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モーター スポーツ コラム 2019年2月12日

2019年WRC 第2戦ラリー・スウェーデン “お馴染みの雪上グランプリ”

Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄
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このような状況でスウェーデンを迎えます。1950年初回開催の名門ラリーで当初は真夏の夏至のシーズンでしたが、1965年よりウィンターイベントになりました。スウェーデンは古くからボルボやサーブ等のメーカーがあり、モータースポーツ先進国としてフィンランドと共に多くの名ドライバーを輩出しています。WRC唯一の雪上イベントなので過去の記録を見るとフィンランドラリーよりも地元ドライバー以外の優勝者が少ないのです。ここで勝てた地元以外のドライバーはオジェ、ローブ、ヌーヴィルの3名だけです。毎度書いていますが、最大の特徴は硬い凍土の上の圧雪コース。除雪でできたスノーバンクをこすりながら約400本のスパイクを打った幅狭タイヤでグリップを得てSSの平均速度100キロ超えの高速走行、そしてマクレー選手の名前のついたコリンズ・クレストというジャンプ・ポイントが見どころです。気温が低く、雪も適当量あることが理想的条件ですが、ここ20年位頻繁に起きる地球温暖化により理想的な条件を楽しむことができないことがあります。タイヤは一種類しかないのでスパイクの本数調整はできるとしても、雪不足による土の一部露出、これによるスパイク落ちなど神経を使います。

主催者にとって一番の心配事は気象条件です。私が現役時代の1990年は異常気象のため雪の下の凍土が溶けてラリー直前に開催地域が大パニックになった時がありました。車はもちろん人も歩けなくなるほど凍土の表面が軟弱になり、生活物資が途絶えるほど村が孤立状態となりラリーどころではなくなったのです。災害レベルです。
主催者はやむなくラリー中止を宣言しその状況をスウェーデン自動車クラブの会長がパリで開催中のFIAラリー委員会出向いてビデオと共に説明されました。
ラリー委員会のメンバーは大半が他のWRC開催国の代表と利害関係者ですが、予定されたイベントを中止することはそれが天候の影響であっても如何に不名誉なことであり、この先の開催権剥奪の理由になり得るのです。私もこの会議にメーカーグループ代表として出席しておりましたがスウェーデン代表は平身低頭、如何に災害レベルの“不可抗力”であったかを懸命に説明していました。ラリー開催権は大切なものであり、守ろうとする人と足を引っ張る人との葛藤となります。このようにして過去約25カ国で開催されたWRCを13-14戦に絞ることは実績の少ない国にとって易しいことではありません。今話題になっているラリージャパンの復活活動もその中の一つです。WRC日本開催のハードルはかなり高いと見ますが、何とか実現したいものです。

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