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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2020年11月14日

全国高校サッカー選手権東京A決勝 関東第一×日大豊山@駒沢陸上

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関一×豊山.jpg

3年ぶり3回目の全国か。はたまた初めての全国まで一気に駆け上がるのか。関東第一と日大豊山の東京ファイナルは、駒沢陸上競技場です。

なかなか届かない冬の全国を手繰り寄せた第95回、第96回と2回連続で東京を制したものの、そこからは予選敗退が続いている関東第一。迎えた今大会は本郷を6-0、東京農業大第一を2-0、都立狛江を5-0といずれも無失点で下し、先週のセミファイナルでは前回王者の國學院久我山に2点を先制されながら、4点を奪い返しての逆転勝利でファイナルへ。「こういう時に勝ち切れるか勝ち切れないかで、いろいろなことが変わってくると思うので、やっぱり全国に出たいですね」とは1年時に夏の全国を経験している鹿股翼(3年・東急SレイエスFC)。3年ぶりの晴れ舞台を確実にその視野へ捉えています。

昨年も好チームを創り上げていた流れの中で、間違いなくさらなるブレイクスルーのタイミングを窺っていた日大豊山。今大会も初戦の正則学園戦に2-0で勝ち切ると、2回戦では難敵の都立国分寺に3-2で競り勝ち、準々決勝でも淑徳巣鴨を4-0と撃破。勢いそのままに挑んだ駒澤大学高との準決勝も、守護神の浦田純矢(3年・レッドスター)の活躍もあって、PK戦をモノにして一気に西が丘を突破しており、勢いは最高潮。頂点まで登り切る覚悟は整っています。スタンドには両チームの部員と、保護者を含めた関係者の方々が集結して見守るピッチ。フレッシュな顔合わせのファイナルは、日大豊山のキックオフでスタートしました。

ファーストシュートは3分の関東第一。キャプテンマークを巻いた笠井佳祐(3年・VIVAIO船橋)が左へ振り分け、類家暁(3年・東京ベイFC U-15)のシュートは枠の右へ逸れましたが、まずはここまで全試合でゴールを挙げてきている2人がフィニッシュを。逆に7分は日大豊山。右サイドから高柳康太(3年・ジェファFC)が上げたクロスに、ニアで当てた山本爽太(2年・三菱養和巣鴨JY)のヘディングはクロスバーを越えたものの、お互いにシュートを打ち合います。

「立ち上がり10分の入り方は良かったですね」と海老根航監督も話したように、序盤のリズムは日大豊山。中盤アンカーの大谷和暉(2年・坂戸ディプロマッツ)、インサイドハーフの伊藤和輝(3年・三鷹FA)、猪田莉矩(3年・越谷FC)が積極的にボールへ関わり、右の高柳、左の今泉翔(2年・東京SC)と両ウイングを生かす狙いを明確に。8分に右から高柳が蹴ったCKはシュートまで至らなかったものの、駒沢を席巻する桜色のイレブンたち。

ただ、ジワジワと押し込み始めたのは関東第一。9分にはルーズボールを拾った宇山輝(3年・FC杉野)が枠の左へシュートを外し、12分にも宇山、肥田野蓮治(2年・FC東京U-15深川)と繋ぎ、類家のシュートは日大豊山のセンターバック赤羽史登(2年・三鷹FA)にブロックされましたが、歓喜の瞬間はその直後に。

13分。相手のクリアを池田健人(2年・大豆戸FC)が頭で跳ね返すと、宇山が頭で逸らしたボールは類家の足元へ。抜け出した14番はGKとの1対1も冷静に、左スミのゴールネットへ流し込みます。「立ち上がり10分まではチームとして良い形で迫っていけない中で、自分がゴールという形で貢献できたのは良かったと思います」と笑った類家はこれで圧巻の5戦連発。関東第一が1点のリードを手にしました。

