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コース上では、GT300クラスの予選Q1が始まっていたが、頭の片隅では17号車のことが気になって仕方がなかった。
そして、GT300のA組、B組のQ1が終了した直後、各パーツが装着され、最後にタイヤが取り付けられようとしている17号車が公式映像に映し出された。まさに、GT500のQ1開始5分前のことだった。
しかし、チームもマシンの修復が手一杯で、マシンセッティングのことまでは手が回らなかった。17号社担当の田坂エンジニアによると、特にフロント周りのアライメントはチェックできずに、“午前のまま"でマシンを送り出すことになったという。Q1が終わった後に定盤を使ってチェックをすると、かなり狂っていたとのこと。そういった完璧ではない状態のなかで、チームが繋いでくれたチャンスを大きくする働きをみせたのが、午前中にクラッシュを喫してしまった、松下本人だった。
「『(クラッシュで)流れを崩してしまったな』という感じはありましたが、(『これくらい絶対に直してやるから、走りに集中して、何も気にせず待っていてくれ』とメカニックさんに言われて…ものすごく嬉しかったし『信じてくれているんだ』というの感じました」
「ドライバーはクラッシュしてしまうと、次に思い切って行けなくなってしまいがちで、そことのせめぎ合いでしたけど、何とかQ1を突破することができました」
松下 信治
松下は見事、Q1を8番手で通過。Q2では先輩の塚越広大が見事な走りをみせて4番グリッドを手にした。
もし、マシンの修復が間に合わず、予選に出走できなかったら……。そんなことを考えながら、金石勝智監督は、このように語る。
「もし、これでQ1を走れなかったら……嘆願書を書くところから始まるので、それだけで気が滅入ってしまいます。でも、あの状況のなかで、時間どおりに直してくれたメカニックと、良い走りをしてくれたドライバーたちに感謝です」
まさに、このオートポリス大会だけでなく、シーズンのチャンピオン争いに残れるか否かがかかった大一番。そこで予選前にクラッシュという“大ピンチ"を乗り越えた17号車メンバー。予選Q2を終えた後、翌日に向けたセットアップを進める各チームをよそに、17号車のメカニックたちは、ピット裏のテント内に設置されたテーブルを囲んで、数時間遅れの“昼食タイム"をとっていた。そのメカニックたちに寄り添う松下。まさに、チームの絆がより一層深まった瞬間のように見えた。
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