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モーター スポーツ コラム 2022年10月21日

大ピンチからの、大逆転。変わり始めたGT500王座争いの“流れ”

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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こうして、予選で失いかけた流れを取り戻した17号車陣営は、決勝レースでさらなる飛躍を見せた。

前日の予選と同様に、ボンネットは未塗装のまま。気がつくとチーム関係者の間では「Astemo NSX-GT Black Edition」と名付けられていた。

4番手からスタートした17号車は、前半スティントを松下が担当し、抜きどころが少ないオートポリスで確実にチャンスを見つけて、3番手に浮上した。さらに23周目のピットストップではチームのメカニックがここでも大活躍。迅速に作業を済ませて、一気にトップに躍り出ることとなったのだ。

後半スティントを担当した塚越は、序盤こそ後続に詰め寄られる場面があったが、徐々にペースを掴んでいき、リードを広げていった。残り10周を迎えるころには独走状態となっていたが、最後まで気を緩めずに走りきり、今シーズン初優勝をマークした。

前日のクラッシュという大ピンチを乗り越え、大逆転を果たした瞬間だった。

チェッカーの瞬間、チームクルーは喜びを爆発させた。

レース後、パルクフェルメから帰ってきた17号車の前で、自らのスマホを取り出して、記念撮影をする17号車メカニックたちの姿があった。それを見つめる金石監督は「この週末は、あのクラッシュから時間通りにメカニックたちがクルマを直してくれたことに尽きると思います。本当に感謝です。これでメカニックを始め、チームのみんなも嬉しいでしょうし、これが自信になったと思います。だいぶ強いチームになってきたなという感じがしました」と、笑顔で語っていたのが印象的だった。

これで、日産勢の争いになるかと思われていた今季のチャンピオン争いに、土壇場でホンダ勢が加わることとなった。第7戦を終えたランキングを整理すると、No.3 CRAFTSPORT MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が58ポイントでトップ、No.12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バケット)が2.5ポイント差で2番手、そして17号車の塚越広大/松下信治組が4ポイント差の3番手につけた。

繰り返しにはなるが、今季はずっと日産勢が優勢と言われてきたなかで、最終戦につながる重要な1戦を17号車が劇的な形で制した。ここで生じた“新たな流れ”が、最終決戦での勝敗を左右する鍵のひとつになるのではないかと感じている。SUPER GTは、ドライバー、チーム、マシン、タイヤなど、全ての要素が最高な状態で揃わないと勝利につなげることが難しいのだが、特にチャンピオン争いに関しては“流れ”というのも、少なからず大事な要素となってくる。

そういう意味で、この第7戦の17号車の奮闘ぶりが、どこまで流れを呼び込むことができたのか。最終戦でのGT500王座争いが、ますます楽しみになってきた。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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