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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2020年10月29日

全国高校サッカー選手権東京B準々決勝 実践学園×堀越@清瀬内山G

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実践×堀越.JPG

全国出場経験を有する両チームがこのステージで激突。実践学園と堀越のクォーターファイナルは、引き続き清瀬内山グラウンドです。

最後に冬の全国へ出場したのは3年前。ここ2年は西が丘を目前に敗退を強いられ、悔しい時間の続いている実践学園。明確に東京制覇を意識して迎える今大会は、初戦でかえつ有明を2-0で退けると、先週の2回戦でも都立美原相手に永吉葉太(3年・FC多摩)と堀江凛(3年・西多摩瑞穂第二中)の2戦連発弾を含む4ゴールを叩き込み、準々決勝まで。"心で勝負"のスタンスを携えて、難敵相手の80分間に向かいます。

最後に冬の全国へ出場したのは実に29年前。この6年では4度のベスト4進出を成し遂げているものの、頂点までは届いていない堀越。「僕らの目標は去年の子たちが本当に東京制覇すると掲げた所からスタートしている」と佐藤実監督も話した通り、目指すのはたった1本の優勝旗のみ。今大会は初戦の都立上野戦で21-0というスコアを記録しながら、2回戦では東京相手に延長まで苦しめられ、最後は斎藤光(3年・東京武蔵野シティFC U-15)の決勝弾で何とかこのステージへ。「ここからも簡単な試合はないと思うので、全員で隙なくやっていきたいと思います」とはキャプテンの日野翔太(3年・FC町田ゼルビアJY)。改めて気を引き締め直し、ビッグマッチに臨みます。清瀬の午後は相変わらず眩しい陽射しに包まれる好コンディション。注目の一戦は堀越のキックオフで幕が上がりました。

ファーストチャンスは8分の堀越。山口輝星(2年・三菱養和調布JY)が左へ展開したボールを、シュート気味に入れた齊藤のクロスはゴール右へ。9分にも右サイドを運んだ古澤希竜(2年・FC多摩)のクロスに、尾崎岳人(3年・すみだSC)のヘディングはヒットしませんでしたが、まずは堀越が2つのサイドアタックで、実践ゴールに迫ります。

さて、比較的長いボールで前線の堀江を狙い、2列目に並んだ趙龍来(3年・ESA)、齊藤龍二郎(3年・FC Branco八王子)、倉嶋涼雅(3年・三菱養和調布JY)がセカンドを拾う流れから良い形を創りたい実践。12分には右サイドでFKを獲得すると、斉藤のキックは堀越のGK平野裕太(3年・武蔵野第二中)がフィスティングで回避するも、ようやく漂わせた得点の可能性。

ところが、先に先制機を掴んだのは堀越。14分、古澤を起点に「尾崎が良いフリックをしてくれて、ゴールが見えていたので、そのままシュートを打とうかと思ったんですけど」と振り返る日野がエリア内で倒されると、ホイッスルを吹いた主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーは日野自ら。ほぼ中央に蹴り込んだキックは、ゴールネットをきっちり揺らします。「練習でも結構PKはやるので、やっていることが出て良かったかなと思います」というキャプテンの冷静な一撃。堀越が1点のアドバンテージを手にしました。

リードした堀越は市村大基(3年・FC府中)、井上太聖(3年・インテリオールFC)、馬場跳高(3年・バリオーレ日の出)の3枚でビルドアップを行いつつ、高い位置に左サイドバックの堀田五月馬(3年・横浜F・マリノスJY)を押し出しながら、狙う相手ディフェンスの背後。24分には井上のフィードから右CKを奪い、日野の蹴ったボールは倉嶋がクリア。2点目とは行きません。

33分は実践。右サイドで得たCKをレフティの斉藤が蹴り込み、こぼれを拾った冨岡正太郎(3年・Forza'02)の左クロスは井上が大きくクリア。38分も実践。GKの小出朔(3年・FC Consorte)が長いFKを蹴り込むと、走った堀江がそのまま当てたヘディングはゴール右へ。「結構ハマるシーンが多かったですね」と馬場も振り返ったように、決してスタイルを出し切れた訳ではなかった堀越でしたが、1点のリードを携えてハーフタイムに入りました。

後半はスタートから何と実践が3枚替えを敢行。趙、齊藤、堀江が下がり、宇田川颯太(3年・JACPA東京FC)、前田青波(3年・ZION FC)、川村涼太(3年・三鷹FA)がピッチに解き放たれ、狙う同点とその先。41分は実践。右から倉嶋が蹴ったFKは、ここも井上がクリア。42分も実践。左から前田が投げ入れたロングスローは、エリア内でオフェンスファウル。48分も実践。ボランチの安藤健太(3年・FC Branco八王子)を起点に、右サイドをドリブルで抜け出した前田のシュートは、平野がキャッチしましたが、少し踏み込まれた実践のアクセル。

