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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
【Pre-match Words 柏レイソル・輪湖直樹編】
(2015年8月14日掲載)
Q、今シーズンから監督が変わったことによって守備のやり方も変わったと思いますが、そういう部分が特に序盤は影響した部分もありますか?
A、もちろんやり方が去年とは違いますし、そういった所でチームとして試行錯誤しながらやってきている最中であって、それが最近になって形になってきているんじゃないかなと思います。
Q、輪湖選手ご自身は吉田(達磨)監督のサッカーを良くご存じだと思いますが、チームにはそうではない選手もいた中で、そのギャップがあった部分もありますか?
A、監督が描いているサッカーというのと、選手が描いているサッカーという所で少しうまく行かなかった部分ももちろんあったと思いますけど、新しいことにチャレンジするということによる難しさというのももちろんありますし、そういった所で特に序盤戦の勝てない時期とかは「このままでいいのか」という迷いというのも少しはあったとは思います。
Q、吉田監督に対する周囲の期待や評価もある中で、少し選手たちが構えてしまったというか、「達磨さんのサッカーはこういうものだ」と思い過ぎてしまったような部分はありましたか?
A、あると思います。理想とするサッカーに自分は選手として近付けられるようにどうしたらいいかとか、どういったプレーが良いのかというのを考えることはもちろんあります。でも、今までタイトルをずっと獲ってきた中で変わるというのは本当に難しいことだと思いますし、新しいことや難しいことにチャレンジしているということだと思うので、やっていることは間違っていないと思いますし、今は付いていこうという気持ちでやっているので、頑張っている最中ですね。
Q、ご自身は飛躍的に試合の出場時間が増えていると思いますが、個人として去年と何か違う部分はありますか?
A、去年もしっかり練習から当たり前ですけど頑張って取り組んでいて、今年はそれプラス試合に出られているということがあると思うので、今年は試合に出ながら反省して、それにまたすぐ試合で取り組めるということが本当に良いサイクルでできていて、かと言って去年と違うことは何かと言われたら、本当に単純に試合に出ているか出ていないかという違いしかないと思います。
Q、試合に出続けていることで日々の取り組みが変化してきたようなことはありますか?
A、試合に対して真摯に考えるというか、日常生活でも試合のことを考えながら行動するようになったと思います。
Q、今シーズンのサッカーはサイドバックが生きるスタイルというか、ワンタッチツータッチで崩してサイドバックが裏に走るということも序盤戦は特に多くて、かなりやりがいのあるポジションなんじゃないかと思いますが、そのあたりはいかがですか?
A、本当に序盤の時はそれがうまく行っていたと思いますし、やっていても見ていても本当に楽しいサッカーだと思います。
Q、昨日の神戸戦(2015年J1 2nd-第6節 〇2-0)のスーパーゴールについて振り返っていただけますか?
A、全然スーパーゴールじゃないですけど(笑) クリス(クリスティアーノ)がクロスを上げた時にヘディングでセンターバックがクリアしたと思うんですけど、やっぱり遠くには飛ばないですし、だいたいこぼれてくる所というのは決まっていると思うので、そこで相手より先に触ることが自分のポジションだったら大事なことなので、そこを意識してまずポジションを取っていて、本当にそこにボールがこぼれてきた時に、相手も後ろからプレッシャーに来ていて、前にももちろんディフェンダーがいて、そこでうまくトラップすることだけを意識して。まあそこではちょっとトラップはずれてしまいましたけど(笑)、あとは気持ちでシュートは持って行きました。
Q、全然簡単じゃないハーフバウンドだったと思うんですけど。
A、そうですね。まあトラップした後はボールが自分の近くにあったので、本当にシュートのミートだけを意識して振り抜いただけなので、バーに当たった時は「大丈夫かな?」と思いましたけど(笑)、入って良かったです。
Q、山東魯能戦でもそうでしたし、昨日の試合もそうでしたし、輪湖選手が日立台で決めるゴールは劇的というか、何かスタジアムを凄く沸かせるゴールを決めている印象もありますが、それに関してはいかがですか?
