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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年05月22日

インターハイ東京一次トーナメントLブロック決勝 多摩大目黒×都立国分寺@駒沢第2

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国分寺×多摩目.JPG

全国を狙うためには避けて通れない第一関門。二次トーナメント進出を巡って争われる重要なブロック決勝。都立国分寺と多摩大目黒の一戦は、おなじみの駒沢第2球技場です。

近年では確実に都内上位を狙う実力校という位置付けを確立してきており、昨年度のこの大会では支部予選から4試合連続完封で二次トーナメントまで勝ち上がると、結果的に冬の全国に出場することになる駒澤大学高を2-1で撃破。最後は準決勝で國學院久我山に屈したものの、悲願の全国出場は確実に手の届く所まで近付いてきている多摩大目黒。新チームで挑んだ関東大会予選は、初戦で大成に延長戦の末に3-4で敗れはしましたが、今大会は支部予選をきっちり勝ち上がり、一次トーナメント初戦も都立豊島を3-1で下して、このステージまで。「上を見るというよりも、まずは目の前の試合を一生懸命やりましょうと言っています」とは遠藤雅貴監督。昨年超えはすなわち晴れ舞台への切符。覚悟は定まっています。

昨年度の選手権予選は飛躍の大会。並み居る難敵をなぎ倒してベスト4まで勝ち上がり、古豪復活を高らかに宣言した都立国分寺。ほとんどの主力が抜け、新たなメンバーで臨んだ4月の関東大会予選でも、「1個上の代があれだけ結果を出してくれて、この関東大会予選もそのおかげで出られているので、『ここでウチらも結果を出さないと意味ないな』って自分の中では思っていました」とキャプテンの村木岳琉(3年・三鷹F.A.)も話した流れの中で、きっちりベスト8まで勝ち上がる粘り強さを披露。次に狙うはインターハイでのさらなる躍進。そのためにもここでの勝利は絶対条件です。会場の駒沢には土曜日にサッカーを見たいジャンキーが集結。楽しみなブロック決勝は多摩目のキックオフでスタートしました。

双方がやや慎重に入った立ち上がりを経て、ファーストシュートは10分の多摩目。ボランチの長内岳人(3年・多摩大目黒中)が狙ったミドルは枠を越えたものの好トライ。13分も多摩目。こちらもボランチの岸田晟和(3年・世田谷瀬田中)が左から蹴ったFKに、石澤岬(3年・川崎平間中)が合わせたヘディングは枠の右へ。14分はセットプレーのチャンス。右寄り、ゴールまで約25mの距離からレフティの石澤が直接狙ったFKは右スミを捉え、ここは国分寺のGK大磯慶一郎(3年・町田堺中)にキャッチされましたが、まずは多摩目がペースを掴みます。

ところが、ワンチャンスを生かしたのは"都立のGREEN TOGETHER"。18分に後方からのフィードを収めた村山央太郎(3年・府中浅間中)が粘って右からクロスを送ると、フリーで飛び込んだのは左サイドハーフを務める田中隼太郎(3年・アローレはちきた)。丁寧なヘディングは右スミのゴールネットへ飛び込みます。少ないチャンスを生かす集中力は今年のチームも健在。国分寺が1点のリードを手にしました。

追い掛ける展開を強いられた多摩目は、「いつも僕らは先に失点することが多くて、1回全体で集まって『落ち着こう』という話をして、それで試合にもう1回入り直しました」とルーキーながらセンターバックを任されている馬場裕(1年・東急SレイエスFC)。20分には左から岸田がCKを蹴り込み、こぼれを収めた石澤のクロスに米山謙信(2年・多摩大目黒中)が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。同点とは行きません。

一方の国分寺は32分に追加点のチャンス。ルーズボールを収めた小林尚史(3年・FCトレーロス)のシュートはDFに当たって枠の左へ逸れましたが、村木と脇武士(3年・FC杉野)のドイスボランチがセカンド奪取に力を発揮し、右から三浦護人(2年・TACサルヴァトーレ)、寺内大和(3年・東海大菅生中)、梅田悠平(3年・日野七生中)、寺川正太郎(3年・練馬石神井中)で組んだ4バックも高い安定感を。「頑張って守る所はもうウチの生命線ですから」と元木明監督。丁寧に1つずつ相手のチャンスの芽を潰していきます。

33分に飛び出した同点弾。岡田倫太朗(2年・多摩大目黒中)のパスから浅井南於太(3年・FC渋谷)が短く繋ぐと、受けた石澤は少し左へ流れながら得意の左足一閃。大磯も懸命に飛び付きましたが、わずかに弾き出すことは叶わず、ボールは右スミのゴールネットへ吸い込まれます。11番を背負ったレフティが貴重な一撃。スコアは振り出しに引き戻されました。

36分は多摩目。石澤の左クロスを長内がきっちり落とし、1トップを任されたキャプテンの関澤洋(3年・多摩大目黒中)が放ったシュートはクロスバーの上へ。39分は国分寺。右CKのスポットに立った脇がマイナスに蹴ると、飛び込んだ田中のシュートはヒットせず。そのまま前半が終わるかに思われた40分に、国分寺へ訪れたアクシデント。相手との競り合いで倒された選手が、思わず報復行為に出てしまい、主審はレッドカードを提示。国分寺が10人での戦いを余儀なくされた所で、前半の40分間は終了しました。

ハーフタイムに国分寺は交替を決断。前線の村山に替えて、板垣光樹(2年・FCオーレ国立)を送り込み、4-4-1の布陣で後半の40分間に臨むと、46分に石澤が2本続けて蹴った多摩目の右CKも、1本目は寺内がヘディングで、2本目は大磯がパンチングできっちり回避。多摩目も49分には1人目の交替。右サイドバックの花井尉時(3年・川崎西中原中)と佐々木大希(1年)を入れ替え、サイドの推進力アップに着手します。

