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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年09月23日

プリンス関東第14節 FC東京U-18×前橋育英@小平G(2019)

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FC東京×育英.JPG

クラブユース界と高校サッカー界をそれぞれ牽引してきた関東の雄が激突するビッグマッチ。FC東京U-18と前橋育英の第14節は、おなじみ東京ガス武蔵野苑多目的グラウンド、"小平G"です。

いきなり3連勝を飾るなど、上々の開幕ダッシュに成功し、以降もきっちり勝ち点を積み重ねることで、まずは絶対的な目標であるプレミア参入戦の出場権獲得がいよいよ目の前まで迫ってきているFC東京U-18。「リーグの中でも最少失点というのが一番大きいと思います。13試合で9失点は他のチームに比べたら少なくて、絶対失点しなければ負けることはないので、そこをディフェンスラインとキーパーで意識してます」と好調の理由を語るのは、先日のルヴァンカップで2試合にベンチ入りを果たしたばかりの岡哲平(3年・FC東京U-15深川)。圧倒的な守備力をベースに、リーグ終盤へ向け最後のアクセルを踏み込む準備は整っています。

リーグ戦はここまで5勝3分け5敗とまったくの五分ではあるものの、3位以内は依然として十分射程圏内。初めてのプレミア昇格を目指すべく、奮闘の続く前橋育英。インターハイでは1回戦屈指のビッグマッチと称された青森山田戦も、攻撃する時間は長かった中で、開始早々の失点が響いて0-1で敗戦を喫すると、リーグ戦もそこから3連敗とやや停滞ムード。「自分たちが最弱の代と言われてきたことは事実なので、それを結果で返さなきゃいけないという気持ちでプリンスリーグに臨んでいる」とはキャプテンの渡邊綾平(3年・横浜F・マリノスJY追浜)。ここで好調の相手を叩くことで、浮上のキッカケを掴みたい一戦です。会場の小平は何とか天気も持ちそうな雰囲気。楽しみな好カードはFC東京のキックオフで幕が上がりました。

少し静かに立ち上がった序盤を経て、10分のファーストチャンスはFC東京。進境著しいボランチの常盤亨太(2年・FC東京U-15深川)が縦に付けたボールから、「J3でも経験をしてきて、やっぱりこの世代では絶対違いを見せないといけないというのは意識してきた」と語る久保征一郎(3年・太陽SC鹿児島U-15)がエリア外からシュートを放つと、育英もセンターバックの相原大輝(3年・クマガヤSC)が体でブロックに入り、GKの牧野虎太郎(2年・Wings U-15)がキャッチしましたが、まずは青赤のストライカーが積極的な姿勢を打ち出します。

育英も12分はセットプレーのチャンス。左から渡邊が蹴り込んだFKに、センターバックへ抜擢された稲村隼翔(2年・FC東京U-15深川)が飛び込むも、シュートは打ち切れず。13分には稲村が得意の左足で好フィードを送り、こぼれを叩いた熊倉弘達(2年・FCステラ)のボレーは枠の左へ。15分にも山岸楓樹(3年・大宮アルディージャJY)と水上翼(3年・ESA)の連携で手にした右CKを渡邊が蹴るも、久保が大きくクリア。20分にも山岸のパスから、左に流れたボランチの新井悠太(2年・前橋FC)がそのまま打ったシュートは、FC東京の右センターバックに入った大森理生(2年・FC東京U-15むさし)が体でブロック。この時間帯は育英に手数が。

ただ、ここからは「今年は前育さんに3回くらい負けっぱなしだったので、やっぱり逞しくならなくちゃいけないし、やっぱり負けっぱなしは恥ずかしいと。そういう気持ちを前面に出してサッカーしましょうと言いました」と中村忠監督も明かしたFC東京の続く攻勢。28分には安田虎士朗(1年・FC東京U-15深川)の仕掛けで得た左CKを金誠敏(3年・西東京朝鮮初中級学校)が蹴り入れ、久保のヘディングは枠の上へ。30分には相手の横パスをカットした角昂志郎(2年・東京武蔵野シティFC U-15)が、そのまま運んで狙ったシュートは枠の左へ。33分にも常盤が左へ展開したボールを、金は中央へ好クロス。久保が枠へ収めたボレーは牧野がファインセーブで応酬しましたが、FC東京のギアが一段階上がります。

