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モータースポーツ コラム 2026年9月29日

SUGO戦2連勝を達成!進化した”足元”が戦いの支えに

SUPER GT by 島村 元子
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第6戦 GT300クラス決勝

台風25号の影響に伴い、終始不安定な天候となったSUPER GT第6戦SUGO。散発的に霧雨が降る難しい天候ながら、予選、決勝ともにドライタイヤでのレースが可能となった。GT300クラスでは、No.60 Syntium LMcorsa LC500 GTがチーム初となるポール・トゥ・ウィンを達成。チェッカーフラッグを受けた河野駿佑は、チームと、クルマの足元を支えるダンロップタイヤとの連携が今回の勝利をもたらしたとレース後に振り返っている。

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60号車は、前戦の鈴鹿で予選4位を獲得。着実にポジションアップを果たして2位を走行していたが、チェッカーまで残り6周と迫るなかで右フロントタイヤにトラブルが発生。タイヤ交換を強いられ、それまでの努力が水泡に帰した。

「去年は2位ゴールながら失格(最低重量違反)で、今年は2位を走っていてタイヤトラブル。僕らのクルマは鈴鹿とSUGOが得意となる、その初戦である鈴鹿で高得点を! と思っていたから悔しさでいっぱいでしたね。だからこそ、SUGOで勝つしかないと。SUGOは去年も優勝していますが、ダンロップさんと相談するなかで『去年勝ったタイヤでは、今年は勝てないだろう』と結論づけ、まったく別のタイヤをSUGOに持ち込むことになりました」。

今シーズン、GT300クラスには、60号車が装着するダンロップをはじめ、ヨコハマ、ブリヂストン、ミシュランとタイヤメーカー4社が参戦している。一方で、SUPER GTでは2027シーズンからタイヤがワンメイク化され、ダンロップはGT300クラスのオフィシャルタイヤサプライヤーとなることがすでに決まっている。

「今年がマルチメイク最後の年ですが、『だからこそ、結果を残したい』と開発をどんどん進めてくださっています。タイヤトラブルも何回かあったんですが、そのなかでも進化の部分をすごく感じています。だからこそ、苦しい結果になっても『また次がんばろう』という気持ちでやれています」。

鈴鹿でのリベンジとばかり、実績あるタイヤに依存するのではなく、新たに開発したタイヤを持ち込んだチームだったが、予選日朝の公式練習での第一印象は決して良いものではなく、河野は苦戦すると感じ取った。コンビを組む吉本大樹も同じようなフィーリングであり、チームでは予選に向けて改善を迫られる。

ちなみに、ベテランエンジニアである父・高男氏の下でエンジニアリングを学び、現在は別のカテゴリーでトラックエンジニアとしても活躍する河野。「エンジニア視点」でフィードバックをするかと思いきや、自身がステアリングを握るときはそれを封印。ドライバーとして集中し、的確にコメントできるよう、腐心しているそうだ。

予選に向けてセットアップを見直すなか、Q1、Q2の担当を決めるにあたり、今回は珍しく吉本が「Q2をやらせてくれ」と志願。実のところ、吉本には”やり残し”があった。

昨年、60号車は鈴鹿での悔しさを胸にSUGOで予選2位を獲得、レースで逆転勝利している。だが、このとき、Q2担当の吉本は0.019秒差でポールポジションを逃していた。

よって、今年も河野がQ1・A組を担当してトップ通過を果たす。

「クルマのバランスが公式練習に比べてとても良くなっていました。ただ、まだ詰められそうなところがあったので、Q2に向けて微調整しました」。

吉本もこの流れを生かし、速さに定評のあるNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)を0.099秒上回ってQ2のトップタイムを刻み、2年越しでポールポジションを獲得する。これは、通算10勝を誇るベテラン吉本にとって念願の初ポールであり、チームとしても初の”勲章”だった。

「チームと僕らドライバー、そしてダンロップさんとでポールを獲れるクルマを作り上げられたことがうれしかったですね。みんながやってきたことが正しかったと証明されました」。

申し分のない予選を終えた60号車だが、決勝を控えるなかで不安要素は大きかった。一番は天候。決勝直前、降雨によって路面がまだ濡れていたため、ラップタイムは大きく落ちており、持ち込みのウエットタイヤに期待するのは正直難しい状況だった。

だが、幸いにも天気が回復。スタート直前にはウエットパッチがまだ残っていたが、全車がドライタイヤでスタートを切った。スタートを担った吉本は、FCY(フルコースイエロー)やSC(セーフティカー)の導入という展開にも動じず、トップのまま35周を終えたところでピットイン。いよいよ河野がコースへと向かう。

吉本から受け取ったポジションを死守するのみ__という気持ちで走り始めたが、まさかの好敵手が出現。タイヤ無交換を敢行したNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/木村偉織)が先行し、約8秒先を走っていた。

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河野によれば、「レインボーコーナーを立ち上ってバックストレッチを走っているときに、相手が馬の背コーナーを曲がっていくくらい」の差になるという。

普段から、レース中はコース上を走るトップ10の車両の動きをほぼ把握しているという河野。今回もピット作業を済ませてコースに戻る車両のことも頭に入っていた。ミスなくピット作業を済ませてコースに復帰したにもかかわらず、予選でQ1敗退となった56号車に先行されるのは想定外だった。

とはいえ、56号車にとっても、タイヤ無交換の戦略は一種のギャンブルだったようだ。終盤はタイヤマネージメントが難しく、GT500クラスでも優勝経験があるオリベイラですらマシンコントロールに手を焼いて他車と接触し、コースアウトを招く。

前周回、約0.6秒差でオリベイラに迫っていた河野はこれを好機に逆転し、クラストップを奪還した。河野もまた、思った以上にタイヤのグリップ力が低下してセーブする走りを求められていたというが、根気よく56号車にプレッシャーをかけ続けるなかでコース上のさまざまな条件も味方した。

クラストップに立ってからは、鈴鹿でのアクシデントも頭をよぎり、タイヤのマネージメントばかりが気になったと苦笑。

「レースって、シンプルに走ること以外のことが気になると時間が長く感じるんです。今回もダンロップさんの努力に報いるために、なんとしてもトップチェッカーを受けたいと思って走っていましたが、いやぁ長かった」。

60号車は今シーズン全戦でQ2に進出し、シングルポジションのグリッドを手にしている。だが、決勝になると苦戦。ベストリザルトは開幕戦の10位だったが、SUGOでついに優勝を果たした。

昨年も鈴鹿での苦い気持ちを払拭するように勝利し、そして今年も悔しさをバネに表彰台の真ん中へ立った。鈴鹿のリベンジはSUGOで ──。2年連続の快勝を弾みにタイトル争いにも加わることになった60号車。残り3戦の戦いにも注目したい。

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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