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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
ベスト8進出を真剣に狙う都立高と、10年ぶりの全国を目指す超名門がぶつかる2回戦。都立青山と帝京の一戦も、引き続き駒沢第2球技場です。
昨年の新人戦は地区予選2回戦でPK負け。インターハイ予選は支部予選を2連勝で勝ち上がりながら、1次トーナメント初戦では日大三に1-4と敗れるなど、なかなか思わしい結果の付いてこなかった今シーズンの都立青山。ところが、今大会は都立雪谷に2-1、都立板橋有徳に7-1、都立光丘に2-1と怒涛の3連勝で堂々の1次予選突破を果たすと、先週の2次予選初戦でも都立調布南を延長戦で下し、都立勢相手の"4タテ"で一気にベスト16へ。ここで激突するのは高校サッカー界にその名を知られる超名門。相手にとって不足はありません。
ここ4年で3度の決勝進出を果たしながら、いずれもあと一歩で涙を飲み、冬の全国出場からは10年間も遠ざかっている帝京。今シーズンはプリンス関東で強豪相手に腕を磨き、一定以上の結果を出してきましたが、肝心のインターハイ予選は準決勝で大成にPK戦で屈し、全国への道は引き寄せ切れず。「インターハイは勝てるという気持ちが逆効果になってしまって、悪い方に行ってしまったので、一戦一戦大事にして、去年の屈辱を晴らせたらなと思います」と話すのは、昨年からレギュラーを務める石井隼太(3年・FC東京U-15むさし)。まずは今大会の初戦となる80分間へ全力で挑みます。14時の駒沢は曇天模様もあって、少し寒さも感じるような気候。第3試合は帝京のキックオフでスタートしました。
いきなりのチャンスは青山に。開始5分にいきなり左サイドを山田渉斗(2年・世田谷桜木中)が抜け出し、そのままフィニッシュ。ボールは帝京のGK冨田篤弘(3年・FC多摩)の正面を突き、先制とは行かなかったものの、青山が掴んだ突然の決定機にスタンドもどよめきながらゲームは立ち上がります。
ただ、ピンチの後にチャンスあり。帝京は5分に右サイドバックの本山大器(2年・FC東京U-15深川)が後方へ戻したパスを、10番を託された深澤大輝(3年・鹿島アントラーズつくばJY)はダイレクトでクロス。ファーサイドに潜った佐藤悠生(3年・三菱養和調布JY)は冷静なトラップから、左スミのゴールネットへボールを流し込みます。「しっかり相手の位置とかスペースとかゴールを見て、良いアシストができたのかなと思います」とは深澤。帝京が早くも1点のリードを奪いました。
次の歓喜は19分。鳥木秀音(3年・東急SレイエスFC)と柳大弥(3年・三菱養和調布JY)から組み立てたシンプルなパスワークをスタートに、深澤は丁寧に右サイドへ。ここに開いていた小島匠瑛(3年・FC東京U-15深川)は冷静なフィニッシュワーク。ボールは左スミのゴールネットへ転がり込むと、22分にもボランチの石川航大(3年・鹿島アントラーズつくばJY)が右へ流し、中瀬拓夢(3年・FCトリプレッタJY)のシュートも左スミのゴールネットへグサリ。3分間で両者の点差は3点に広がります。
小さくないビハインドを負った青山も、前線の山田と小川豪(2年・バディSC)、右に宮崎祥(2年・練馬大泉北中)、左に下村悠斗(1年)を配したサイドハーフへ、ボランチの川田隼(2年・江東有明中)や加々井準(2年・アスルクラロ八潮)から早めにボールを付け、アタックの可能性を探るものの、なかなか手数には結び付かず。30分は帝京。深澤が左へ展開したボールから、石井がクロスを上げ切り、小島のヘディングは枠の右へ。34分も帝京。高橋岳(3年・鹿島アントラーズつくばJY)、小島と回したボールから、中瀬のシュートは青山のGK桧山和将(2年・世田谷桜丘中)がキャッチ。39分も帝京。石井のパスから、高橋が放ったシュートはゴール右へ。「何回かは決めて欲しかったですね」と笑った石井の高いチャンスメイク力。
40分の追加点も起点は10番から。「体の向きを1回中に持ち込んで、味方が走っていたのでそこに流して、良いパスが出せたのかなと思います」と自ら振り返る深澤の丁寧なスルーパスを受け、左サイドを運んだ高橋はそのままフィニッシュ。ボールはゴール右スミへ吸い込まれます。「いつも自分が調子良い時ぐらいにできたのかなと思います」という深澤はこれで3アシストの大活躍。帝京が4点のリードを手にして、前半の40分間は終了しました。