すると、先制点はこの直後に。34分。右から森田慎吾(3年・FC東京U-15むさし)が蹴ったCKは稲村が何とかクリアしたものの、今度は金が入れた右CKに飛び込んだのは久保。「キッカーがここに絶対蹴るというのはわかっていたので、あと自分が合わせるだけだった」というヘディングは左スミのゴールネットを確実に揺らします。「高校3年生に入って、自分の中で何をしなきゃいけないという役割がしっかり整理できてきた中で、こうやって結果が出てきているので、そこは自分のやってきたことが正解だったのかなというのは感じています」という9番は、これが今季のリーグ戦初ゴール。FC東京が1点のリードを手にしました。

衝撃の瞬間は40番によって。前半終了間際の45分。ここも相手の横パスを奪った角は、「正直パスを出そうと思ったんですけど、そこで1回『自分で決める』というのを考え直して」、ゴールまで40m近い距離にもかかわらずシュートを選択。完璧な軌道を描いたボールは、そのままゴールネットへ吸い込まれます。「正直打った瞬間に『ああ、もうコレ入ったな』と思ったので、頭が真っ白になっちゃって喜んでました(笑) 今シーズンはずっと点が取れていなくて、やっぱり忠さんからも『前線の選手はゴールを決めないと意味がない』みたいに言われていたので、シュート練習は多くしましたし、その結果が実ったゴールかなと思います」と笑顔を見せた角の、まさにスーペルゴラッソ。ホームチームが点差を2点に広げて、ハーフタイムに入りました。

後半のファーストチャンスもFC東京。左から森田が蹴り込んだFKに、突っ込んだ小林里駆(3年・FC東京U-15むさし)のヘディングは枠の右へ外れたものの、あわやというシーンを。53分は育英。新井が倒されて得た左FKを渡邊が放り込むも、ここはFC東京の3バック中央を務める木村誠二(3年・FC東京U-15深川)が確実にクリア。「選手が先週に引き続き責任感を持ってプレーしてくれた」とは中村監督。ホームチームが持続させる高い集中力。

次なる歓喜は55分。「ああいった孤立した中でも11人かわして、味方に繋いでゴールに繋げるというプレーはフォワードでは絶対にやらないといけないこと」と言い切る久保が、右サイドで粘り強くキープしながら丁寧なラストパス。ここに3列目からスプリントしてきた常盤のシュートは、ニアサイドを破ってゴールネットへ到達します。「ラストパスの質の部分は意識していたので、自分らしいと言えば自分らしいプレーだったかなとは感じています」という久保のアシストから、「ユースでは攻撃の部分もできるようになってきたんですけど、J3に行ったらまた相手のレベルが上がって攻撃の課題が本当に多くて、そこでもっと自分が変化とかタメとか作れないと、チームの攻撃の時間が増えないと思うので、そういう所をやっていかないといけないと思います」と話していた常盤の積極的な攻撃参加がシンクロした3点目。さらにリードが広がります。

さて、30分以上の試合時間を残した段階で、小さくないビハインドを負った育英。61分には左サイドで前を向いた倉俣健(3年・tonan前橋U-15)が中へ送り、中村草太(2年・前橋FC)の巧みなスルーを経て、走り込んだ渡邊がシュートを放つも、「『来るかな、来ないかな』というのをずっと予測していて、忠さんも『体張れ』って良く言うんですけど、『1点もやらせない』『絶対にスキを見せない』というのを意識していて、そういうのを体に染みつける練習も一昨日とか昨日もしていたので、自然と出た感じですね」と振り返る岡が、体を投げ出す完璧なブロック。63分は山田監督も2枚替え。中村と熊倉弘達に替えて、我妻岳(3年・鹿島アントラーズノルテJY)と西山蓮平(3年・名古屋グランパスU15)を投入し、攻撃の推進力向上を図ります。

やや膠着した展開の中で突入する最終盤。75分には育英に再び2枚替え。倉俣と山岸を下げて、佐藤宇(3年・横浜F・マリノスJY)と白石郁哉(3年・FC東京U-15むさし)がピッチへ送り出され、整える反撃態勢。76分はFC東京に1人目の交替。1ゴール1アシストの久保が下がり、宮田和純(3年・FC東京U-15深川)がそのまま最前線へ。77分はFC東京に決定機。安田の綺麗なスルーパスに、抜け出した小林のシュートは牧野がファインセーブで回避。81分にもFC東京にチャンス。左サイドを単騎で運んだ角は、スピードそのままにフィニッシュまで。ここは牧野がビッグセーブで意地を見せ、「仕掛けることに対しては結構言われていたので、アレを決めていれば最高のゲームだったかなと思いますけど」と苦笑したのは角。4点目とは行きません。

