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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年09月13日

T1リーグ2019第11節 國學院久我山×駒澤大学高@國學院大たまプラーザG

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久我山×駒澤.JPG

Tリーグ、関東大会予選、インターハイ予選に続く4度目の対戦は、都内における両者のファイナルバトル。國學院久我山と駒澤大学高のビッグマッチは、國學院大學たまプラーザキャンパスグラウンドです。

全国制覇を明確に目指して挑んだ沖縄でのインターハイは、初戦で鹿児島代表の神村学園に2-3というスコア以上の力負け。この試合を前後に挟んだTリーグでも敗れたことで、まさかの公式戦3連敗という苦境に陥っていた國學院久我山。ただ、「言い方は悪いですけどカッコ悪くても、泥臭くやっても、久我山らしさをなくしても、勝ち点3を取りに行こうということを意識しました」と戸坂隼人(3年・FC東京U-15むさし)も振り返ったT1の都立東久留米総合戦に3-0で勝利を収め、4試合ぶりの白星を獲得。「夏休みにハードなトレーニングも彼らに課した中で、3年生がリーダーとなって良く頑張ってくれたんじゃないかなと思います」とは清水恭孝監督。気持ちも新たに都内屈指の難敵と対峙します。

インターハイ予選では早大学院、多摩大目黒、都立東久留米総合と曲者揃いのブロックを抜け出し、最後は準決勝で國學院久我山に延長で競り負けたものの、今シーズンも十分に全国を狙い得るチームであることを証明してみせた駒澤大学高。「夏休みはなるべくアップとか荷造りとか、戦術の部分とか、それこそ試合でも先発のメンバーとかシステムとか、交替のメンバーまで自分たちで決めさせてずっとやっていました」と大野祥司監督も話したように、この夏の選手たちはより自主性を養ってきた様子。「責任は完全に自分たちにあると思うので、そういう所の責任感はなくてはいけないと思っています」と口にするのはキャプテンの小林蒼太(3年・Forza'02)。久我山とはここまで3度の対戦でいずれも敗れているため、"4度目の正直"を達成すべく、勝負の90分間へ向かいます。会場のたまプラーザは台風接近の予報もある中で、青空も広がる天気模様。楽しみな一戦は駒澤のキックオフでスタートしました。

ファーストチャンスで引き寄せた歓喜。7分に駒澤はセンターバックの原田大渡(3年・FC東京U-15深川)が左サイドへフィードを送り、落下地点に入った林駿佑(3年・クラブ与野)がヘディングで縦へ流すと、ラインの裏へ潜ったのはスタメン唯一の2年生となった佐藤海来(2年・杉並アヤックスU-15)。飛び出したGKの鼻先でつついたボールは、ゴールネットへ転がり込みます。「この夏に伸びたことでその気になって、かなり結果を出し続けていたんですよね」と大野監督も認める成長株が見事な先制弾。駒澤が先にスコアを動かしました。

早くも追い掛ける展開となった久我山。10分には田中琢人(2年・ジェファFC)が左へ流し、山下貴之(3年・ジェファFC)がドリブルから左足で放ったシュートは、駒澤のGK三浦健太(3年・S.T.FC)がキャッチ。15分には駒澤も小林蒼太が粘り、清水宏晃(3年・C.A.ALEGRE)が狙ったミドルは枠の上へ。18分は再び久我山。戸坂を起点に大窟陽平(2年・1FC川越水上公園)がスルーパスを通し、走った山本航生(3年・東急SレイエスFC)が右から折り返すと、大窟のシュートはクロスバーの上へ。「入りはまったく悪くないなと思ったんですけど、ちょっと勇気が足りなかったですね」とは清水監督。同点には至りません。

22分は久我山。戸坂と山本献(3年・横浜F・マリノスJY追浜)の連携で奪った右CKを戸坂が蹴り込み、ニアで加納直樹(3年・ジェファFC)がすらしたボールを、エリア内で山本航生がシュートまで持ち込むも、ここは林が体でブロック。32分は駒澤。ボランチの松本悠佑(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)、林、左サイドバックの手島大雅(3年・FCヴィエンタス)とボールを回し、小林蒼太のクロスから松本が叩いたボレーは枠を越えるも好トライ。ただ、「先制されてしまったんですけど、その中でも立て直して相手の陣地内で結構繋いでサッカーすることはできたかなと思います」と戸坂が振り返ったように、少しずつ久我山が掴み始めたゲームリズム。

