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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2020年10月31日

全国高校サッカー選手権埼玉準々決勝 昌平×武南@駒場

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昌平×武南.jpg

クォーターファイナルで激突した実力校同士のビッグマッチ。昌平と武南の一戦は浦和駒場スタジアムです。

ここ7年の選手権予選はいずれもベスト4以上まで進出し、その中で3度の埼玉制覇を経験。インターハイでも2度に渡って全国4強に食い込むなど、今やその名を日本中に知られるようになった昌平。須藤直輝(3年・大宮アルディージャJY・鹿島内定)、小川優介(3年・FC LAVIDA・鹿島内定)、小見洋太(3年・FC LAVIDA・新潟内定)、柴圭汰(3年・伊奈小針中・福島内定)と4人のJリーグ内定選手を擁し、絶対的本命として臨む今大会は、初戦となった3回戦で浦和南に先制を許しながら、何とか2-1で逆転勝利を収めて準々決勝まで。「本当に1試合1試合気持ちを込めてやっていかないと、勝てる試合も勝てなくなってしまうと思う」と柴も話した通り、目の前の試合へ全力で向かうスタンスで、この80分間へ挑みます。

最後に冬の全国の舞台に立ったのは14年前。以降もベスト4以上には何度も勝ち上がってくるものの、頂点に立つ歓喜からは遠のいている武南。迎えた今大会は初戦で朝霞西を5-0、2回戦で東野を5-2と、2試合続けての5ゴールで退けると、先週の3回戦では埼玉栄相手に苦しみながら、延長で2ゴールを奪って粘り強くこのステージまで。「この1週間は本当に考えに考えてトレーニングしてきました」とは内野慎一郎監督。きっちりプランを練った上で、難敵相手の一戦へ向かいます。会場の駒場は気温18度の快晴という絶好のコンディション。昌平のキックオフでゲームはスタートしました。

先にチャンスを創ったのは昌平。5分に須藤の蹴った左CKはDFにクリアされましたが、6分には1トップ下に入った荒井悠汰(1年・FC LAVIDA)が左へ流し、サイドバックの小澤亮太(3年・1FC川越水上公園)が上げたクロスは武南のGK吉田陸斗(3年・武南JY)にキャッチされたものの、10分にもショートコーナーから須藤のクロスに小見が反応。シュートはDFのブロックに遭うも、まずは武南ゴール前を積極的に窺います。

さて、「どう分析しても穴のない素晴らしいチームなので、守備からきちっとハメて、相手のサイドプレーヤーにはサイドバックも食いつかず、サイドハーフに対応させて、真ん中の4枚で何とか対応しようというシステム」と内野監督が明かした武南は、右から竹内聖時(3年・HAN FC)、渋谷亮輔(3年・Forza'02)、堀内那斗(3年・朝日JY)、中村優斗(2年・朝霞第二中)で組んだ4バックは中央をきっちり固め、右の水野将人(2年・GRAMADO FC)、左の杉本駿吾(3年・GRANDE FC)とサイドハーフが時には6バックも厭わない上下動で、相手のアタックに対応。11分に大谷倖輝(3年・クマガヤSC)が入れたFKは、昌平のGK西村遥己(2年・フィグラーレ狭山FC)にキャッチされましたが、守備を念頭に置きつつ、狙うはセットプレーとカウンターのタイミング。

11分は昌平。須藤が右へ流すと、サイドバックの本間温士(2年・FC LAVIDA)のクロスに、ニアへ突っ込んだ平原隆暉(2年・FC LAVIDA)のシュートは吉田がセーブ。15分にも本間を起点に須藤が繋ぎ、小川が叩いたミドルは右スミを襲うも、吉田が横っ飛びでファインセーブ。直後に須藤が蹴り込んだ右CKから、ニアの小澤のヘディングはヒットせず。「相手ももうちょっと来るかなとも思ったんですけどね」とは藤島監督。押し込む流れの中で攻勢を強めます。

20分も昌平。小澤のパスから、須藤が狙ったミドルはゴール右へ。22分も昌平。須藤からパスを受けた小見は、ミドルレンジからシュートを放つも大きく枠の上へ。24分はセットプレー。須藤の右CKに荒井が枠へ収めたヘディングは、カバーに入った竹内がきっちりクリア。32分も昌平。小見とのワンツーから須藤が上げた左クロスは、飛び出した吉田が丁寧にキャッチ。徐々に武南の「どんな形でも前半ゼロで終わったら、後半から仕掛けようかというようなプラン」(内野監督)が実り掛けていた時間帯で、主役の座をかっさらったのは「高2までフォワードだったので、やっぱり点を獲りたいなという気持ちは凄くあります」と言い切るセンターバック。

39分。左サイドで獲得した昌平のCK。須藤が蹴り込んだボールに、センターバックの生島翼(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が当てたヘディングは右ポストに跳ね返ると、「練習から結構あそこに入っていって決めていたので、自信を持って入ることができました」という唐木晃(3年・大宮アルディージャJY)が頭で押し込んだボールは、ゴールネットへ吸い込まれます。「3回戦は自分のPKで先制されて、厳しい試合になってしまったので、今日は絶対自分が楽な試合にしてやろうと思っていました」と笑った4番の、個人的な汚名返上弾は貴重な先制ゴール。昌平が1点のリードを強奪して、最初の40分間は終了しました。