A、「もっともっと得点に絡みたいな」というのは昨日得点をしてからも思いましたし、得点に繋がるプレーというのは本当にチームを助けると思います。今年はまだそこまでゴールとアシストの数は多くないので、もっともっと得点は取りたいですし、アシストもしていきたいなと思っています。
Q、やっぱり日立台でのゴールって格別ですか?
A、そうですね。やっぱりサポーターの声援というのはもちろん聞こえますし、得点を取った後のゴール裏とかのサポーターの雰囲気も最高ですし、またすぐ取りたいです(笑)
Q、ボールを回すことに対する意識とか焦れないという意識を考えると、ユースの監督をされていた頃の吉田監督は極端に言えば「回し倒せ!」というような感じだったと思いますが、実際にユース時代と今の両方を体験されている輪湖選手から見て、「達磨さんも変わったな」と思うような所はありますか?
A、それはもちろん変わったなとは思います。昔の方が「徹底されている」という言い方はちょっとおかしいかもしれないですけど、もっとボールポゼッションに対して重点を置いていたと思いますし、今の方が「柔軟になった」と言ったらちょっとこれも語弊があるかもしれないですけど(笑)、本当に縦に速い攻撃もチャンスだと思ったらそれが一番有効なことだ思いますし、タツさんもそういったことを言っていますし、昔とは変わってきた部分はもちろんありますし、そういった部分は感じます。
Q、ちょっと「プロのチームの監督だな」という感じですか?
A、そうですね。あとはユースの時の方が怖かったです(笑)
Q、どういう部分が怖かったんですか?
A、たぶん僕も悪かったと思うんですけど、気を抜いている時じゃないですか(笑)
Q、結構声を荒げたりする感じですか?
A、そうですね。ちょっと思い出したくないです(笑)
Q、じゃあ、やめましょう(笑) ここからはキャリアのお話を聞かせてください。小学校4年からレイソルのアカデミーに入られたということですが、きっかけは何だったんですか?
A、きっかけは2つ上に兄がいるんですけど、兄もレイソルの下部組織に小学5年から入っていて、その自然な流れでセレクションを受けることになってというのがきっかけですかね。
Q、セレクションも簡単ではないですよね?
A、セレクションは小学3年の時だったので、あまり訳が分からずとまではいかないですけど、純粋にサッカーを楽しんでいた頃でしたし、確かミニゲームかなんかだったと思いますけど、単純に負けたくないという気持ちで一生懸命やっていたら、結果的に受かっていたという感じです。でも、兄がいたというのももちろんプラスに働いていたと思います。
Q、お兄さんがいたことで「レイソルの下部組織へ入れるかも」というような意識のハードルが、ちょっと周囲より低かったというのはありましたか?
A、いや、それはないですね。でも、その当時は何も考えずに普通にセレクションは受けていましたね。特に緊張することもなく、普通にサッカーをしに行ったという感じでした。あまり覚えていないです(笑)
Q、入ってからはいかがでしたか?
A、入った時はやっぱり他の選手の上手さに衝撃を受けました。セレクションの時はそんなに感じなかったですけど、入ってからは「こんな上手いヤツがいるんだ」という感じで。地元の少年団でやっていたので、入った時にはその衝撃で焦りというか「もっと頑張んなきゃな」という風には思いましたね。
Q、今プロでやっている選手で、その当時「コイツはヤバいな」と思った選手はいますか?
A、6年生の時になっちゃうんですけど、年代別代表みたいなチームで柿谷曜一郎と一緒にやった時は、「とんでもないヤツがいるな」と(笑) 「あ~、凄いなあ」と思いましたね。
Q、年代別代表なんて日本の超トップクラスの集まりですけど、その中でも柿谷選手は凄かったんですね。
A、ズバ抜けていましたね。感覚が「普通の人と違うな」というか、ボールタッチの柔らかさとか、ちょっと言葉で表現し切れないですけど(笑)、とにかく上手かったです。「サッカーの才能があるってこういうことなんだな」っていう感じですよね。
Q、日立台でセレッソと試合をした時にも、確か試合後に話をされていましたよね?
