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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2020年10月27日

全国高校サッカー選手権東京A準々決勝 都立狛江×関東第一@清瀬内山G

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狛江×関一.JPG

確実に実力を伸ばしてきている都立校と、3年ぶりの東京制覇を狙う強豪の激突。2年前の関東大会予選準決勝でも対峙した両者の再会は、引き続き清瀬内山グラウンドです。

前述したように2年前にも好チームを創り上げ、関東大会予選でベスト4進出を経験。一躍都立勢の中でも、その勢いが注目されるようになってきている都立狛江。今大会は1次予選からの登場となりましたが、玉川学園を6-0、都立桜町を5-2で下して勝ち上がると、2次予選でも延長までもつれ込んだ初戦の駒込戦を3-2で制し、2回戦のプロ内定選手を擁する修徳戦も、やはり延長戦の末に逆転勝利を掴んでアップセット完遂。あるいいは今の東京で最もノッているチームかもしれません。

最後に全国大会へ出場したのは2年前のインターハイ。以降は常に上位にこそ進出しているものの、晴れ舞台からは遠ざかっている関東第一。「あの素晴らしい舞台に立てたのは大きな財産なので、それを1個下の代に見せることが重要だと思っていて、この後のカンイチが強くなるのは、この舞台に立てるか立てないかで大きく違ってくると考えています」と話すのは、1年生で全国を経験した鹿股翼(3年・東急SレイエスFC)。迎えた今大会も本郷を6-0、東京農業大一を2-0と共に完封勝利で退け、クォーターファイナルへ。伝統を継承するべく、まずは西が丘行きの切符獲得を目指します。会場の清瀬内山グラウンドは、半袖でも暑さを感じるようなコンディション。12時15分。ゲームはキックオフされました。

「前半の20分だけは相手の出方を見ようと言っていた」と小野貴裕監督も話した関東第一も、慎重にゲームに入った狛江の噛み合わせもあって、序盤は動きの少ない展開に。前者はセンターバックの菅原涼太(3年・SCH FC)と池田健人(2年・大豆戸FC)のセンターバックコンビからボールを動かしつつも、無理に縦へは行き過ぎず、大きなチャンスは訪れません。

16分は狛江。ボランチの岩下柊斗(3年・目黒東山中)を起点に、右サイドバックの柴嵜春薫(2年・FCトッカーノ)と浪岡優太郎(3年・FC町田ゼルビアJY)を経由したボールから、石山靖也(3年・TACサルヴァトーレ)が上げたクロスは関東第一のGK笠島李月(2年・FC杉野)が丁寧にキャッチしましたが、24分にも右から柴嵜がロングスローを投げ込むと、ここは関東第一のボランチに入った肥田野蓮治(2年・FC東京U-15深川)がクリア。25分にも再び柴嵜の右ロングスローから、ニアで佐藤大介(3年・渋谷代々木中)が競り勝ったボールは鹿股がクリアしたものの、狛江もセットプレーで相手ゴール前を窺います。

さて、「今までは簡単に点が入るゲームが多かったので、多少攻め急いじゃった所はあったと思います」と類家暁(3年・東京ベイFC U-15)も話した関東第一。30分にはボランチの藤井日向(2年・C.A.ALEGRE)が短く付けたパスから、類家が左足で叩いたミドルはクロスバーにハードヒット。31分にも左からカットインしながら、枠へ収めた宇山輝(3年・FC杉野)のシュートは狛江のGK長澤舜(3年・世田谷深沢中)がキャッチするも、少しずつ踏み込まれた関東第一のアクセル。

35分も関東第一。左から類家が蹴ったFKに、ニアへ飛び込んだ宇山は当て切れず、長澤がキャッチ。39分は狛江。センターバックの伊木和也(2年・CLUB ATLETICO SHINJYUKU I.P.D.)が蹴ったFKは、笠島が丁寧にキャッチ。40分は関東第一に決定機。右サイドから北村磨央(3年・フレンドリー)が仕掛け、笠井佳祐(3年・VIVAIO船橋)とのワンツーから打ち切ったシュートは、またもクロスバー直撃。「ポストに2発ぐらい当たって、『今日は来ないな』みたいな感じがありました」とは類家。柴嵜、伊木、光山剣(3年・府ロクJY)、大鷲有哉(2年・調布FC U-15)の狛江4バックも高い集中力で、決定的なピンチは回避。最初の40分間はスコアレスで終了しました。

後半に入ると、早々に違いを見せたのは「『チームの調子が悪くても、チームの中で1人でも相手選手を上回るヤツがいたら勝てる』とは言われているので」と語る14番。41分。この日はボランチに入った肥田野がスルーパスを通すと、反応した類家は巧みに飛び出し、GKを外しながら無人のゴールネットへボールを送り届けます。「笠井が相手を外に引っ張ってくれていたので、空いたスペースに飛び込めた感じでした」という類家の2列目からの飛び出しで勝負あり。関東第一が鮮やかに先制します。

すると、続いたのは都内屈指の得点感覚を誇るナンバー10。49分に「前の試合は自分がスタメンで出れなかったので、今週は絶対出てやろうという気持ちでした」と口にした左サイドバックの弓氣田葵(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が斜めにパスを入れると、マーカーを背負いながらうまく前を向いた笠井の左足シュートは、対角となる右スミのゴールネットへ。0-2。点差が広がりました。

