韓国でのフォーミュラE 最終戦で思ったこと。～日本ではどうなるのか！？～

フォーミュラE初開催となった韓国。コースの一部がオリンピックスタジアム内に設けられた。

「それは、何かね？レース？自動車レース…？それが公道を走って良いかって？普通の自動車は公道を走っても構わないよ。そのフォーミュラ何とか、は乗用車かね？」
「フォーミュラ・ワンです」

電話の向こうの警察官さんは、自動車レースのことをほとんどご存じなかった。

「ほぉ〜。海外ではそんなに盛んかね？国として、そのグランプリということを推し進めるのであれば、警察としては交通規制や警備を司らなければならない…」

「そのフォーミュラというのは、音はうるさいのかね？えっ、大きい？それはダメだな…」

何十年も前のお話です。今はもう廃刊になってしまった男性雑誌の企画。誌上で東京、皇居の外周でF1グランプリを開催するという仮想のイベントをぶち上げた。ボクは、警視庁の交通担当の部署に電話取材をするという役目で警視庁に電話をした。それが、以上のようなやり取りだったと記憶している。

先週末開催された2021／2022 Formula Eシーズン8の最終イベント（第15戦－16戦）が終了し、日本でもお馴染みのストフェル・バンドーン選手がチャンピオンに輝いた。そのイベントは韓国の首都・ソウルのオリンピックスタジアムの中に特設コースの一部を引き込んで設定し、プラススタジアム周辺の公道をクローズして開催された。オリンピックスタジアム内のコースは決して十分なコース幅とは言えなかったけれど、アスファルトを敷き詰めてコースが作られており、俯瞰で見ると陸上競技のトラックが見えた。

このイベントを視察していた日本の某大手代理店のモータースポーツ担当の方がSNSで「現役稼働中の施設を使うのはなかなか難しいはず、主催者の努力が忍ばれる。日本だとどこでできるだろうか」と呟いていた。

韓国では、銀行が冠スポンサーとなっていた。開催の準備には、設営には莫大な資金が必要だったはず。そして、オリンピックスタジアムにレーシングコースを造ってしまうという大胆な発想には大拍手を送りたい。“お金”の問題だけではなくて、政治的な力を使わなくては、実現に漕ぎ着ける事もできなかっただろうと推察する。

さあ、日本ではどうだろう。何年も前の経験。そして近年にお台場の公道で数キロのレーシングカーの走行を実施したけれど、警察関係とのやりとりは大変だったのを思い出す。ましてや、国立競技場内にアスファルトのレースングコースを造ることはボクが生きている間には実現できないのではと思った。

文：高橋 二朗