A、はい。試合中もピッチに入った瞬間にハイタッチとかしちゃいました(笑) もう昔からの仲で、徳島でも2年間一緒にやったので。アイツは衝撃的でしたね。でも、レイソルのジュニアに入った時ももちろん衝撃的でしたけど、みんな少しずついなくなっていってしまったので。その当時はその時その時で、途中から入ってくる選手もいるので、そういった選手たちもみんな良い選手でしたし、そういう選手たちと切磋琢磨したおかげで今ここに来られたなとは思いますね。
Q、今おっしゃったみたいにU-12からU-15、U-15からU-18とカテゴリーが上がると外から選手も入ってきて、ふるいに掛けられていくと思いますが、そのステップアップは順調だった感じですか?
A、そこに関しては順調でしたけど、そのタイミングタイミングで「ああ、ヤバいな」というのは自分でも感じながらやっていました。本当に他から良い選手が来ますし、特に小学校から中学校へ上がる時も外から良い選手がゴソッと入ってきて、危機感を覚えながら上手くなっていった気がします。それが良かったんだと思いますけどね。自分より上手い選手がいるということに危機感を感じながらやってこられたというのは良かったです。
Q、今から見ると1個下の代が目立っていた代のように思えますけど、輪湖選手の代も高校3年のJユースカップは準優勝していますし、結果も出ていたチームでタレントもいた代だと思います。ただ、1個下にそういう選手たちが揃っていたことで難しさのようなものはありましたか?
A、いや、1個下の代と僕らの代は色々と接点のある代で、1個下が中学生の時にナイキプレミアカップで優勝して世界大会に行く時に、僕らの代とミックスして行ったりとか、本当に色々な接点のある代だったので、仲も良かったですし、いがみ合うようなことはまったくなかったですよ(笑) どちらかと言ったら、1個下の代の方がしっかりしたサッカーをやっていたというか、僕らの代は個性派集団みたいな感じでアクセントになっていて、そのあたりで本当にバランスも取れていたと思います。
Q、個人としても高校3年時にはサテライトリーグに出場されていたと思いますが、トップには上がれなかったということですか?
A、そうですね。上がれなかったと思います。途中で僕が断ったというのもありますけど、結果的にもしそのままトップの練習に参加していても、上がれなかったと思います。自分は高校3年の春にトップのキャンプに行ったんですけど、そこで「ああ、無理だ」と思いました(笑) 筋トレして、走って、練習してみたいな。それが筋トレの段階で体もバキバキでしたし、走れなかったですし、他のトップの選手たちはそれをキツそうとはいっても普通にこなしていて、「こんなん毎日あったらサッカー選手としてやっていけない」と思いました。まず「まだサッカーじゃないし」とか思って(笑)
Q、まだ筋トレと走りですもんね(笑)
A、そうですね。筋トレして、走って。「プロってこうなんだ」と思って、それで「無理だ」と思いました。もちろん高校生だから慣れていないというのもありましたけど、それにしても「やっぱりプロは無理だ」と、「大学に行こう」と思っていたんですけどね(笑) その後、たまたま甲府に練習参加したら「獲ってくれる」ということになりましたけど、その時も正直あまり... 「大学に行きたいな」と思っていたんですけど、タツさんが「行った方が良いんじゃないか」と。「こんなチャンスはなかなかないんだし」と言ってくれて「ハイ」と。そうなったら「ハイ」としか言えないですよね(笑)
Q、甲府は何回か練習参加してという形で入ったんですか?
