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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
怒涛の3連勝を目指す青赤と、リーグ戦初勝利を狙う上州のブルードラゴンの対峙。FC東京U-18と桐生第一が激突するサードマッチはおなじみの東京ガス武蔵野苑多目的グラウンド、"小平グラウンド"です。
開幕節で横浜FCユースを3-1で退けると、アウェイで行われた先週の"東京対決"も1-0で三菱養和SCユースに競り勝ち、5年ぶりの参戦となったプリンス関東で2連勝と好スタートを切ったFC東京U-18。チームは今シーズンから中村忠監督がコーチから昇格した中で、「技術とかそういう上手さよりも、元気があるヤツが試合に出られる感じで、日頃からみんな集中して次の試合に向けて意識していたり、1人1人意識が高くなっていていて良いかなと思います」と話すのは2年生ストライカーの青木友佑(2年・FC東京U-15深川)。この日も"元気"をベースに、さらなる連勝の積み上げへ挑みます。
終盤戦の強烈な追い上げで7位に滑り込み、プリンス残留を見事に勝ち獲って見せた昨シーズンの桐生第一。迎えた今シーズンのリーグ戦は、初戦でいきなり訪れた前橋育英との"新・群馬クラシコ"こそ3-3と打ち合って引き分けたものの、続く先週の第2節では横浜F・マリノスユース相手に0-5と厳しい敗戦を。それでも、「マリノス戦でボコられたけど自信を付けた所もあったのかなと思いますし、県内で普通にやれば勝てる試合を2つやるのと全然違うので、最高ですよ」とは中村裕幸ヘッドコーチ。難敵相手のアウェイゲームで、勝ち点3を堂々と狙います。16時の小平はかなり寒さを感じるような風が吹くコンディション。楽しみな90分間はFC東京のキックオフでスタートしました。
ファーストシュートは3分のFC東京。1トップ下のシャドーに入った横田峻希(3年・FC東京U-15むさし)が右から打ち切った一撃は枠の左へ逸れたものの、まずは果敢なチャレンジを。5分に左サイドから森田慎吾(3年・FC東京U-15むさし)が蹴ったCKは、桐一のGK塩澤玲央(3年・SCH.FC)がパンチングで回避したものの、「前の推進力が前半の最初はありましたね」と中村監督も認めたFC東京が、勢い良く立ち上がります。
「コンセプトとしては繋ぐということを大事にしています」と湘南への加入が内定している若月大和(3年・前橋ジュニア)も口にしたように、センターバックの丸山佑大(3年・前橋ジュニア)と後藤真之介(3年・サガン鳥栖U-15唐津)に加え、ボランチを任されている落合遥斗(2年・前橋ジュニア)を中心にきっちりビルドアップしながら、スイッチの入れ所を探す桐一。13分には相手のパスを奪った須藤礼智(3年・前橋ジュニア)がすかさず縦に付け、若月はシュートまで持ち込めませんでしたが、ようやく見え掛けたフィニッシュへの道筋。
一方のFC東京は、13分に左から小林里駆(3年・FC東京U-15むさし)が放ったシュートは塩澤にファインセーブで弾かれたものの、15分に到来した絶好の先制機。エリア内へ得意のドリブルで切れ込んだ小林がマーカーに倒されると、主審はペナルティスポットを指し示します。キッカーは小林自ら。右スミへ冷静に流し込んだボールは、GKの逆を突いてゴールネットへ収まります。「フォワードである以上は結果で示していきたいと思います」と意気込む10番は、これで2戦連発。ホームチームが1点のリードを手にしました。
「最初の方は怖気付いちゃって、受け身になってしまった」と丸山も言及した桐一は、3試合続けて先制点を許す展開に。18分には落合の左FKに、長身左サイドバックの眞玉橋綺人(3年・前橋ジュニア)がヘディングで合わせるも、ボールはゴール右へ。28分に右からレフティの遠藤大空(3年・AZ'86東京青梅)が蹴り込んだFKもDFにクリアされると、30分に右からショートコーナーを試みるも、遠藤のクロスはFC東京のGK野澤大志ブランドン(2年・FC琉球U-15)が丁寧にキャッチ。「今までで一番キツいマークでしたね」という若月までボールは届かず、手数を増やせません。
