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ピックアップ コラム 2019年3月25日

81kg級新王者モラエイが戴冠後初試合、女子は57kg級にパヴィアが復帰・グランドスラムアブダビ大会

柔×コラム by 古田 英毅
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IJFワールドツアー年間最大イベントである世界選手権終了後、最初のグランドスラム大会であるグランドスラム・アブダビ大会が今週末、27日(土)から3日間の日程で開催される。J SPORTSではこの模様をダイジェストで放送する。

今年は世界選手権が例年より1月遅れて9月下旬に開催。このアブダビ大会までは1か月ほどしか間がなく、年末に控えるまとめの東アジアシリーズ(グランドスラム大阪~東京国際合宿~ワールドマスターズ広州)の開幕まで4週間、その間に中央アジアでグランプリ・タシケント(11/9~11)、ヨーロッパでグランプリ・ハーグ(11/16~18)が挟まれるというハードスケジュール。当然選手も分散せざるを得なくなり、エントリーの時点で参加者372名があるものの(タシケント大会410名、ハーグ大会は474名)、強豪の参加は少なく、グランドスラム大会としては少々寂しい陣容。

男子の注目選手はまずサイード・モラエイ(イラン)。史上に残る激戦となったバクー世界選手権の81kg級で金メダルを獲得し、これが王者として臨む初試合である。81kg級は昨年階級ほぼ唯一の軸であった永瀬貴規が負傷でリタイア、以降誰もが「やれる」とばかりに実力を上げ、大会ごとに上位陣が丸ごと入れ替わるレベルの大混戦が1年間打ち続いた。モラエイはその最終勝者になったわけだが、この大会はモラエイがこれから永瀬のような「軸」になれるかどうかの最初のハードル。世界選手権開始時点で優勝候補20人とまで評された攪拌状態になんらか背骨が入る可能性があるのかどうか、その戦いぶりに注目したい。得意技は肩車に背負投、相手に攻撃を強いておいての隅落。

サイード・モラエイ選手

サイード・モラエイ選手

もう1人、90kg級のミハエル・イゴルニコフ(ロシア)にも注目したい。世界選手権に優勝候補の筆頭として乗り込みながら3回戦で優勝したニコロス・シェラザディシヴィリ(スペイン)に苦杯。実力は間違いなく王者レベルだが勝つべきときに勝つことこそ強者の条件、これまで「旬」を逃したために意外に伸び切れなかった選手は枚挙に暇がない。このまま群雄割拠の90kg級の強豪の一として埋没していくのか、あの敗戦を「アクシデント」に押し込めるだけの光を放つのか。この「事故後初試合」が非常に大事。

階級として注目したいのはこの90kg級に毎度レベルが高い60kg級、そして敢えて挙げておきたいのが100kg超級。一見参加者は地味だが、ロシアがタメルラン・バシャエフとイナル・タソエフの次代のエース候補2人を同時派遣しているのだ。ロシアは最近最重量級の若手の「当たり」が続いており、世界ジュニアを連覇中。2016年の王者がバシャエフ、2017年の王者がタソエフだ。バシャエフは今年の欧州選手権で2位、タソエフはロシアの「エリート街道」である世界選手権団体戦に起用されて個人戦2位のウシャンギ・コカウリを倒すなど既にメダルクラスの強豪と伍して戦っている。東京五輪で間違いなく上位に入ってくるロシア勢、誰が一番手を張るのか。直接対決が組まれたこの大会は大きな分水嶺になり得る。

男子の話題をもう1つ。3月にUAE移籍が報じられた66kg級のダヴァドルジ・ツムルフレグ、81kg級のニャムスレン・ダグワスレン、100kg超級のバトトルガ・テムーレンの3人は今大会がお披露目になるかと思いきや、1次エントリーでは変わらずモンゴル所属。心変わりか、それとも何か事情があるのか。ドロー後の情報を待ちたいところ。

女子の注目選手はオトーヌ・パヴィア(フランス)とマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)。

パヴィア選手

パヴィア選手

パヴィアはリオデジャネイロ五輪後結婚と出産のため長期休養を宣言、長らく畳から離れていたが、 今大会で2年2ヶ月ぶりとなるワールドツアー復帰。あの遠間からの足技とパワーあふれる腰技は健在か、まずは現時点での力をしっかり見極めたい。57kg級はこれでパヴィアと松本薫が復帰、テルマ・モンテイロ(ポルトガル)ら北京-ロンドン期の主役を張った強者たちもいまだことごとく健在で、退くもののないまま次々強者が溜まり続ける状況。

ケルメンディはリオデジャネイロ五輪でも金メダルを獲得した52kg級の絶対王者。首の負傷との情報で2017年ブダペスト世界選手権以来試合に姿を現していなかったが、このアブダビからいよいよ復帰の模様。あの豪快な腰技が再びみられるかどうか、注目したい。

注目階級は48kg級。彗星のごとく現れた新人ダリア・ビロディドの独り勝ちを許しつつある状況だが、今大会にはリオ五輪金メダリストのパウラ・パレト(アルゼンチン)にもと世界王者ムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)、五輪から3年連続で世界銅メダル獲得中のガルバドラフ・オトゴンツェツェグ(カザフスタン)の強者3人が顔を揃えた。対ビロディドの一番手は誰か、久々勢力図大きく塗り替わった「2018年世界選手権以後」の48kg級世界が、いよいよこの大会から動き始める。

※10月22日時点でのエントリー情報に基づいて作成しています

古田 英毅

「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。

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