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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
9年ぶりの西が丘を目指す都立の実力校と、2年ぶりの王座奪還に燃える赤黒軍団。都立東大和と駒澤大学高のベスト4を懸けた80分間は、引き続き駒沢第二球技場です。
昨年度はインターハイ予選で東海大高輪台に、選手権予選で東京朝鮮に、共に0-1で敗れながらも好勝負を演じ、大きな存在感を示した都立東大和。そのゲームを経験した選手も最上級生として残る中、今大会は1次予選を無失点での3連勝できっちり突破。2次予選でも駒場学園に3-0と快勝を収めると、さらに先週の2回戦では東京朝鮮もPK戦で撃破し、1年前のリベンジに成功。確かな自信を携えて、堂々と西が丘行きの切符を強奪しに掛かります。
ここ10年で4度の東京制覇。第94回大会、第95回大会は2年続けて全国ベスト8へ進出するなど、近年は都内で最もコンスタントに結果を出し続けている駒澤大学高。「大野先生に言われているように例年より力はないので、全員で共通意識をもっと持って、チームで勝つということをやっていきたいです」と田口聖也(3年・1FC川越水上公園)も言及する今年のチームは、今大会も初戦の足立学園戦を2-0で切り抜け、2回戦の早稲田実業戦も延長までもつれ込みながらも、1-0で勝ち切ってクォーターファイナルへ。「3年生のみんなが応援に来れていない中で、西が丘に行ったら部員も入れる可能性はあると聞いているので、そこを目標にまずやっています」とは森尾波月(3年・インテリオールFC)。232名分の想いを背負って、目の前の一戦へ挑みます。3試合目の駒沢には少しずつ秋の気配も。15時30分。注目の好カードはキックオフされました。
まずはセットプレーで駒澤が掛ける圧力。5分には右サイドから奈良康平(3年・Forza'02)がロングスローを投げ込むも、東大和の左サイドバックに入った横森美勝(3年・FC多摩)がきっちりクリア。6分にも相手ゴールキックを田口が頭で跳ね返し、ルーズボールに反応した鈴木航生(2年・アーセナルSS市川)のシュートは枠の上へ。13分に奈良が蹴った右FKは、東大和の右サイドバック相澤優輝(3年・FC VIGORE)にクリアされたものの、ゴール前を窺う駒澤のアタック。
14分も駒澤。左に開いた神尾大聖(3年・MKFC)のクロスは東大和のGK石井開(3年・ラッフル瑞穂FC)がパンチングで掻き出し、詰めた田口のシュートはDFがブロック。19分に右から奈良が入れたFKは、東大和のセンターバック徳田里純(3年・FC.GONA)が丁寧にクリア。直後に田口が投げた左ロングスローは、中央でオフェンスファウルに。「相手も勢いがあると聞いていたので、それを飲み込む意識でやっていました」とは森尾。繰り返すシンプルなストロングアタック。
27分も駒澤。右サイドを駆け上がった奈良のクロスに、ファーへ走り込んだ鈴木は届かず。28分も駒澤。左サイドバックの薄田薫(3年・大豆戸FC)が繋いだボールを、奈良が打ち込んだミドルはクロスバーの上へ。32分も駒澤。沢谷航和(3年・VIVAIO船橋)を起点に、「推進力を持って出ていこうというのはずっと意識していました」と語るボランチの原幸士朗(3年・Forza'02)が右のハイサイドへ飛び出してクロスを上げるも、石井が確実にキャッチ。徳田と土屋慶(3年・立川第九中)のセンターバックコンビが睨みを利かせ、ボランチの古賀駿介(3年・Tama City United)と松田侑大(2年・国分寺第三中)もセカンド回収に奔走する東大和の落ちない強度。
なかなか決定機を創り切れない駒澤の歓喜は、「今シーズンの公式戦で点が獲れていなくて、結構焦っていた」というナンバーナインによって。34分。右サイドに開いた森尾がアーリークロスを送り込むと、ニアに飛び込んだ田口は「キーパーが来ていたのもあったので、ちょっとフワッとしたボールの方が可能性があるかなと思って」浮かせたヘディングを敢行。ボールはゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。「"シュート上手いキャラ"じゃないので、決めるとしたら押し込むゴールの方が多いんですけど」と笑った田口のテクニカルな一撃。駒澤が1点のリードを手にして、最初の40分間は終了しました。
後半に入ると、いきなり動いたスコア。42分。駒澤は右サイドへの展開から、奈良がグラウンダーで中央へ。「ボールが入ってきた時には結構キツくて、相手を背負っていたのでキープしようと思ったんですけど、ゴールが近かったので打ってみました」という田口の左足シュートは、ゴール左スミへ力強く飛び込みます。「ずっと点が獲れていなかったんですけど、前半の1点でちょっと気持ちが楽になったのかなとは思いますね」と大野祥司監督も言及した田口は、これで堂々のドッピエッタ。駒澤のリードは2点に変わります。