スーペルゴラッソは11番のサイドバックによって。34分に福井寿俊(3年・東急SレイエスFC)の縦パスから、山本航生が倒れて手にしたFK。ゴールまで約25mの位置でスポットに立ったのは山本献。「新ルールになってカベの1メートル以内にに入れられなくなっちゃって。それでも膝立ちで隠した方がいいかなと思って、ちょっとブラインドにさせて、速いボールを蹴れば入るかなと」右足で撃ち抜いたボールは、完璧な軌道を描いて右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「基本ニアサイドというか、ゴールに近い方のポストを狙って蹴るんですけど、あっち側があまり得意じゃなくて。でも、今日は狙い通りでした」と笑顔の山本献が沈めた同点弾。たちまちスコアは振り出しに戻りました。

「キーパーとセンターバックの立ち位置とボールを動かすテンポを修正して」(清水監督)らしさを取り戻した久我山の攻勢。36分にはセンターバックの保野友裕(3年・東京武蔵野シティFC U-15)が打ち込んだクサビを山本航生が落とし、大窟が左へ送ったボールを山下が打ち切ったシュートは、駒澤の右サイドバックを務める森田陸翔(3年・クラブ与野)が体でブロック。そこから2本続けて山本献が蹴った左CKは、それぞれ小林蒼太のクリアと三浦のパンチングでシュートには至らず。38分には駒澤も林のパスを受けた佐藤が、エリア内で粘ってシュートを狙うも、久我山のGK村上健(2年・FC東京U-15深川)が丁寧にキャッチ。「前半は結構自分たちで考えながら行く所、引く所とか考えながらやっていて、上手く点が取れて『いいなあ』と思っていたら、逆に1点取ってから向こうがスイッチ入ってきましたね」とは大野監督。両者譲らずに1-1で、最初の45分間は終了しました。

後半はスタートから駒澤が一気に2枚替え。林と清水を下げて、「ウチの中では技術的にある方」と大野監督も評する橋本雄也(3年・ルキナス印西)と時田悠人(3年・Y.S.C.C.横浜U-15)を投入し、攻撃のアクセルを踏み込みに掛かると、早速46分には左サイドを橋本がドリブルで運び、手島の折り返しに力んだ時田のシュートはヒットしなかったものの、いきなり決定機を創出。52分にも右サイドを橋本が単騎で30m近く突き進み、そのまま左足で放ったシュートは枠の上に消えましたが、駒澤が漂わせる勝ち越しの雰囲気。

53分も駒澤。時田が入れたFKにセンターバックの小林泰晟(3年・FCクラッキス松戸)が競り勝ち、橋本のシュートはDFがブロック。54分は久我山。右サイドで粘った山下のクロスへ、飛び込んだ戸坂のシュートは枠の左へ。直後に駒澤は3枚目の交替として松本と田口聖也(2年・1FC川越水上公園)をスイッチすると、55分にはボランチの内田哲平(3年・坂戸ディプロマッツ)がスルーパスを通し、抜け出した田口のシュートは村上がファインセーブで掻き出しましたが、ペースは完全に駒澤へ。

一発で引っ繰り返した形勢。59分。うまくギャップでパスを引き出した大窟は一度右へ付けると、山本献のリターンを受けてエリア内へ侵入しながら、マイナスへ絶妙の折り返し。待っていた山本航生が流し込んだボールは確実に左スミのゴールネットへ飛び込みます。「航生が公式戦で久々に点を取ってくれたので、それが良かったですよね」と清水監督も安堵したように、山本航生は実に公式戦5試合ぶりのゴール。何とも"らしい"崩しから、久我山が逆転に成功しました。

「後半も何本か決め切るチャンスがあったと思うんですけどね」と小林蒼太も振り返った駒澤は、1点のビハインドを背負う格好に。62分には橋本のヘディングから、佐藤がエリア内で時間を創り、時田が枠へ収めたシュートは村上がキャッチ。63分には内田と森尾波月(2年・インテリオールFC)をスイッチする4人目の交替を施すと、66分に森田の右ロングスローから、ニアで佐藤が競り勝ったボールはフィニッシュへ繋がらず。69分に右サイドまで走った手島のロングスローは、保野が気合でクリア。72分と73分にも手島が右からロングスローを投げ込むも、前者は混戦から掻き出され、後者は保野が再び大きくクリア。逆に73分は久我山も山本航生のパスから、戸坂が枠を越える惜しいシュートを。拮抗。白熱。ゲームは楽しみなラスト15分へ。

