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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年05月08日

高円宮杯プリンスリーグ2019関東第5節 三菱養和SCユース×桐生第一@養和巣鴨G

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養和×桐一.JPG

お互いに上位浮上のきっかけを掴みたい、大事な節目の5試合目。三菱養和SCユースと桐生第一のプリンス関東は、おなじみ三菱養和会巣鴨スポーツセンターグラウンドです。
明確にプレミア昇格を目指しながら、開幕4試合の結果は2分け2敗と苦しいスタートとなった三菱養和SCユース。前節の横浜FCユース戦は2点を先制されながら、終盤に追い付く展開で勝ち点1を獲得したものの、「前の試合も劇的に引き分けたんですけど、結果を見たら最下位だし、勝てないと全然上に行けないですから」と話したのはエースの栗原イブラヒムジュニア(3年・三菱養和巣鴨JY)。まずは今シーズン初白星をもぎ取るべく、重要なホームゲームへ向かいます。
こちらは開幕から3試合に渡って白星に恵まれなかった中で、第4節の矢板中央戦では攻撃陣が爆発。若月大和(3年・前橋ジュニア)、遠藤青空(3年・AZ'86東京青梅)といったアタッカー陣のゴールもあって、4-0で勝ち点3を手にした桐生第一。「個が強いというか、今年はそういうヤツの集まりなので、去年と違って自分がみたいなヤツが結構多いんですよね」と笑うのは若月ですが、その個性がポジティブな方向へ向かえば絶大なパワーになることは間違いなし。前節の勢いを携えて、連勝を目指す90分間へ挑みます。会場の巣鴨にはゴールデンウィークの終盤をサッカーに捧げたジャンキーが集結。楽しみな一戦は16時ジャストにキックオフされました。

ファーストシュートは開始1分の養和。ルーズボールを拾った上田英智(3年・三菱養和巣鴨JY)は思い切り良くミドルにトライ。ここは桐一のGK塩澤玲央(3年・SCH.FC)がキャッチしたものの、いきなりのチャンスはホームチームに。8分は桐一もファーストチャンス。左サイドで得たFKを落合遥斗(2年・前橋ジュニア)が蹴り込み、ボールはゴール右へ流れましたが、まずはお互いに1つずつチャンスを創り合います。
9分は養和のビッグチャンス。右CKをレフティの白井敬(2年・三菱養和巣鴨JY)が蹴り入れると、竹内駿斗(3年・Forza'02)のヘディングはクロスバーにヒット。10分も養和に決定機。右からここもレフティの今野息吹(3年・三菱養和巣鴨JY)が蹴ったFKに、ファーで合わせた上田のヘディングは塩澤がファインセーブで回避。逆に14分は桐一に決定的なチャンス。ボランチの田中陸翔(2年・前橋ジュニア)が縦に付けたボールから、運んだ若月のシュートは養和のGK平井一徹(2年・三菱養和巣鴨JY)もファインセーブで応酬。「みんなすごく気持ちが入っていて、こんな良い立ち上がりはなかなかない」とは栗原。やり合う両者。漂う好ゲームの予感。
23分は養和。右から投げた今野のロングスローに、竹内が競り勝ったヘディングは枠の右へ。26分は桐一。最終ラインからドリブルで持ち上がったセンターバックの後藤真之介(3年・サガン鳥栖U-15唐津)は、そのまま枠の左へ逸れるミドルまで。29分は養和。右から白井が入れたCKに、高い打点で撃ち下ろした竹内のヘディングはゴール左へ外れるも、「アイツは練習でもボコボコ決めているからね」と生方修司監督も認める竹内の跳躍力は驚異の一言。
35分は桐一。ギャップで受けた若月が左へ振り分け、粘って持ち込んだ須藤礼智(3年・前橋ジュニア)のシュートは枠外へ。41分は養和。田中陸翔の右FKから、こぼれに反応した竹内のシュートは枠の上へ。42分は桐一。遠藤を起点に落合が縦へ打ち込むと、左に持ち出しながら切り返した若月が「右に蹴ろうと思ったけど、ボールの置き所がちょっと悪かったかなと思います」と振り返ったシュートはクロスバーの上へ。44分も桐一。須藤のパスから右に流れた若月のミドルも枠の上へ。双方攻め合う中で、養和に訪れたのは絶好の先制機。
45分に左から今野がロングスローを投げ込むと、エリア内で受けようとした栗原がマーカーともつれて転倒。笛を吹いた主審はペナルティスポットを指差します。千載一遇と言っていい先制のチャンス。キッカーは栗原自ら。左を狙って蹴ったボールは、しかし塩澤も完璧に読み切ってビッグセーブ。ゴールを許しません。「現状勝てていないので、『こういうのがあるのかな。ノッてねえな』みたいに思いました」とは栗原。スコアは動かず。0-0で最初の45分間は終了しました。