国分寺にとって千載一遇の追加点機は50分。小林尚史のパスを村木が巧みに足裏で流すと、走り込んだ小林尚史はエリア内からシュート。しかし、ボールはわずかにゴール左へ逸れてしまい、思わず頭を抱えた緑の選手とスタッフ。52分は多摩目。左サイドから岡田がクロスを放り込み、こぼれを再び叩いた岡田のシュートは左スミを襲うも、大磯がファインセーブで応酬。直後の右CKを石澤が蹴り入れ、長内が打ったシュートは村木が体でブロック。54分にも長内のフィードを関澤が残し、岡田が打ち切ったシュートはここも村木が体でブロック。「相手が10人なのに余裕を持ってできなかったというか、相手のコートでしっかり角を取ってやりたかったんですけどね」とは遠藤監督。スコアはなかなか動きません。

守るリズムが構築されていく国分寺は、それがアタックにも結び付く流れに。57分には寺川のフィードを脇が頭で残し、田中のボレーは多摩目のGK中澤宏太(2年・杉並ソシオ)が丁寧にキャッチ。70分には小林尚史の突破で左CKを獲得するも、脇のキックは中澤がパンチング。72分にも小林尚史が奪った右FKを寺内が蹴るも、DFが大きくクリアしましたが、国分寺が滲ませるワンチャンスへの意欲。

72分は多摩目に2人目の交替。浅井と田中龍志(1年)をスイッチして、整える全体のバランス。79分は国分寺も2人目の交替。田中を下げて、レフティの渡辺拓真(3年・武蔵野第二中)をピッチへ解き放つと、80+1分にも3人目の交替として右サイドハーフで奮闘した鮫島大希(3年・八王子南大沢中)と宮川昌輝(3年・八王子城山中)を入れ替えると、80+2分には決定的なシーンが。小林尚史を起点に、入ったばかりの宮川が繋いだパスから、村木は枠内ミドルを打ち込むも、中澤がファインセーブで仁王立ち。好勝負は80分で決着付かず。試合は前後半10分ずつの延長戦へもつれ込みます。

延長前半開始から国分寺は4人目の交替。走り続けた寺川に替わり、小林真也(3年・小金井第二中)が最終ラインへ送り込まれ、多摩目のキックオフで20分のエクストラタイムはスタート。84分は多摩目。岸田の左CKに長内が合わせたヘディングは枠を捉えるも、カバーに入った渡辺がスーパークリア。多摩目は85分に同点弾の石澤と松本宇海哉(2年・FCトレーロス)を、87分に関澤と小野真翔(3年・多摩大目黒中)を相次いで入れ替える勝負の一手を。90分も多摩目。佐々木の右クロスから、ルーズボールを収めた井上佳(2年・FCトレーロス)のシュートは枠の左へ。残された時間は10分間のみ。

91分は国分寺。小林真也の左クロスに宮川が当てたヘディングは弱く、中澤が慎重にキャッチ。93分は多摩目。ピッチ中央、ゴールまで約30mの位置から岸田が直接狙ったFKはクロスバーの上へ。95分は国分寺の衝撃。左サイドで脇からパスを引き出した小林尚史は右足一閃。30m近い距離を一瞬でゼロにした弾道は、クロスバーにハードヒット。「10番はかなりケアしていたんですけどね」とは遠藤監督ですが、それでも強烈な一撃を潜ませる小林尚史の脅威。98分は多摩目に井上と善方寿人(1年・FCトッカーノ)をスイッチする最後の交替。直後も多摩目。岸田が右CKを放り込むと、そこから国分寺のカウンター発動。小林尚史が右足アウトで右サイドへ送り、ドリブルで運んだ宮川が中央へ戻すも、全速力で駆け上がった三浦はわずかに触れず。「相手が10人なのに余裕を持ってできなかったですね」と遠藤監督。両者譲らず。次のラウンドへの進出権はPK戦へ委ねられることになりました。

お互いにキッカーは練習の成果を存分に発揮。5人目までは両チームとも全員がきっちり成功し、勝敗の行方はサドンデスに。それでも枠すら外さずに決め続けるキッカーたちに、スタンドからは溜息に似た歓声が。国分寺8人目のキックは中澤がわずかに触るも、三浦の執念が上回りゴールネットへ。そして、決着が付いたのは9人目。先行の多摩目は中央にきっちり成功させましたが、後攻の国分寺は枠の上に打ち上げてしまい、ここで熱闘に終止符。「普段の練習からPKはやっているので、うまく1年生も決めてくれたと思います」(遠藤監督)「PKはもうしょうがないんじゃないですか」(元木監督)。多摩目が二次トーナメント進出を手繰り寄せる結果となりました。

PK戦が始まる直前。輪になっていた多摩目の選手たちは、何かを話しながら何人かが手を挙げていました。そのことを遠藤監督に尋ねると、「前は僕が決めていたんですけど、選手で決めた方が気持ちの部分もあると思うので、PKの順番は彼らが決めています」とのこと。結果的に登場したキッカーの9人全員が成功させたことも含めて、PKのマネジメントも非常に巧みだったのかなと。「今年は去年試合に出ている子が少なかったんですけど、新チームになって個々にリーダーの自覚が出てきて、だいぶピッチ上でも自分で何かをやろうとする、自分から何かを発信しようとしているので、それは成長していると思いますね」と指揮官も話したように、今シーズンの多摩目も着実に好チームへと進化を遂げているようです。        土屋

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