人気ランキング
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
コラム&ブログ一覧
「最後まで外さなかったサングラス」~映画監督と観るデニス・ロッドマンの生涯に迫るドキュメンタリー~
J SPORTSプロデューサーコラム by J SPORTS 編集部国内最大のスポーツテレビ局J SPORTSがお届けする「ドキュメンタリー~The REAL~」。
今回はアメリカのスポーツ専門テレビ局ESPNが2019年に制作・放送した、デニス・ロッドマンの生涯に迫ったドキュメンタリーをお届けする。
ひと足先に、TVディレクター、演出家、映画監督、脚本家として活躍する、岸 善幸氏に本作を視聴していただき、感想を聞いた。本コラムはインタビュー後編。(前編はこちら)
―演出家はサングラスを外させたかったんじゃないかなと思います
劇場でロングインタビューを受けるロッドマン
Q.ロッドマンのインタビューを劇場で撮影している意図はどうお考えですか?
引退した後もバスケットボールと違う話題を提供してきた。そこはまさに劇場でお芝居を見るように、在りたい、演じていたい、評価されたい。ということの演出ではないか。そういうたくらみで劇場にしたんじゃないかなと思う。劇場型社会・犯罪そういう使われ方をしますがロッドマンは劇場型個人というか、そうでないとアイデンティティを保てない。そういう意味でロングインタビューを総括するのに劇場がふさわしいと演出家は感じたんじゃないかなと思う。ひとつだけわからないことがあって。ロッドマンは舞台袖から来るはずが観客席から来る。どういう狙いだったかはちょっと分からない。
想像するならば「ロッドマンを作ったのは観客だぞ」「観客が彼を作ったんだ」「大衆が彼を作ったんだ」と演出したかったのではないか。だから、彼のステージは観客と実は同じ目線で、背中を向けている。それも悪ガキっぽいというかロッドマンらしい気はする。また劇場もすごい。照明も凝っているし。あそこに彼を置いてサングラスを付けたままサングラスから涙は流れてくるんですけど、最後まで外さない。劇場型個人として最後まで全うしているような気はする。演出家はそれでも及第点だと思うし、満足したと思うんですけど、サングラスを外させたかったんじゃないかなと思います。」
―ほんとバスケットボールプレイヤーにしとくのはもったいない
Q.制作側はロッドマンに乗っかったかたち?
すごく乗っかってると思います。それが監督のこの番組を作る上での旅・プロセスだったと思う。乗っかることで人間の業なり、個性みたいなものを提示しようと彼は考えたと思う。
それはロッドマンの方が一枚上手だったと思う。体験していることが常人の非じゃない。あれだけの経験をしてきて娘さんや子供たちに悲惨な体験もさせてしまったかもしれない。
でも「しょうがない」みたいな。「わからない」みたいな。その業の深さはすばらしいとしか言いようがない。
はっきり関係者が言ってますけど「モテない」「お金がない」でもそれが数年後スタープレイヤーになる。普通転落していくだろう…みたいな図式が予定調和なドキュメンタリーや映画作品にはある。(今回の作品は)その予定調和が観客とか視聴者が許せる範囲を超えている。だから面白い。「え。そんなに悲惨なの?」ってNBAで殿堂入りした時に家族は喜んでいた。でも、会いに行ってない。あの辺の駄目さというか業の深さ、人間らしさが際立っている。ほんとバスケットボールプレイヤーにしとくのはもったいない。良いキャラクターをしている。
―良くも悪くもこれが「デニス・ロッドマン」
原題タイトル
Q.原題は「FOR BETTER OR WORSE(良くも悪くも)」。これについてはどう思いますか?
僕が思うのは所詮「ロッドマン」は「ロッドマン」良い部分も悪い部分もこれだけ人間をさらけだしてるんだから良くても悪くても所詮「ロッドマン」という意味合いかなとは思う。
Q.良くも悪くも人生っていう表現がありますよね?これを視聴者に伝えたい?
「人生って良くも悪くもあるよ」は一般的な使われ方。良くても悪くても「ロッドマン」って考え方すると。北朝鮮に彼が行って、「何やってるんだ」ってアメリカ国民が思う。思ってるんだけど彼のおかげで拘束されていたアメリカ人は解放されていった。検証してないんで。番組をそのまま信じられないですけどジャーナリストが言うには、北朝鮮に4回行ったことで米朝首脳会談が行われてた。「北朝鮮になにしにいってんねん」っていう悪い評価、でもその行為が拘束された同胞を助ける結果になった。首脳同士が会談をする結果に。彼の悪い面と良い面で帳尻合わせができている。そんな気もする。良くも悪くもこれが「デニス・ロッドマン」と意味合いで受け止めると良いタイトルだなと思いますけど。
岸 善幸(きし よしゆき)
TVディレクター、演出家として数多くのバラエティー、ドキュメンタリー番組を手掛け、数々の放送賞を受賞。また、映画監督、脚本家として「二重生活(2016年公開)」、「あゝ、荒野(2017年公開)」を制作。次回作は今冬クラインクイン(予定)。
ドキュメンタリー~The REAL~【NBAデニス・ロッドマン特集】~スーパースターか悪童か~
前編:9月13日(日) 午後11時~ J SPORTS 3
後編:9月27日(日) 午後11時~ J SPORTS 3
※J SPORTSオンデマンドでも配信
構成:J SPORTSスタッフ
J SPORTS 編集部
あわせて読みたい
-
ピックアップ コラム
-
ピックアップ コラム
-
サイクル ロードレース コラム
「仕事がない…コロナ連休と思うようにした!」安田大サーカス 団長 安田は今 困難突破トーク 団長 安田×白戸太朗×平井康翔
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
7月6日 午後2:00〜
-
【第53回大会 開催直前SP!】第52回全日本スカッシュ選手権大会(2023年) 選手権男子 決勝
11月9日 午後5:00〜
-
【第53回大会 開催直前SP!】第52回全日本スカッシュ選手権大会(2023年) 選手権女子 決勝
11月9日 午後5:00〜
-
10月7日 午後8:25〜
-
IFSC クライミングワールドカップ 2024 リード 第6戦 男女決勝 ソウル(韓国)
10月6日 午後7:45〜
-
IFSC クライミングワールドカップ 2024 リード 第5戦 男女決勝 コペル(スロベニア)
9月7日 深夜2:45〜
-
9月17日 午後9:00〜
J SPORTSで
ピックアップを応援しよう!