A、1回だけです。2日間だけですね。それで「すぐ獲る」と言ってくれて。でも、僕はその時に大学を考えていたので、「決断を早くして欲しい」と言われていて。それで入ったんですけど、結果的にタツさんが柏にも呼び戻してくれて(笑) タツさん"さまさま"です。プロに行かせてくれて、柏にも呼び戻してくれて。
Q、去年のスタートミーティングで輪湖選手にお話を伺った時に、「達磨さんがオファーをくれた時に『オマエの試合を何十試合見ているけど』と言われて、そんなに見てもらっているとは思っていなかったので、ちょっと怖いなと思いました」とおっしゃっていたのが凄く印象的だったんですよね。
A、「監視されているな」って(笑) 昨日もその話をしていたんですけど「監視されているな」って。「もっとちゃんとやっておけば良かった」かなって(笑)
Q、水戸に在籍していた時期は少し徳島で出場機会を失った後でしたし、監督も柱谷(哲二)さんという非常に情熱のある方でしたし、1つの転機だったんじゃないですか?
A、そうですね。やっぱりあれだけ試合にも出ましたし、試合に出続けることもできましたし、自分のプレーが良くない時も使い続けてもらったということも哲さんには本当に感謝しています。本当に試合経験をたくさん積めた2年間でしたね。水戸はみんなにチャンスがあると言ったらおかしいですけど、頑張っている選手にはチャンスをくれるチームだと思いますし、チームとしてもしっかりしたやり方があって、正直お金はないチームですけど、うまくやり繰りしている印象もあります。
Q、今でも水戸の結果は気になりますか?
A、もちろん見ています。自分がいた時の選手も結構今でも多いですし、みんな頑張っていますからね。最近は少しずつ勝ててきていると思うので嬉しいですね。
Q、レイソルに戻ってこられた今は相当充実されていますか?
A、充実していますね。本当に今のサイクルというのは試合に出て、反省して、それを踏まえてまた試合に臨めてという形で、それはサッカー選手として最高のサイクルだと思うので、それをJ1でできているというのもあって、今は楽しくてしょうがないですし、もっともっと上手くなりたいなと純粋に思っています。
Q、2008年に甲府へ入団した頃を考えると、レイソルへ戻ってくるというのは想像できなかったですか?
A、もうここを出た時から戻れないと思っていました。さらに年数を重ねれば重ねるほど「無理だな」と感じていましたし、どんどん遠い存在になってしまいましたね。レイソルもJ1で優勝までしていたので(笑)、「どんどん離れて行っちゃうな」と。その中でも工藤(壮人)や一緒にやっていた色々な選手が頑張っているというのが刺激にもなっていましたし、自分も頑張らなきゃなという風には思っていました。
Q、そういう意味では不思議な感じもありましたか?
A、そうですねえ... でも、悔しさというか、途中からはレイソルを応援する立場になっていましたね。「工藤頑張ってくれよ」みたいな。「どれだけアイツら上手くなっているんだろう?」みたいな。カテゴリーも違って対戦することもなかったので、そういう風に思っていました。
Q、実際ここに帰ってきたらみんな上手くなっていましたか?
A、みんな大人になっていましたね。人間的に(笑) プレーが上手くなっていたというのはあまり感じないと言ったらおかしいですけど、力強くなっていたというか、プロらしくなっていましたね。考え方とか体の強さも含めて。昔はポゼッションというのをみんなで意識していましたし、それにプラスしてプロらしく力強くなっていたという印象があります。
Q、それは先輩から見てという視点ですよね。
A、まあアイツらは僕を先輩だとたぶん思っていないでしょうけど(笑)
【プロフィール】
柏U-12、U-15、U-18でプレーし、2008年に甲府へ加入。徳島、水戸を経て2014年に柏へ完全移籍。ユース時代の恩師でもある吉田達磨監督が就任した今シーズンは、左サイドバックのレギュラーとして飛躍的に出場機会が増加。リーグ戦で2ゴール、ACLで1ゴールを挙げるなど、その攻撃力も高く評価されている。
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取材、文:土屋雅史
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