後半が始まると、「『0-1のままでズルズル行ってもしょうがない』と。『行くぞ』みたいな雰囲気がハーフタイムにあった」と内野監督も話した武南に勢いが。最前線の吉澤和(3年・坂戸ディプロマッツ)や高橋奎亮(3年・クマガヤSC)にボールが入り出し、少しずつ生まれた攻撃のテンポ。48分には水野、杉本と回ったボールから、右サイドを運んだ植田彪真(3年・GRANDE FC)が鋭いクロス。ここは西村がキャッチしましたが、ここが勝負所と見た武南ベンチも49分に吉澤と高橋を下げて、青木駿祐(3年・アセノSC)と小日向篤(3年・川越西中)をピッチへ送り込み、4-1-4-1気味の布陣で踏み込みたいアクセル。

ところが、次の得点を記録したのも昌平。50分。左から小澤が右足でクロスを送り込むと、「後ろからプルアウェイして、ボールを引き寄せた感じ」と振り返る小見は、マーカーの背後に潜って強引にボレー。カバーに入ったDFが懸命に弾きましたが、詰めた平原はルーズボールを頭で難なくゴールネットへ押し込みます。「『この大会は小見くんよりゴールを獲る』と言ってきたんです」とその小見も笑いながら言及した2年生アタッカーの貴重な追加点。昌平のリードは2点に変わりました。

「システムを変えなかったら、『そのまま我慢しなきゃいけないな』という中で、意外とリズムができ始めちゃったので、『ちょっと待て』と言ったんですけど...」と内野監督も悔しそうに語った武南は、2点を追い掛ける展開に。53分の昌平は本間の折り返しから、小見が枠へ収めるも、吉田がキャッチ。直後には武南も水野のパスに植田が走るも、ここは唐木が大きくクリア。以降も流れをなかなか引き寄せ切れず、66分には3人目の交替として、杉本と井上修吾(3年・白岡中)をスイッチして、反撃態勢を整えます。

輝いたのは「両サイドバックが今までのウチにいないタイプなので、そこはウチのストロングポイントとして生かしながらやっていますね」と藤島監督も認めた"左のストロング"。66分。須藤のパスに走った小澤がスプリントからエリア内へ潜ると、マーカーはたまらずファウル。主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーは小見。「あの蹴り方で外したことがないので、自信を持って蹴れています」という"7×3"からの小刻みな助走を経て、GKの逆を突いたキックを右スミへグサリ。左サイドバックの積極性から、ストライカーがきっちり結果を。両者の点差は3点に開きました。

相次いでカードを切るのは昌平。68分には1枚目のカードとして井野文太(2年・FC LAVIDA)、71分には2枚目のカードとして津村岳杜(3年・クラブ・ドラゴンズ柏)をピッチへ解き放ち、狙う追加点と取り掛かるゲームクローズ。武南も74分には中込翔(3年・川口戸塚西中)を投入して最後の勝負へ。76分は武南。右CKをショートで蹴り出した大谷は、青木のリターンから中央へ。水野のシュートはDFに阻まれるも、ゴールへの意欲は衰えず。

実った執念。77分。相手DFラインのパスミスを突いた井上は、ピッチ中央を独走。飛び出したGKとの1対1も冷静に左へシュートを打ち込むと、ポストの内側を叩いたボールはゴールネットへ転がり込みます。「3点目を取られた時点で選手たちも『もう無理でも守りはないな』と思ったと感じたので、攻撃的な選手を入れました」という指揮官の姿勢もリンクした9番の一撃。ようやくスコアボードの"0"が"1"に変わります。

4分が示されたアディショナルタイム。80+2分も武南。大谷が蹴った左CKは、西村がパンチングで回避。直後には5人目の交替として斎藤優斗(3年・FC KAZO)を投入すると、80+3分にも大谷が右CKを蹴り込むも、シュートには至らず。80+5分も武南。エリア右へ潜った井上のシュートは、西村がファインセーブで仁王立ち。そして、駒場の青空に吸い込まれたタイムアップのホイッスル。「相手の状況を見て判断するというベースは常にトレーニングレベルからやっているので、崩し切れなくてもセカンドを拾えばまた攻撃の連続もできますし、ちゃんとそこを出すために意識的にやれているのも非常に大きいかなと思います」と藤島監督も言及したように、大人の戦い方で武南を上回った昌平が、セミファイナルへと勝ち上がる結果となりました。

「ある意味でトレーニングレベルで構築してきたモノを、すべてピッチで出すという状況でしか物事を考えていないので、ゲームで行き当たりばったりで良さが出たという状況ではないと。ある程度トレーニングの中で良さが光ってきた選手が、試合で良いプレーを出している所はあるので、そういう意味では積み重ねが結局は確たる力になるというのを信じながら、またさらに積み重ねていきたいと思います」と藤島監督が語ったように、昌平のベースにあるのはトレーニングの強度。公式戦のメンバーに入る競争自体がハイレベルであり、そこを勝ち抜いたことで得られた自信が試合のピッチでも十分に体現されているのかなと。

「試合に出ていないメンバーが練習から凄く良いプレーをしてくれているので、自分もそういう所で助かっているなという感じはします。練習から凄くレベルが高いので、あそこで全員が100パーセントでプレーすることで、自分たちの自信にも繋がるので、凄く良い雰囲気でトレーニングできています」と唐木が話せば、「声の部分だったり、闘う姿勢を示していけば、みんなも付いてくるというか、僕らが"ここが最低限"という所を示していけたら、チームもより強くなってくると思うので、そこは心掛けていますね。進路が決まって浮かれている場合でもないですし、これからさらに厳しい世界が待っていると思うので、そこは満足せず、もっと成長できるようにということは考えていますし、チーム全体にそういう雰囲気があります」と中心選手としての自覚を明言するのは柴。現状維持はすなわち後退。この意識レベルこそ、昌平が誇る最大の強みなのではないでしょうか。

土屋

高円宮杯中継告知データ_1.jpg

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