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モーター スポーツ コラム 2020年12月16日

2020スーパーフォーミュラ第5・6戦レビュー| 鈴鹿ダブルヘッダーで誕生した新たなヒーロー

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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福住と比べるとペースは決して良くなかった大湯。何度も並びかけられそうになるが、必死に歯を食いしばってトップの座を守り、最後は0.4秒差で逃げ切ってトップチェッカーを受けた。

「第5戦の後も夜眠れないくらい色んなことを考えていました。克服したというよりは、これまでのことを色々復習したりとか、第6戦ではどこをどう気をつければいいか、ちゃんとレースをするために何が必要かというのを寝る間を惜しんで考えて、第6戦に臨みました」

「レース中もずっとペースが良くなくて、福住選手が後ろから追い上げてきていたのが分かっていました。レース中は本当に辛くて、いつ抜かれるかと思って、何とか堪えていました。本当にここで勝つしか……今までのことは取り返せないと思っていたので、本当に良かったです」
ようやく結果をだすことができた。それを実感した瞬間、大湯の目から、大粒の涙が溢れ出した。

福住との痺れる攻防戦をコンマ462の差で逃げ切った大湯。

「正直、自分がチェッカーを受けた時すらも自分が優勝してるかどうかも分からない状態でした。本当に優勝できたのかという気持ちでした。無線で『優勝だよ、おめでとう』と言われて、ようやく優勝だと分かりましたし、ウイニングランの時は徐々に色々な想いが込み上げてきました。本当に全てを出し切ったレースだったので、正直ちゃんとピットまで帰れると心配になるくらい、力が入らない感じでした。やっと勝てた、普通にレースができたという思いでした」

「優勝の喜びよりも、このレースでようやく自分の走りができました。ずっとチームに迷惑ばかりかけていて結果も出せていませんでした。シーズンが始まるまでは、すごく期待してくれていた分、それを裏切ってしまう形になったので、そこを恩返しできたという想いが溢れてきたという感じです」

「本当に、本当に、辛いレースが続いていました。その中で、すごいプレッシャーではありましたけど、こうやって何とか優勝を飾ることができて、本当に嬉しいです」

レース後の大湯。これまでのプレッシャーから解放され、泣き崩れた。

パルクフェルメでも泣き崩れていた大湯。その涙は表彰式後の記者会見まで流れ続けていた。それだけ彼が背負っていたプレッシャーは非常に大きなものだったことが想像できる。まさに、これまでの苦労と努力が報われた瞬間だった。

もちろん、彼の挑戦はこれで終わりはない。今シーズンに関しては最終戦の富士大会が残っている。これに満足することなく富士でもしっかりと気を引き締めていきたいと、大湯は鈴鹿での初勝利を噛み締めながらも、決意を新たにしていた。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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