82分はFC東京。森田の左CKから、角のシュートはDFのブロックに遭い、こぼれを収めた木村のシュートはクロスバーの上へ。83分はFC東京も2枚替え。安田と森田に替えて、梅原翔琉(2年・FC東京U-15むさし)と沼田航征(3年・FC東京U-15むさし)をピッチへ。85分は育英。渡邊が右へ送ったパスを水上はクロスに変えるも、大森が丁寧にクリア。86分は育英のセットプレー。渡邊の左CKhはエリア内で混戦を生み出すも、大森が再びクリア。直後にFC東京はまたも2枚替え。GKの野澤大志ブランドン(2年・FC琉球U-15)と木村を、飯塚欣士(3年・前橋FC)と湯本創也(3年・FC多摩)にスイッチして、ゲームクローズに取り掛かります。

88分は育英。左からサイドバックの中島修斗(2年・Forza'02)がロングスローを投げ込むも、シュートには至らず。90分は育英。中島、白石とボールが回り、新井のシュートはDFに当たってゴール右へ。その右CKを渡邊が蹴り入れるも、DFがきっちりクリア。90+2分は育英のラストチャンス。中央右寄りから渡邊が放り込んだFKも、FC東京ディフェンスがきっちり跳ね返すと、しばらくして小平に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「質とかそういう部分は正直まだまだミスも多いですけど、いろいろな意味で責任感を持ってプレーするという部分で、軽いプレーが少なくなってきて、それが全員がまとまると良いゲームというか、スキのないゲームができたのかなと思います」と中村監督も口にしたFC東京が、力強く勝ち点3を積み重ねる結果となりました。

「正直前期も負け試合を何とか引き分けにしたり、勝ちにしたりというのは、偶然もあったので。でも、偶然を呼ぶのもまず『一生懸命やる』『元気よくやる』とか、『前向きにやる』『積極的にやる』とか、やっぱりそこがまず高校生だからあって、本当に質の話はまだまだこれからの所ですけど、そういった部分で何とか勝ち点を取れていたような気がしますね。ただ、ここ2試合はプラスアルファで安定感だとか経験だとかというのが、まだ2試合だからわからないですけど、そういうのが出てきているのかなと思います」と口にした中村監督。その現状を呼び込んでいるのは、彼らが持つ基準の高さかなと。

「守備の面でも献身的に走って、チームのためにという所がFC東京は一番強く求められている所ですし、健太さんもそういうことを求めていることは常に聞いていますし、やっぱりディエゴ選手や永井選手を基準に置いていかないと」(久保)「正直今には満足していなくて、やっぱり日本代表でプレーしているからには、基準をそこに自分から持っていきたいと思っているので、もっと簡単にプレーする所はするし、前線の選手として自分で力を出すという所はやりたいなと思っているので、もう少し自分が高い所に基準を持って行けたらなと思います」(角)「チームの中心でやらないといけないというのトップに絡むようになってから思ってきて、上手いプレーとか凄いパスとかだけじゃなくて、体を張る所も身に付けないと、プロに行った時に森重さんとかを見ていたら凄く体を張るし、(渡辺)剛くんも凄く体を張っているので、負けじと自分も張らないと上には上がっていけないって思っています」(岡)。彼らの言葉には頼もしさすら感じます。

「練習も少しずつ活気が出てきたりとか、ゲームでは相変わらず僕はデカい声を出していくスタイルなんですけど(笑)、たぶん僕の声の数も少なくなってきたりとか、後は僕が流れで出しちゃっている部分もありますけど、子供たち同士で喋ることが多くなって来たかなと。そこの変化は結構出てきたかなと思います。今年はそこが暗くなったら、たぶん弱いだろうと思っているので(笑)」と話す指揮官も、言葉の端々に滲ませる一定の手応え。ここからが本当に真価が問われるフェーズ。2019年のFC東京U-18はいよいよラストスパートに入っていきます。    土屋

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