少し組織が崩され始めた狛江は、49分に1人目の交替。2トップの一角で奮闘した千葉秀智(1年・FC府中)を下げて、佐藤魅勇(3年・世田谷千歳中)を前線へ投入。関東第一も55分には1人目の交替として、宇山と沼田晃将(3年・東京武蔵野シティFC U-15)をスイッチして、さらなる前への推進力を。57分に左サイドハーフの小林隼人(3年・FC T.BRUE)と石橋洸大(3年・調布FC)を入れ替える2人目の交替を決断した狛江は、58分に右サイドから浪岡がシュートを打ち切るも、軌道は枠の右へ。追撃の狼煙とはいきません。

59分の主役は途中出場の3年生。左サイドでボールを持った弓氣田は、「得点に絡むパスが自分の持ち味だと思う」というその"持ち味"を存分に発揮する縦パスをグサリ。走った沼田はマーカーをフェイントで外すと、そのまま左スミのゴールネットへボールを送り届けます。「スタメンでは出ていない選手たちが練習からどんどんやってくれるので、スタートの選手もやらなきゃという気持ちになります」と類家も口にした通り、チームの底上げを促すかのような沼田のゴラッソ。両者の点差は3点に開きます。

61分に北村と安藤慎之助(3年・VIVAIO船橋)をスイッチした関東第一の勢いは止まず。64分。左から類家がCKを蹴り込むと、「前で競ってくれて、こぼれてきたのが流れてきたので合わせただけでした」という鹿股がバウンドしたボールをヘディングでプッシュ。右サイドバックも貴重な追加点を。0-4。関東第一、強し。

66分も関東第一。左サイドを単騎で運んだ安藤のシュートは、わずかにゴール右へ。直後は関東第一に2枚替え。菅原と藤井に替えて、堀井榛人(2年・C.A.ALEGRE)と迫川龍空(2年・FC渋谷)がピッチへ。70分も関東第一に決定機。笠井のパスに抜け出した堀井のシュートは長澤がファインセーブで弾き出し、詰めた沼田のシュートは光山が執念のブロック。いよいよゲームは最終盤。ラスト10分間の争いに。

72分は狛江。一際存在感を示していた浪岡が粘って残し、石山が枠へ飛ばしたミドルは笠島がキャッチ。長山拓郎監督も74分に杉本迅(2年・小山FC)、75分に伊藤悠馬(3年・緑山SC)を相次いでピッチへ解き放つと、77分にもチャンス創出。左から石橋が中央へ付け、佐藤の落としを浪岡がシュートまで持ち込むも、DFが何とかブロック。得点を奪い切れません。

5枚目のカードとして、79分に鹿岡翔和(1年・C.A.ALEGRE)を投入した関東第一は、直後にも左サイドを単騎で剥がした安藤がシュートを打ち切るも、長澤がファインセーブで阻止。逆に狛江は80+3分、右FKからゴール前に殺到した混戦の中、伊木のシュートがゴールネットを揺らしたものの、オフサイドの判定でノーゴールに。

ゲームを締めたのは、こちらも途中出場の3年生。80+4分。左サイドで前を向いた安藤は、「重いドリブルができる子」という指揮官の評価通りに鋭い突破からエリア内へ潜り込み、右足一閃。ボールは右スミのゴールネットへ軽快に滑り込みます。ファイナルスコアは0-5。「一番嬉しかったのは安藤と沼田が点を獲ってくれたことで、それは本当に良かったです」と小野監督も笑顔を見せた関東第一が、2年連続となる西が丘のセミファイナルへ進出する結果となりました。

試合後に小野監督の口から零れた言葉が印象的でした。「こういう表現が正しいのかわからないですけど、ここまで来るのに負けた場合に"波乱"とか、"取りこぼし"という言われ方をするんですよね。でも、ここから先は相手だってここまで勝ち上がってきている訳で、"強い、弱い"はないと思っているので、ゲームにちゃんと向き合える分だけ、楽な環境かなと思うんですよ。やっぱり子供だからいろいろなものを背負っちゃうし、ここまでは相手の『やってやろう』という気持ちもあるので、"波乱"が起きるのはここまでの3つの試合だと思うんです。ただ、準決勝や決勝になればたぶんちゃんとやってきた方が勝つはずですし、そこは信用しているので、どこが来ても慌てることはないと思います」。今大会も東海大高輪台や帝京、東京朝鮮といった昨年の西が丘組がベスト8を前に敗退しましたが、彼らの選手権へ挑む難しさを端的に表現した言葉かなと。

「久我山はたぶんもう1個強度が上がると思うので、今からワクワクしているんですけど、何とか勝ちたいと思います」と類家が語り、「久我山には知り合いがいるので、そこには負けたくないですけど、一戦一戦を見つめつつ、自分の良い所を出せるように頑張りたいですし、こういう時に勝ち切れるか勝ち切れないかでいろいろなことが変わってくると思うので、やっぱり全国に出たいですね」と鹿股も力強く意気込みを。3年ぶりの全国へ。関東第一、やはり強いです。

土屋

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