後半に入って、先にチャンスを掴んだのは桐一。47分に塩澤が飛距離のあるキックを蹴り込み、右サイドを抜け出した竹下諒(3年・セブン能登)のクロスに、須藤が合わせたボレーは枠の右へ外れるも、いきなり良い形を創出しましたが、直後に動いたスコア。
48分は養和が奪った右CK。スポットに立った白井がニアに鋭いボールを蹴り込むと、「正直何本もコーナーもあったし、『オレもそろそろ決めたいな』と思っていました」という望月海輝(3年・三菱養和巣鴨JY)が競り勝ったボールは、そのまま右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「ちょうどボールが来てくれたので、押し込んだ感じです。肩だったんですけど入って良かったです」と笑顔を見せた殊勲のスコアラーは、一目散にベンチの仲間の元へ。「今日はキッカーも良かったね」と白井を称えたのは生方監督。養和が1点のアドバンテージを手にしました。
畳み掛けたホームチーム。51分のチャンスは右サイド。今野がこの日"4投目"のロングスローを投げ込むと、ニアで望月がつぶれ、軌道はファーへ。ここで待っていた上田のボレーがきっちり揺らしたゴールネット。「『もう少し地上でやる所もそうだけど、エアバトルからこぼれ球を拾うような泥臭い部分もミックスさせていこうよ』と話していたんだよね」と生方監督。3分間で養和のリードは2点に広がります。
「セットプレーは強いと聞いていたので、1個目はしょうがないと思っていたんですけど、結局セカンドで取られちゃったので、そこは反省点です」と遠藤も言及した桐一は2点を追い掛ける展開に。55分には若月が右へ流し、遠藤が狙ったシュートは竹内が果敢に体でブロック。58分には養和も白井の右CKから、竹内がこの日4本目のヘディングシュートを枠の上へ。59分は桐一。右サイドで獲得したFKを遠藤は直接狙うも、「もっと角を狙ったんですけど、コースが甘くて、スピードも足りなくて取られちゃいました」と本人も振り返った軌道は平井がファインセーブ。清水雅仁(3年・三菱養和巣鴨JY)と竹内のセンターバックに、古舘陸大(3年・三菱養和巣鴨JY)と田中雄大(2年・三菱養和調布JY)のドイスボランチで中央を締める養和が醸し出す守備の安定感。点差は縮まりません。
60分は桐一。高橋裕真(3年・GRANDE FC)が左ロングスローを投げ込み、混戦から若月が頭で狙ったシュートは平井がキャッチ。61分は養和。またも白井の右CKから、竹内がこの日5本目のヘディングシュートを放ち、ボールは枠を越えましたが、「Forza仕込みのアレで負けるのはあまり見たことないですね。ふんわりボールが上がったらアイツの間合いなので」と栗原も舌を巻く竹内のヘディンガーぶり。62分は桐一。右からカットインしながら、打ち切った若月のシュートはゴール右へ。66分も桐一。遠藤が左へ展開し、中へ潜った須藤のシュートは枠の右へ。67分には桐一に1人目の交替。高橋に替えて、寶船月斗(1年・前橋ジュニア)を投入し、最終ラインは右から青木脩悟(3年・前橋ジュニア)、キャプテンの丸山佑大(3年・前橋ジュニア)、後藤、竹下を並べ、さらなるアタックへの意欲を鮮明に。
到来した汚名返上の機会。73分に養和は田中雄大とのワンツーから、エリア付近に迫った栗原がマーカーに倒されると、主審は再びPKというジャッジを下します。キッカーは栗原自ら。「1本目を外したというのもあって、迷う所もあったんですけど、相手のキーパーも『また同じ所に蹴るんだろ』みたいな駆け引きもあって、自分的には負けず嫌いなので『同じ所をぶち抜いて決めよう』という想いもあった中で、『ここは冷静になって逆でいいかな』みたいな感じになって」右スミを狙ったキックは、GKの逆を突いてゴールネットへ収まります。「またキックも怪しかったんですけど(笑)、そこは自分の駆け引きで1枚上を行った感じがしましたね」と笑った10番のリベンジ。スコアは3-0に変わりました。
ノッてしまった"ウブチル"の躍動。75分には望月の好フィードに上田が抜け出し、1対1から放ったループは枠の右へ。76分にも望月のクリアから、こぼれを収めた樋口陸(3年・三菱養和巣鴨JY)はGKの位置を見て浮かせたミドルを狙うも、ボールは枠の上へ。77分にも左に開いた上田のクロスから、樋口が枠へ飛ばしたシュートは塩澤がキャッチ。「まずはやっぱりシンプルにゴールを目指すという所を共有した」(生方監督)養和の時間が続きます。
桐一も78分には遠藤のパスを若月がヒールで残し、田中陸翔が打ったシュートは枠の左へ。82分は桐一に2人目の交替。「大和がマークされるのは他のチームからも言われているので、結構自分がキーポイントになるかなと思っていたんですけど、今日は全然ダメだったです」と悔しがった遠藤を下げて、小林凌大(1年・前橋ジュニア)を投入し、1トップの若月の後ろに右から寶船、須藤、小林と"前ジュニ"の4人を配して最後の勝負へ。85分には須藤の右ロングスローを、ニアで青木がフリックするも、DFがきっちりクリア。どうしても1点が遠いアウェイチーム。
90分は養和に決定的なシーン。左サイドから上田がドンピシャのクロスを上げるも、「自分でも『当たるか』みたいな。そんな簡単じゃなかったです」と振り返る栗原のシュートは、塩澤が正面で弾き出して4点目とはいかなかったものの、程なくして聞こえたファイナルホイッスル。「もう全然ホッとしてる。今日も苦しかったし、危機感も選手たちにはあったと思うので、そういう意味では選手もあれだけ喜んでいてね。『焦るなよ』とは言いながらも、たぶん今日のアレを見ているとホッとしているんじゃない」と生方監督も口にした"バイキングクラップ"で勝利を喜んだ養和が、今シーズン初勝利を手繰り寄せる結果となりました。