畳み掛けた"新小岩のカナリア軍団"。16分。笠井のプレッシャーから日大豊山のビルドアップが乱れ、反応した北村磨央(3年・フレンドリー)は右クロス。赤羽が懸命にクリアし、肥田野のシュートも濱田昂希(3年・九曜FC)が体で弾くも、もう一度拾った肥田野のパスを笠井は右足一閃。ボールはゴール右スミへ飛び込みます。「肥田野が横にくれたので後は決めるだけという感じでした」と語る10番も、これで類家に続いて5戦連発。スコアは2-0に変わりました。

さて、「格上の相手と戦う上で一番避けなくてはいけないのが連続失点だったので、そこは凄くもったいなかったですね」と海老根監督も振り返る日大豊山は、2点を追い掛ける展開に。26分には右サイド、ゴールまで約25mの位置でFKを獲得するも、山本が直接狙った軌道は枠の上へ。右の清宮佑斗(3年・ヴェルディSSレスチ)、左の石川大暉(3年・C.A.ALEGRE)とサイドバックも高い位置まで侵入しますが、手数を出し切れません。

すると、次の得点を記録したのも関東第一。34分。ボランチの藤井日向(2年・C.A.ALEGRE)が短く繋ぎ、「得点に絡むパスが自分の持ち味だと思う」と言い切る左サイドバックの弓氣田葵(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)は完璧なスルーパス。抜け出した宇山はオシャレに右足アウトで中へ戻すと、笠井のダイレクトシュートは綺麗にゴールネットを揺らします。「いろいろな試合で横からのクロスを外す機会が多くて、自主練で練習してきたので、入って良かったです」と笑顔のエースストライカー。関東第一のリードは3点に広がりました。

何とか反撃したい日大豊山の好アタックは40分。センターバックの濱田が縦へ付け、山本を経由して、少し運んだ今泉は左へ。高柳のシュートは枠の右へ外れましたが、後半へ希望を繋ぐようなスムーズなアタック。とはいえ、「DFラインが集中していましたし、3点目を獲れたのが大きかったですね」と小野監督も言及した関東第一が、小さくないアドバンテージを得て最初の40分間は終了しました。

後半も最初のシュートは関東第一。41分に類家のパスを宇山が左に流し、弓氣田の好クロスをニアで合わせた笠井のヘディングはゴール左へ外れ、ハットトリックを逃した10番は頭を抱えたものの、ワンプレーに滲ませたさらなる得点への意欲。47分は日大豊山に1人目の交替。今泉を下げて、保田航希(2年・FC東京U-15むさし)を右ウイングへ送り込み、左ウイングには高柳がスライドして、整える反撃態勢。

48分は関東第一。肥田野がドリブルからラストパスを通すと、笠井のシュートは左ポストにヒット。49分も関東第一。相手GKのパスミスを拾った宇山が、そのまま枠へ収めたシュートは浦田が懸命に戻ってキャッチ。54分も関東第一。左CKを類家がショートで始め、藤井、宇山と回ったボールを池田が狙ったシュートはクロスバーの上へ。

54分は日大豊山に2人目の交替。石川に替えて藁谷陸斗(1年・TFA)を投入し、藁谷は左ウイングへ、高柳は左サイドバックへシフト。57分は日大豊山。右サイドを運んだ保田のクロスは、関東第一の守護神を託された野田好誠(3年・フレンドリー)ががっちりキャッチ。60分も日大豊山。左サイドから高柳が鋭いクロスを放り込むも、飛び込んだ保田はわずかに届かず。61分も日大豊山。ここも左から高柳がクロスを上げ切り、ファーで安田が合わせたシュートはゴール左へ逸れるも、「少しずつリズムを出すこともできて、ペナルティエリアに侵入していく所も含めて、自分たちの良さが出せるようになってきたかなというのは感じていました」と海老根監督。漂い始めるゴールの気配。

関東第一は62分に2枚替え。肥田野と北村を下げて、堀井榛人(2年・C.A.ALEGRE)と若松歩(2年・東京ベイFC U-15)を投入し、中盤の強度再向上に着手。65分は日大豊山。右サイドを駆け上がった清宮のクロスに、飛び込んだ高柳のヘディングは枠の左へ。69分は関東第一。類家が左CKを蹴り込むと、ルーズボールに反応した笠井の左足シュートは浦田がキャッチ。白熱のファイナルも残された時間は10分間とアディショナルタイムのみ。