さて、2点を追い掛ける展開となった東大和は43分に1人目の交替。左サイドハーフで守備に奮闘していた横山陽樹(3年・府中第八中)を下げて、小野寺柊人(3年・東村山第四中)を送り込み、整える反撃態勢。46分に徳田が蹴ったFKは、駒澤のGK吉田朝登(3年・FC多摩)にキャッチされましたが、49分には荻原大翔(3年・バリオーレ日の出)が左サイドからクロスまで持ち込み、高西慧一郎(3年・国分寺第五中)のシュートは駒澤のセンターバック川野航平(3年・FCクラッキス松戸)がブロックしたものの、ようやく東大和に流れの中からフィニッシュが。
50分も東大和。左サイドで奪ったCKを荻原が蹴り込むと、ファーで横森が合わせたヘディングはゴール右へ外れるも、少しずつ漂い始めた"やれる感"。53分は駒澤。右から奈良が蹴り込んだFKは石井がパンチングで弾き出し、拾った及川大貴(3年・Forza'02)のシュートはGKを破るも、カバーに入った土屋がライン上でスーパークリア。59分は東大和。武智大地(3年・AZ'86東京青梅)が絡んで得た右FKを徳田が放り込み、ファーに突っ込んだ古賀のヘディングは枠の左へ。後半は手数で考えれば互角に近い流れまで。
「まず点を決められないようにセーフティに、というのと、相手も前、前になっていたので、カウンターを狙えたらいいのかなと思っていました」と森尾も話した駒澤は63分にチャンス。吉田のキックから、受けた奈良は右サイドをスラロームで抜け出し、打ち切ったシュートは石井がキャッチ。68分にも右サイドで鈴木が残し、神尾がト―キックで枠へ収めたシュートは、石井がファインセーブ。2点差のままで、ゲームは残り10分間の攻防へ。
駒沢のピッチに弾けた狂喜と絶叫。71分。中盤でルーズボールを収めた古賀は、ゴールまで約25m強の位置から迷いなく右足一閃。少し巻きながら美しい軌道を描いたボールは、右スミのゴールネットを鮮やかに揺らします。飛び出した完璧なゴラッソは東大和のナンバーセブン。1-2。1点差。にわかに活気付く東大和の選手とベンチ。
「2点目が入ってから、守備の意識がチーム全体としておろそかになってしまっていて、点が入ったミドルもプレスに行けずに、フリーで打たれてという感じでした」と森尾も口にした駒澤。73分に神尾の展開から、田口の左クロスを奈良が合わせたヘディングは石井がキャッチ。75分にも左サイドを運んだ鈴木のシュートはゴール左へ。勝負を決める次の1点を奪えません。
76分は東大和にチャンス。荻原の果敢な仕掛けから獲得した左CK。荻原が自ら蹴ったキックは、中央でオフェンスファウルという判定。駒澤も76分には1人目の交替。普段はT2を主戦場にしながら、アシストも記録した奈良に替えて、内藤豪(3年・横浜・FマリノスJY追浜)をピッチへ解き放ち、ゲームクローズに着手。80分は駒澤のカウンター。森尾がドリブルから右へ流すも、神尾のシュートは石井が気合でキャッチ。アディショナルタイムの掲示は3分。1点差で突入する最終盤。
80+3分は東大和のラストチャンス。左サイドで得たFK。荻原が丁寧に、丁寧に蹴り込んだボールに東大和イレブンが殺到すると、一度はファンブルし掛けたボールを吉田も丁寧に、丁寧にキャッチ。「1点決められた後はやっぱり怖くて、全体的にちょっと焦っていた部分もあるんですけど、今日は厳しい声も言い合えていたので、みんなで声を掛けながら1失点で抑えられたのかなと思います。試合が終わった瞬間はみんな一気に力が抜けた感じでした」とは田口。駒澤が東大和の追撃を何とかかわし、2年ぶりに西が丘のセミファイナルへと勝ち上がる結果となりました。
「初戦から比べると、23名のゲームに入る取り組み方はだいぶ変わってきたなと自分でも思っていて、ゲーム内容だけを見ると成長し切れていない部分はあるんですけど、1人1人の取り組み方としては成長できていると思います」と原が試合後に話した通り、"取り組む"姿勢の部分でこの3つの勝利は駒澤に大きなものをもたらしてきたのかなと。「今年は特別上手くもないですし、強くもないですけど、まとまればできるかなというのはあります」とは大野監督。まとまっていく過程と、勝利という結果がうまくリンクしつつ、一体感が出てきている雰囲気は、チーム全体から伝わってきました。
加えて、「もちろん部員全員がそうですけど、メンバーに入っていない3年生のことを考えると、絶対西が丘には最低限連れて行って、自分たちの戦っている姿を一緒に見て欲しいなと思っていたので、さらに駒澤ならではの一体感を持てるのは、ここからだなと思います。自分もあの応援を受けてプレーしたくてここに入ってきましたから」という原の言葉は、おそらくメンバーに入っている3年生の共通認識。「自分たちのチームは試合に出れない人の方が全然多い訳で、その中で200人以上の仲間に結果で応えないといけないと思うし、もうその場は選手権しか残っていなので、親や多くの人に結果で感謝を伝えたいと思っています」と田口。3年間の苦楽を共にしてきた彼らのチームメイトによって、赤く染まる西が丘のスタンドが今から楽しみです。
土屋
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