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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2020年10月14日

高校選手権東京A1回戦 東京朝鮮×武蔵@駒沢補助

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東朝×武蔵.JPG

明確に西が丘のその先を目指す強豪と、下級生主体のフレッシュな私立校の顔合わせ。東京朝鮮と武蔵の80分間は、こちらもおなじみの駒沢補助競技場です。

過去5年間の選手権予選はすべてベスト4まで進出しながら、すべてそのベスト4で敗退。"西が丘"超え、そして初の全国出場は悲願とも言うべき東京朝鮮。とはいえ、「目の前の試合を勝っていかないと、その次の試合もないので、絶対そこは相手をリスペクトして、とりあえず私立武蔵に向かおうと話しました」と姜宗鎭監督も口にした通り、先を見据えたくはなるものの、まずは"ディスゲーム"が鉄則。武蔵相手に全力を出し尽くす覚悟でピッチに飛び出します。

選手全員が附属の中学出身。チームワークを武器に、上位進出を虎視眈々と窺う武蔵。今シーズン初の公式戦となった1次予選は、初戦で都立第四商業を2-1で振り切ると、2回戦も難敵の日大二を2-1と撃破。都大会進出を懸けた都立保谷とのブロック決勝も1-0で制し、3戦連続で1点差勝利を飾ってこのステージまで。下級生主体のチーム構成の中、真剣にアップセットを狙います。第3試合も降り続く雨はその強さを増すばかり。14時30分、キックオフのホイッスルが吹かれました。

「相手がどれくらいか全然わからないですし、情報がないので、選手たちには『どれくらい普段の力を出せるか、落ち着いてやれるかという所で、楽しんでこい』と送り出しました」と姜監督が口にした東京朝鮮は試合開始からフルスロットル。「ヨンホが前を向いた所から、自分が2列目から抜け出して、浮いたスルーパスをそのまま空中でトラップして、そのままキーパーの上をループで越しました」と振り返るペ・ビョンチョル(3年・西東京朝鮮第一中)が華麗な一撃。「Tリーグでも決定機を外しまくっていて、試合が始まってすぐにあったチャンスもキーパーに止められちゃって... 初ゴールは嬉しかったですし、ホッとしました」と笑顔を見せたキャプテンのゴールで、まずは先制点を奪います。

さらに「逆サイドからもう"どフリー"でボールをもらって、そこからシュートを打ったら、右上のスミに気持ちよく綺麗に決まりました」と笑う左サイドバックのク・ソンハッ(3年・東京朝鮮中)が追加点を挙げると、「コーナーキックからファーの相手が小さかったので、そこを狙ったらドンピシャで合わせてくれました」というク・ソンハッのアシストで、センターバックのオ・ヒョングン(3年・千葉朝鮮中)も次のゴールををゲット。あっという間に3点をリードしてみせました。

さて、小さくないビハインドを負った武蔵も、GKの奥山海登(2年・武蔵中)にセンターバックの菅原聡(2年・武蔵中)とスタメン唯一の3年生となった井口颯人(3年・武蔵中)から、丁寧にビルドアップする意識は明確に。右サイドバックの青山諒大(2年・武蔵中)、左サイドバックの古野健一(1年・武蔵中)もボールを引き出す動きは繰り返すものの、なかなかスムーズに前進するまでには至りません。

「最初は緊張とかもあるかなと思ったんですけど、みんな良い感じにゲームへ入れました」とペ・ビョンチョルも言及した東京朝鮮は以降もラッシュ。24分にク・ソンハッの左CKから、キム・ヒョンゴン(3年・東京朝鮮第一中)が放ったシュートはゴール右へ逸れるも、25分にもペ・ビョンチョルのクサビをキム・ヒョンゴンが落とし、ソ・ヨンホ(3年・西東京朝鮮第一中)のシュートはクロスバーにヒット。29分にもク・ソンハッの左CKをカン・チフン(3年・東京朝鮮第一中)が残し、チョ・リョンシム(3年・西東京朝鮮第一中)のシュートは枠を越えましたが、攻撃の手を緩める気配は微塵もなし。