なかなか勝てない流れの中で、前半終了間際のPK失敗。当事者の栗原も「今まで先制点がなかったので、『これを決めて楽になるぞ』みたいな。みんなからも頼むぞと言われたし、心の中で「これを決めないとマズいぞ」みたいなのがあって、という中で自分が外した時に『うわ、コレ申し訳ないな』と思ったんです」とのことでしたが、彼の言葉は続きます。「でも、ベンチに帰ってきたらみんなが笑い話に変えていて、『今日オマエ2点取るんでしょ?』みたいな。『ああ、まあまあ』みたいな、あまり気持ち良い返しはできなかったですけど(笑)、ウブさんもハーフタイムに『オマエ、次にPKが来ても絶対蹴れよ』と言っていたので、そこで自分が信頼されているというか、あそこで蹴らないというのはないと思いました」。望月も「前半の最後にPKをジュニアが外したんですけど、その時もまだみんなやれている感じもあったし、雰囲気も悪くなくて、みんな『流れも良いしいいかな』みたいな感じでしたよ」と笑顔。この雰囲気が養和の大きな強みであることは言うまでもないでしょう。「全然雰囲気も悪くなかったし、選手の彼らとの信頼関係も全然悪くなかったけど、これが結果を上乗せすることでもっと良くなるからという話をずっとしていて、理想にはまだまだ及ばないんだけど、まずはやっぱりシンプルにゴールを目指すという所から、だんだん良くなっていけばいいんじゃないという所では、今日は大きな1勝だったかなと思うね」と生方監督。養和の巻き返しが、ここから始まる予感に包まれた90分間だったのではないでしょうか。        土屋

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