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続いて81kg級の佐々木健志(ALSOK)。2020-2021シーズンの国内MVP選手を挙げるとすればまちがいなくこの人。体重無差別の全日本選手権(2020年12月)では81kg級の選手ながらベスト4入りの快挙、準々決勝では体重145キロで同大会3度優勝の王子谷剛志を小内巻込に一本背負投と2度投げつけて講道館に「佐々木旋風」を巻き起こした。4月の全日本選抜体重別も全試合一本勝ちの圧勝。決勝では世界選手権代表に事実上内定していた藤原崇太郎をまったく寄せ付けず腕挫十字固「一本」で勝負を決めている。コロナ禍で国際大会派遣自体がなかったため「実績なし」とされて世界選手権代表には入れなかったのだが、今回はまさにその、待ちに待った国際大会派遣。それもGSパリという晴れ舞台だ。6月の世界選手権を制したカッス(ベルギー)や超大物グリガラシヴィリ(ジョージア)が参戦する今大会で、この1年間国内で見せた異次元級の強さを存分に発揮してもらいたいところ。得意技は背負投、内股、裏投に横車、そして飛び抜けたレベルにある寝技。
100kg級の飯田健太郎(旭化成)は、初代表を務めたブダペスト世界選手権で力を出し切れなかった。優勝候補として騒がれながら、持ち前の内股一発の切れ味を見せられぬまま、予選ラウンドで東京五輪5位のリパルテリアニ(ジョージア)に屈している。五輪金メダリストのウルフアロンが100kg超級転向も示唆する中、飯田に掛かる期待は大きい。「持てば、内股」、その「持てば」の部分のナイーブさの解消が積年の課題。パリ五輪に向けて勝ちまくる、その第一歩にしたい大会。
男子最後の1人は66kg級の田中龍馬(筑波大2年)。4月の全日本選抜体重別では19歳にして優勝という快挙を達成。決勝で藤阪泰恒を仕留めた豪快な浮落「一本」は、阿部・丸山以降がダンゴ状態の66kg級戦線に、それまでの文脈から一段「跳ねる」ニュースターの誕生を予感させた。年齢的に伸び盛り、かつコロナ禍で前後1年間ほぼ試合のない田中は、印象でいえば「高校を出てすぐ選抜優勝」、そして「以後試合がなく、その強さを測る物差しがない」状態。もしこの強さが本物なら、このGSパリも勝ってしまうようなら階級の勢力図がガラリと変わる事態も考えられる。見守るこちらのワクワク感は半端ではない。復活気配のヴィエル(モルドバ)ら強豪揃うこの大会で、ぜひ力を証明してもらいたい。
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