31分の追加点は「自分のストロングポイントは前から走って、常に相手にプレッシャーを掛けつつ、相手の小さなミスでも誘って味方に与えたりする所」と胸を張る10番のアシストから。武蔵がゴールキックから繋いだボールを、キム・ヒョンゴンは果敢にチェイスしてカットすると、丁寧にプレゼントパス。ソ・ヨンホは難なくゴールを陥れ、スコアは4-0に。

止まらないアタック。33分にはルーズボールを拾ったパク・サンジュ(3年・東京朝鮮中)がゴール左へ外れるシュート。34分にも右サイドからキム・サンウォン(2年・東京朝鮮第一中)が好クロスを放り込み、ソ・ヨンホのシュートは枠の右へ。直後にもク・ソンハッを起点にカン・チフンの左クロスから、キム・ヒョンゴンのシュートはゴール左へ外れ、抱えた頭。

それでも、34分にはまたも献身のストライカーに決定機。右サイドバックのキム・スヨン(3年・東京朝鮮中)が中央へ折り返したボールを、キム・ヒョンゴンは右足一閃。軌道はゴール左スミへ突き刺さります。「あの前までに何本か外していたので、コースを狙うというよりは、『大胆に打とう』と思って、力まずに打ったら良いシュートが打てました」と納得の10番がきっちり結果を。両者の点差は5点に広がります。

難しい展開を強いられた武蔵も、34分にはセットプレーのチャンス。サイドハーフの岡部惇貴(2年・武蔵中)が絡んだ流れからCKを獲得すると、ボランチの浜野和輝(1年・武蔵中)はニアへ鋭いボールを。飛び込んだ吉松拓哉(2年・武蔵中)がフリックするも、シュートは打ち切れません。最初の40分間は東京朝鮮が5点のアドバンテージを握る形で、ハーフタイムに入りました。

後半は開始から双方に交替が。東京朝鮮はチョン・アヒョン(3年・FC朱雀)を、武蔵は上手雄生(1年・武蔵中)をピッチへ。すると、共に図った攻撃のギアアップが早々に奏功したのは前者。

42分に左サイドへ展開したボールを、パク・サンジュがクロス。ここに走り込んだチョン・アヒョンのシュートは、右ポストを叩きながらゴールネットへ飛び込むと、49分にもやはりパク・サンジュの左クロスを、ファーでチョン・アヒョンはゴールネットへグサリ。「後半もすぐに交替で右サイドに入ったアヒョンが点を獲って、そこで良い流れに乗れましたね」とはペ・ビョンチョル。チョン・アヒョンのドッピエッタ。スコアは7-0に。

50分も東京朝鮮。ペ・ビョンチョルのパスからキム・ヒョンゴンが右クロスを送り、パク・サンジュのシュートは奥山がファインセーブ。51分は東京朝鮮が2枚替え。ユン・テウ(3年・FC古河)をシャドーに、ク・チャンド(2年・東京朝鮮中)をアンカーに送り込み、中盤の強度向上に着手。52分にはチョン・アヒョンがミドルを枠の右へ外すも、あわやハットトリックの好トライ。58分にも高い位置でク・チャンドがボールを奪い切り、キム・ヒョンゴンは1対1を迎えるも、ここは奥山がビッグセーブを披露します。

62分にリ・ウォンドン(3年・埼玉朝鮮中)、64分に負傷明けのファン・チャンジュン(3年・FC ASAS)を相次いで送り込んだ東京朝鮮は、68分にさらなる歓喜。浮き球に向かったキム・ヒョンゴンは「自分はそんな体が大きい訳ではないんですけど、収めることに関しては自信があって、収めて落としてというのも考えたんですけど、ゴールをちょっと見た瞬間に空いていたので」、そのまま左足でゴールネットを貫きます。エースもこれで堂々のドッピエッタ。8-0。十条のレッドタイガーに容赦なし。