71分は関東第一。若松、笠井を経由して右へ展開したボールから、鹿股が打ち切ったシュートは枠の右へ。直後には宇山と神山寛尚(2年・町田JFC)をスイッチする3人目の交替を経て、73分に類家が蹴った左CKはシュートまで至らず。76分は日大豊山にセットプレーのチャンス。右サイドで奪ったCKを高柳が蹴り入れると、保田のシュートは枠の上へ。菅原涼太(3年・SCH FC)と池田の関東第一センターバックコンビが醸し出す"ラスボス感"。どうしてもゴールを奪えません。

78分は関東第一に4人目の交替。高木駿(3年・江東深川第七中)がピッチに解き放たれ、「彼がいなかったらこのチームは本当にまとまらなかった」と言い切る笠井から赤いキャプテンマークが高木の左腕に引き継がれると、3分間のアディショナルタイムを経て、駒沢の青空に吸い込まれたタイムアップのホイッスル。「限られた時間の中で、ずいぶんモノの分別がちゃんと付くようになってきたなと。選手としてももちろんですけど、人間としての成長を感じる選手権だったと思います」と小野監督も笑顔。関東第一が3年ぶりとなる東京制覇を成し遂げる結果となりました。

日大豊山の健闘が光りました。「決勝の舞台に出て感じたのは、関東第一さんのこういう大舞台での経験値で、豊山は立ち上がり10分の入り方は良かったんですけど、その後で少し上手く行かなかった所で、こういう舞台で修正し切れなかったかなというのは感じました」と話した海老根監督は、続けて「ただ、やはりここに来なければそれは感じられない部分だと思いますし、ここにウチが今年来れたのも、先輩たちが積み上げてくれたものが少しずつ1つの形になって今回の決勝に来られた所もあるので、本当に今後に繋がる決勝進出だったと思います。これを継続していかないといけないと思うので、来年以降もこういう舞台で戦えるようなチームを継続して創っていくことが、さらに上のステージを狙えるようになるために必要なことなのかなと思います」とも。彼らの決勝進出にも大きな拍手を送らせてください。

関東第一は、今年の3年生が全国大会を経験している最後の代。鹿股が「自分も1年から出ていて、あの素晴らしい全国の舞台に立てたというのは大きな財産なので、それを1個下の代に見せることが重要だと思っていて、この後のカンイチが強くなるのは、この舞台に立てるか立てないかで大きく違ってくると思います」と準々決勝後に話してくれたように、彼らは後輩に全国の舞台を経験させることの重要性をよくわかっていました。「私の口からは今年に入って一度も選手たちに『今年行けなくなると、全国経験者がいなくなってしまう」とは言っていなかったはずなんですけど、自然と子供たちの中からそういう言葉が出てきたのであれば、1年から3年までの成長だと思うので、チームに所属する意識だとか、組織の中の役割ということをわかってきてくれたのかなということを考えると、本当に3年生は成熟したなと思います」と小野監督。この全国出場は、彼らの組織としてのさらなる成熟を促すことになっていくことでしょう。

最後に。実は関東第一の小野監督と、日大豊山の海老根監督は在籍期間こそ重なっていないものの、日大高校の先輩と後輩という間柄でした。そのことを"後輩"の海老根監督に尋ねると、「僕が東京に来させていただいて、日大豊山高校の指導を始めさせていただいた時から目標にしてきて、憧れにしてきたチームと先輩ですし、過去には小野さんから『東京の決勝でやれるようなチームを作れよ』というふうに言っていただいたこともあって、今回それを実現できたことは凄く嬉しかったんですけど、やはりなかなか簡単に先輩の壁は超えさせてくれないなと。次にやる時には『そんなにいつまでも上にいないでください』と言えるようなチームを作って、追い抜いていけるように、それを1つのモチベーションとして、私自身も頑張っていきたいなと思っています」と笑顔混じりにきっぱり。この2人が織り成していく今後の"因縁"にも、是非注目していきたいですね。

土屋

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