【フォーミュラE第11＆12戦・ニューヨーク：プレビュー】伏兵モルタラが首位に立ち、NYCの連戦へ！

前回大会で勝利したエドアルド・モルタラ

電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」。シーズン8（2021年〜2022年）はアフリカ大陸のモロッコからアメリカ、ニューヨークへ。第11戦、第12戦の舞台はすっかりお馴染みとなったニューヨークのブルックリン市街地コースです。「J SPORTS」では第11戦、第12戦の模様を放送。今回はそのプレビューをお届けします。

さて、前戦のマラケシュ（モロッコ）でのレースはエドアルド・モルタラ（ヴェンチュリ）が今季3度目の優勝をマーク。メルセデスのパワートレインを使用する、いわばサテライトチームのドライバーが王者メルセデスを上回り、なんとランキング首位に立ちました。

今季、「ヴェンチュリ」はコンスタントにポイントを稼いでおり、エドアルド・モルタラ（ヴェンチュリ）とベテランのルーカス・ディグラッシ（ヴェンチュリ）が非常に良い仕事をしており、チームランキングでも首位を獲得。シリーズ発足当初はテールエンダーに近かったチームがなんとチャンピオン争いを展開するまでに成長してきました。自動車メーカーワークスチームも居る中で、これはなかなか凄い事だと思います。

ジャカルタで躍進したかつてのチャンピオンチーム「DSテチータ」もマラケシュでは好調をキープ。アントニオ・フェリックス・ダコスタ（DSテチータ）がマラケシュではポールポジションを獲得し、決勝では2位フィニッシュ。チームとしてはランキング2位につけています。

一方、フルワークスの「メルセデス」はそれまでランキング首位だったストフェル・バンドーン（メルセデス）、ニック・デ・ブリース（メルセデス）共に表彰台に立てず。特にバンドーンは安定してポイントを稼いではいるのですが、早くさらなる勝利が欲しいところです。

さて、今回の舞台はニューヨークのブルックリン市街地コース。毎回2レース制で過去4回開催されていますが、昨年の開催時にレイアウトは若干変更されています。ニューヨークで最も優勝しているのはサム・バード（ジャガー）で、過去3勝をマークしています。しかし、今季のサム・バード（ジャガー）は今季3勝しているミッチ・エバンス（ジャガー）とは対照的に一度も表彰台に立てていない苦しいシーズンを過ごしています。

コースレイアウト | ニューヨーク

過去のウイナーとしてはマキシミリアン・ギュンター（ニッサン）、セバスチャン・ブエミ（ニッサン）、ロビン・フラインス（エンヴィジョン）、ルーカス・ディグラッシ（ヴェンチュリ）、ジャン・エリック・ベルニュ（DSテチータ）がいますが、特にベルニュはチームが最強だった時代に優勝していますので、ここニューヨークで勝利を期待したいところですね。

さて、ニューヨークではランキング首位に立ったエドアルド・モルタラ（ヴェンチュリ）がその地位を防衛できるかというところが注目点となりますが、モルタラは「選手権はまだ長く、6レースも残っている。去年、僕がランキング首位になったことがあったけど、予選方式が違う今年は全く状況が異なるんだ。シリーズランキング首位のドライバーはどのレースでも予選で前に行けるようにチャレンジしなくてはいけないんだ。だから、とても先が長いと感じるシーズンだよ」と語りました。

今季、ベルリンで2度のポールポジションを獲得し、シーズン3勝を飾っているモルタラはニューヨークのコースは自分たちにマッチしており、今後の3ラウンドでは「ニューヨークとロンドンで良いデータを持っている」と自信を見せています。

かつてF3時代にはマカオGPで活躍し、その後もマカオで開催されるGTカーレースで優勝請負人として重宝されたストリートマイスター、モルタラがニューヨークでさらなる勝利をマークできるか注目です。

文：辻野ヒロシ