「もう1点がなかなか入らなかった」(馬場)堀越も50分には馬場のパスを日野が右へ流し、古澤のクロスは突っ込んだ堀田とわずかに合わず。51分は実践。左に開いた倉嶋の折り返しから、宇田川颯太のシュートは平野がキャッチ。51分は堀越。中央で前を向いた尾崎の左足ミドルはゴール右へ。59分に堀越は1人目の交替として堀田と山口諒大(3年・FC.GONA)を入れ替えると、直後に山口、日野と繋いだボールから、古澤が打ったシュートは永吉が身体でブロック。右から野村怜央(3年・FC Consorte)、多田大志(3年・FC.GONA)、伊藤蓮(3年・FCヴィアージャ)、冨岡で組んだ実践の4バックも、時間を増すごとに安定感が出てきます。

60分の追加点は「実は新チームに入って、少しフォワードをやらせてもらっていたんです」と明かしたセンターバック。右サイドで得たCK。日野が蹴ったボールは流れたものの、拾った宇田川瑛琉(2年・東京ヴェルディJY)のクロスを尾崎が残すと、井上のシュートはゴールネットへ飛び込みます。「ガクトのいい折り返しから、相手が飛び込んでいるのは見えたので、それでターンして、あまり覚えていないんですけど(笑)、気持ちで押し込んだ感じです」と笑った3番がストライカーばりの貴重なゴール。堀越がさらなるアドバンテージを掴みました。

2点を追い掛ける実践は、62分にキャプテンの鈴木大悟(3年・練馬石神井中)を投入。65分は堀越。日野の左CKを尾崎が頭で繋ぎ、山口のシュートはクロスバーを越えましたが、最前線起用でここも効果的なプレーを見せた尾崎は、66分に若松隼人(3年・西東京田無第一中)と交替。同時に5枚目のカードとして三枝豪太(3年・三菱養和調布JY)を切った実践は、直後に前田が左からカットインシュートを狙うもゴール左へ。なかなか1点を返せません。

すると、69分の歓喜はセットプレーから。堀越は右サイドで獲得したCK。「去年はセットプレーから獲れていたんですけど、今年は自分のキックの精度も悪くて、全然点が獲れていなかったので悔しかった」という日野のキックから、投入されたばかりの若松が叩いたヘディングは、良く反応したGKも弾き切れず、ゴールネットへ到達します。9番を背負ったストライカーがいきなり結果を。0-3。

72分に生まれた試合を決定付けるゴールは、2年生アタッカーが。右サイドから中央へ侵入した古澤は、そのまま持ち込むと左足一閃。ボールは右スミのゴールネットへ確実に収まります。「たまたま自分たちがやるべきことをしっかりやっていて、うまく得点ができて、ペースがこっちに来る時間が後半は多かったという流れだと思います」とは佐藤監督ですが、堀越の力強いラッシュは止まらず。0-4。

苦しくなった実践は74分に前田がドリブルで際どいエリアまで持ち込むも、齊藤が粘り強くカットすると、右から宇田川颯太が入れたCKも平野がキャッチ。75分には堀越が宇田川侑潤(2年・浦和レッズJY)を3枚目のカードとして切ると、77分は実践。最前線に上がっていた多田が宇田川颯太とのワンツーで抜け出すも、シュートはDFに当たって平野がキャッチ。堀越守備陣の集中力も途切れません。

ダメ押しの5点目は78分。若松がきっちり時間を作って右へ展開し、縦へのドリブルから古澤は中央へ。走り込んだ山口のシュートはニアを破ってゴールネットへ突き刺さり、とうとうスコアは0-5。守っては「ディフェンスラインとキーパーでも試合前から絶対ゼロに抑えようとずっと言っていた」という井上の言葉通り、終盤は東耀也(3年・横浜FC鶴見JY)と小林宏太(2年・FC Consorte)を相次いで投入し、クロージングに取り掛かると、無失点のままで聞いたタイムアップのホイッスル。「メンタルの部分ではしっかり落ち着いてできるようになってきましたし、去年以上の勝負強さは作れているかなと思います」と日野も胸を張った堀越が、快勝で西が丘へと勝ち上がる結果となりました。

「去年はかなり全体ミーティングをやっていて、そういうチームの基本の所から見直せていたので、後ろから繋ごうという所も去年からのものですし、去年積みあがったものの今年かなという所で、去年の先輩方が落としてくれたものはかなり大きいと思います」という日野の話を聞くと、堀越が見せている今年の快進撃には、昨年のチームが果たしている役割が非常に大きいようです。

「今の彼らは卒業した去年の3年生がうまく使ってくれて、たくさん良い経験をさせてくれて、ミーティングの作り方とか、練習の作り方とか、ゲームへの向き合い方とか、そういう素晴らしいモノを残していってくれたので、その残していったモノを今度はオレたちが回収しないといけないというのが大きな課題で、そういう部分では去年の3年生のためにやっているという感じですね」とは佐藤監督。ある意味でこの2年間の集大成が、今回の西が丘進出とその先に続く未来なのかなと。

次の相手は帝京と多摩大目黒を撃破している東京実業。「東京実業さんも厳しい試合を勝ち上がってきていると思うので、ここからの2週間で自分たちがやるべきことをしっかり見失わないように、しっかり準備したいと思います」とは井上。29年ぶりの頂点へ。堀越が今年も西が丘に帰ってきます。

土屋

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