77分は久我山。大窟が山本献とのワンツーでエリアへ潜り、打ち切ったシュートは三浦がファインセーブで仁王立ち。直後は駒澤。森田の右クロスを佐藤が残すと、田口の左足ボレーはゴール左へ。切り合うカード。78分は久我山。田中に替えて、ルーキーの安田修都(1年・ジェファFC)を右ウイングへ。82分は駒澤。佐藤を下げて、大岡忠義(3年・フレンドリー)をそのまま最前線へ。82分は久我山の右CK。戸坂のキックに保野が合わせたヘディングは、DFが何とかクリア。86分は駒澤。右サイドで手島が2本続けてロングスローを投げ込むも、共に久我山ディフェンスが執念のクリア。87分に久我山は2人目の交替。逆転ゴールを決めた山本航生がピッチを後にし、こちらもルーキーの小松譲治(1年・ジェファFC)が頂点の位置へ。点差は1点のままで、いよいよ最終盤の攻防に。

90分は久我山に3人目の交替。山下と茅野恵大(3年・FC東京U-15むさし)を入れ替え、ゲームクローズに着手。直後の90分も久我山。右サイドを切り裂いた安田の折り返しに、小松が合わせたシュートは三浦がキャッチ。90+2分は駒澤にセットプレーのチャンス。キッカーの時田が右から丁寧に蹴り入れたボールは、ファーで小林泰晟が競り勝って中央に戻されるも、この局面で保野はライン上にもかかわらず冷静なクリアで回避すると、90+4分に左サイドバックで奮闘し続けた森次結哉(1年・FC東京U-15むさし)と、野田祐成(3年・東京武蔵野シティFC U-15)もスイッチする盤石の態勢で逃げ切り成功。「最後はまた盛り返して集中してくれたと思いますし、今回は選手権に向けてという部分では、1試合通じて隙はあったと思うんですけど、勝ちに対してのこだわりを持ちましょうという部分がちょっと出たかなとは思います」と清水監督も一定の評価を口にした久我山が、逆転で勝ち点3を奪い取る結果となりました。

「今日に関しては久我山相手にまずは守備から入らないといけなかったと思うんですけど、そこの守備の強度は多少落ちてしまって、そこからやられちゃった部分はあったと思うので、良い守備から良い攻撃というのをやっていければいいなと思います」と小林蒼太は話したものの、久我山相手に押し込む時間帯を多く創るなど、やはりチームとして一定以上の力は披露した駒澤。「結局惜しいで終わっちゃうレベルなんですよね。こういうレベルでやれなければ、やっぱり東京でも準決勝や決勝で結果を出せないでしょうし、全国に行っても無理だと思うので、こっちもいつか化けてくれると思ってやっているんですけどね」と語った大野監督も、その"化ける"タイミングを待っている様子がよく伝わってきます。「今年は"自立"というテーマを掲げている上で、監督も多少は自分たちを信頼してくれていると思うので、そこに応えないといけないと思います」とは小林蒼太。ここからの1か月は彼らにとって、より"自立"できるか否かという勝負の時間になってきそうです。

「彼らがインターハイで勝てなかったからと言って、前期にあれだけの成績を収めたことがマグレではないと思っていたので、彼らの良さをより出すために、守備の強度というか、最後の集中力じゃないですけど、全体に意識を持たせると、苦しい時間帯で失点をしないと、そういうことをみんなで共有して想っていることが重要だし、あとはどこかで今まで勝ってきたこともラッキーも含めてだと思うんですよ。FC東京戦も最後にスーパーゴールが入ったりとか、インターハイの駒澤戦だって残り3分で負けていた可能性のあるゲームだと思っているので、そういう意味では隙のないチームにしていかなきゃいけないという話は彼らにしてあります」と清水監督。夏の悔しい敗戦を糧に、そこから立ち上がろうとしている姿勢が、このゲームは良く見えた90分間だったと思います。「インハイの負けの後にもチームとして勝てない時期が続いていた中で、『意識的に運動量を上げるのが一番の課題だ』とみんなで言っていて、神村戦でも走り負けた所もあったので、そういう所を詰めていくっていうか。1個、1個の局面で5メートルサボらなければ、その後に30メートル走らなくても済む、みたいな。そういうことを11人が意識してやるというのをみんなでやってきました」と山本献。今年のチームの実力は誰もが認める所。あとはディテールをとことん突き詰められるか。久我山のさらなる進化は、果たしてこの残された数か月でいったいどこまで。      土屋

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