ケンキがいなくても、チヒトがいる。最速のトライゲッターが日本中を熱狂させる日を楽しみに待ちたい。


文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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