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この遅れを取り戻すべく23号車の松田も必死にペースを上げたが、逃げる3号車の高星も、雨が再び降り始めていることを考慮し、リスクを背負わない確実な走りを徹底。最終的に9.1秒差まで迫られたが、そのまま逃げ切った3号車が今季2勝目をマークした。
レース後のパルクフェルメで歓喜する千代と高星。その一方で、23号車の松田とクインタレッリの表情は悔しさに満ち溢れていた。
「本当に悔しいレースでした。でも、仕方ないです。あの1回のピットが命取りとなりました。(44周目のアクシデントを見て)僕たちはあそこでFCYが入ると思ってピットインしたんですけど、結果的にFCYが出ませんでした。それが誤算でした。FCYが入らなければ、そのまま走り続けるつもりだったので……」(松田)
悲喜交々の結末となった第6戦SUGOだが、総じて振り返ると、雨の中でも日産の新型Z陣営の強さがとにかく光った。3号車と23号車のワンツーフィニッシュはもちろんのこと、今回ランキングトップで臨んだNo.12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バケット)も、14番手スタートから、目まぐるしく変わる天候に上手く対応していき、5位フィニッシュを獲得。今回は89kgで燃料リストリクター制限も一番厳しいステージ3だったのだが、その中で6ポイントを獲得できたというのは、大きな意味を持つだろう。
終わってみれば、GT500クラスのランキングトップ3は日産勢が占めることとなった。なかでも、瞬時の判断で勝利を呼び込み、結果として再びランキング首位を取り戻すことになった3号車にとっては、残り2戦に向けて勢いをつける1戦になったことは間違いないはずだ。
ここにきて頭ひとつ抜けた感のある日産勢に対して、トヨタ、ホンダのライバル陣営はどう挑んでいくのか。残り2戦……ますます目が離せない。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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