何とか1点を返したい武蔵は浜野と松澤辰彦(2年・武蔵中)のドイスボランチもボールを動かす意識は高く、右の太田慎一(2年・武蔵中)、左の岡部とサイドハーフへ散らすものの、相手の圧力になかなかアタッキングサードまで侵入できず。69分に井口が蹴った左FKも、東京朝鮮のGKキム・プンギ(3年・西東京朝鮮第一中)ががっちりキャッチ。意欲とは裏腹に、遠いゴール。

72分は東京朝鮮。「自分の良い部分は運動量だと思っているので、とにかく走ってチームに貢献しようと思っていました」と言い切るように、終盤まで足の落ちないペ・ビョンチョルのパスから、ユン・テウが粘って持ち込んだシュートは枠の上へ。73分も東京朝鮮。左サイドを単騎で抜け出したファン・チャンジュンのシュートは、飛び出した奥山がファインセーブで阻止。74分も東京朝鮮。チョン・アヒョンが右CKをショートで蹴り出し、チョ・リョンシムのクロスは左ポストを直撃。

流れの中から武蔵に訪れた好機は75分。良い位置で前を向いた吉松は、すかさずスルーパスを敢行。2トップを組む石塚響(2年・武蔵中)が懸命に飛び出すも、フィニッシュは取り切れず。78分には武蔵も2人目の交替として西尾敢(3年・武蔵中)をピッチへ解き放つと、79分にはキム・ヒョンゴンがGKを外してゴールに流し込んだボールを、必死に戻った井口がスーパークリア。キャプテンを託された3年生が最終盤のタイミングで、意地と執念を後輩たちへ見せ付けます。

大トリは帰ってきたエース。80+1分。ク・チャンドから縦パスを引き出したファン・チャンジュンは、反転しながら少し運んでフィニッシュ。ボールはゴール右スミへ吸い込まれます。自粛期間明けのケガで戦線離脱したものの、「チームメイトが励ましの声を掛けてくれたり、支えられたことで、改めて仲間の大切さを実感しました」というファン・チャンジュンが感謝の復活弾。「『やっと来た』という感じで、ワクワクして僕が早く試合をしたい感じだったんですけど(笑)、ちょっと今日は上出来過ぎてビックリしました」と姜監督も笑顔を見せた東京朝鮮が、9-0という快勝で2回戦へと駒を進める結果となりました。

「前半の内に5点入って、そこで気持ちを切らすことなく、中の選手たちでもっとクオリティや内容を突き詰められたので、結果も内容も初戦にしては良い内容でできたと思います」とペ・ビョンチョルも言及したように、東京朝鮮は力を緩めることなく、80分間を全力疾走した感がありました。

自粛期間には難しい時期もあったものの、自主的に話し合っていろいろなことに取り組んだとのこと。「チームとして自粛期間を乗り越えようということで、朝に自分たちで会議を開いたり、トレーニングもグループ別でやったり、いろいろ工夫しながらやりましたし、特に副主将のヒョンゴンとソンハッと、さらに委員会みたいな"協議体"というのがあって、僕を合わせて全部で9人いて、まずはそのグループで一体感を持って、それをチーム全体に伝染させていく形を採りました。だから、僕1人の力というよりは、特に3年生の一体感でチームが成長してきたので、この最後の大会の選手権もそういう気持ちで、今は凄く良い感じになっていると思います」とペ・ビョンチョル。チームの一体感に手応えを感じている様子がはっきりと伝わります。

「逆に今日はこんなに点が入ったので、次の試合が心配ですけど、また良い準備をして次に繋げたいと思います。1試合1試合ですね」と最後に気を引き締めた姜監督。おそらくその心配は杞憂に終わるはず。今年の東京朝鮮には、地に足の付いた強さが備わっています。

土屋

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