ハーフタイムの交替は帝京に。中瀬を下げて、須藤晃志(3年・ヴェルディSS相模原)をそのまま右サイドハーフへ送り込むと、後半も開始から続く攻勢。42分に石川が右へ流し、佐藤のシュートは枠の右へ。43分にも石川がスルーパスを刺し、高橋のシュートは青山のセンターバック浜崎史哉(2年・緑山SC)が寄せ切り、こぼれを桧山がキャッチ。45分にも右から本山がクロスを放り込み、ニアで高橋が当てたヘディングはクロスバーの上に外れるも、チャンスを連続して創り出します。
すると、次に生まれたゴールは途中出場の17番が。47分に石井が左から鋭いクロスを供給し、小島を経由したボールを須藤は右足一閃。ボールは左スミのゴールネットへゆっくりと吸い込まれます。0-5。いわゆる"夢スコア"。攻め手を緩めないカナリア軍団。
50分も帝京。石川のドリブルミドルは桧山がキャッチ。51分も帝京。深澤の左CKから、柳が頭で残したボールを高橋が狙うも、桧山ががっちりキャッチ。52分の帝京は2人目の交替として、本山と市川颯馬(2年・FC東京U-15むさし)をスイッチ。54分は青山に最初の交替。宮崎に替えて米富健人(1年)を投入し、サイドの推進力に変化を。57分も帝京。ルーズボールを収めた小島のシュートはゴール左へ。58分も帝京。粘ってキープした高橋のシュートは枠の上へ。
60分は双方が切り合う交替カード。帝京は高橋と行橋垂生起(2年・Forza'02)を、青山は山田と早川尚希(1年)をそれぞれチェンジ。63分は帝京。石井の左アーリーに、こぼれを枠へ収めた市川のシュートは、桧山が体で果敢にセーブ。65分は帝京がGKの冨田と佐藤大地(2年・鹿島アントラーズノルテJY)を入れ替える3人目の交替を。66分は青山が2人目の交替として小川から柳田恵佑(2年・豊島千登世橋中)へ、68分は帝京が4人目の交替として佐藤から沢田庸眞(3年・ジェファFC)へバトンを。69分は帝京に決定機。石川のパスから市川のシュートは、カバーに入ったDFがライン上でクリアし、続けて沢田が打ったシュートもDFが執念でブロック。右から加久保陽太(2年・大森FC)、鈴木司恩(3年)、浜崎、白木啓介(2年・板橋上板橋第三中)で構成された4バックも、後半は高い集中力で失点を重ねません。
71分は青山に4人目の交替。ボランチで奮闘した加々井と頼経智希(1年)をスイッチして、何とか返したい1点とその先。76分は帝京。右から市川が中へ入れたパスを石川がスルーし、沢田のシュートはクロスバーをかすめて枠の上へ外れたものの、帝京らしいアタックを。77分も帝京。市川を起点に、右へ開いた小島が折り返し、入り込んだ市川のシュートはゴール左へ。79分も帝京。右から須藤が叩いたシュートはゴール左へ。80分も帝京。石井の左クロスはピンポイントで入るも、ニアに飛び込んだ石川のシュートは枠の左へ。アディショナルタイムは2分。いよいよゲームも最終盤へ。
大トリは2年生のナンバーイレブン。80+1分に右サイドを少し運んだ石川は、中央へグラウンダーで正確なクロス。ニアへ潜った市川は、飛び出したGKを確実に外しながら、ボールをゴールネットへ滑り込ませます。ファイナルスコアは0-6。「普段と違う緊張感の中でやって、あまり動けなかったなと。ここで1回勝ったので、次の試合に繋げていきたいと思います」と柳も話した帝京が、準々決勝へ進出する結果となりました。
「深澤はずっとケガでやっていなかったんだけど、夏ぐらいから復帰して、人一倍走ったりとかしていたし、下のカテゴリーでも一生懸命腐らずにやり続けていたからね」と日比監督も話した深澤は、この大事な選手権予選の初戦で3アシストと大活躍。本人も「スタメンは本当に自分でもビックリしましたけど、凄く嬉しくて、やってやろうと思ってやりました。凄く10番に重みを感じました」とも。それでも、Bチームを中心となって牽引してきたことで「自分で積極的に声を出したり、試合中でもフォワードを動かしたりしてやっていたので、今日の試合でもそういうのができて良かったと思います」と話したように、Aチームでも臆せずにプレーできているようです。「Aに入ったのは夏休みが終わってぐらいで、ケガから復帰したのは7月の最初ぐらいだったので、半年前は今の状況は全然考えられなかったです」と話しつつ、「ここからは一戦一戦大事にして、自分が試合に出れば、しっかりやり切って悔いのないようにしていきたいです」と言い切った新10番。あるいはカナリア軍団復権のキーマンは、遅れてやってきたこの男かもしれません。 土屋
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