32分は桐一。右から須藤が投げたロングスローは、DFがきっちりクリア。33分はFC東京に決定機。右サイドを運んだ小林のシュートは塩澤がビッグセーブで掻き出し、こぼれに詰めた横田のシュートは枠を捉えるも、ここは桐一の右サイドバックを務める青木脩悟(3年・前橋ジュニア)がライン上でスーパークリア。35分は桐一。ボランチの田中陸翔(2年・前橋ジュニア)が短く付け、落合のミドルはクロスバーの上へ。44分はFC東京。「あれぐらいボールを収めるのは普通にしてやっていきたい」と言い切る宮田和純(3年・FC東京U-15深川)が粘り強く残し、小林がループ気味に狙ったシュートはゴール左へ外れましたが、「自分は与えられたポジションで頑張るので、シーズンが始まってそこもトライしていましたけど、公式戦でやるとはあまり思っていなかったです(笑)」という常盤亨太(2年・FC東京U-15深川)を真ん中に置き、右に木村誠二(3年・FC東京U-15深川)、左に岡哲平(3年・FC東京U-15深川)を並べた3バックを含め、守備の安定感も高かったFC東京が1点のアドバンテージを握って、最初の45分間は終了しました。
後半はスタートからリードしているFC東京に交替が。横田を下げて、「『自分が出た時には絶対流れを変えて、ゴールを決めてやろう』という気持ちで練習から取り組んできました」という負傷明けの青木を投入し、さらなる推進力アップに着手すると、開始早々の46分にはドイスボランチの一角を任されたルーキーの安田虎士朗(1年・FC東京U-15深川)が、DFのブロックに遭ったものの積極的なミドルにトライ。49分にはアクシデントで小林と沼田航征(3年・FC東京U-15むさし)の交替を余儀なくされながら、50分にも金誠敏(3年・西東京朝鮮第一中)が鋭い右FKを蹴り込み、次の1点を奪いに行く姿勢も鮮明に。
「ボールを持てる時間もサイドで相手が引いている時間も多くて、良い感じにボールが回ってきても、やっぱり最後の決定機の所で圧力が掛からなかったですね」と若月が分析した桐一も、52分には後半のファーストシュート。左サイドに開いた若月が中へ折り返し、ダイレクトで遠藤が打ったフィニッシュは野澤がキャッチ。53分にも左へ流れながら、左足で叩いた若月のシュートは枠の上へ。もう一段階踏み込みたいアクセル。
54分の主役は「自分が復帰した時に、普通にプレーしている選手よりも自分の方が良いプレーを出さなければいけないという想いもあった」と語る18番。ここも時間を創った宮田が左へ流し、上がってきたバングーナガンデ佳史扶(3年・FC東京U-15深川)は丁寧なクロスを送り込むと、「僕が打とうとした時に、後ろで森田選手が『スルー!』と言ってたんですけど、自分はここで点を取らないとこれからスタメンに入っていくことも難しくなってしまうし、ここで結果を見せればチームにプラスになるんじゃないかなと思ったので」青木は自ら左足を一振り。ボールは右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「アレはもう高円宮の決勝のゴールという感じで、リハビリだった時期の悔しい想いもあって、そういう中で点を取れたことが本当に嬉しくて、ガッツポーズに出ました」と噛み締めるようなガッツポーズが非常に印象的。青木の復活ゴールが飛び出し、FC東京のリードは2点に広がりました。
「ハーフタイムに『いいか、オマエら。後半行くぞ。0-2になっちゃダメなんだぞ。慌てないでいいから0-2にはしちゃいけないぞ』『ああ、なっちゃった...』って」と嘆いた中村ヘッドコーチですが、反撃の一手は失点からわずかに1分後。中央から落合が丁寧なパスを送ると、左へ流れながらフリーで抜け出した須藤は左足一閃。ボールは右ポストの内側を叩いて、ゴールネットへ転がり込みます。「みんながディフェンスとか今まで以上に頑張って、球際とか戦ってくれて、今日の試合は後ろからすると前には決めてもらいたい試合だったと思う」と若月も口にした"前"の中で、結果を出したのは15番。須藤の一発でたちまち両者の点差は1点に縮まります。
58分も桐一。遠藤の右FKは、野澤が飛び出してパンチング。59分も桐一。丸山のクサビに若月がエリア付近まで持ち込むも、ここは「行き過ぎて裏を取られるというのは怖いので、裏の対応をまず第一に気を遣いながら、自分が行ったら絶対に潰し切るというのは意識しています」という常盤が粘り強くカット。60分も桐一。須藤の左ロングスローをニアで眞玉橋がフリックし、シュートは打ち切れなかったものの、「雰囲気はありましたよね」と中村ヘッドコーチも認める自分たちの時間帯。
69分はFC東京。森田の左CKに青木が頭で飛び付くも、ボールはゴール右へ。71分もFC東京。金の左FKはDFが大きくクリア。72分もFC東京。前に出ていたGKの位置を見定めながら、金が狙った35mミドルはクロスバーの上へ。78分は桐一に1人目の交替。遠藤に替えて、新人戦の県決勝でも存在感を発揮していた山本直(3年・ザスパクサツ群馬U-15)がピッチへ送り込まれると、83分にも2人目の交替として右サイドハーフで奮闘した竹下諒(3年・セブン能登)と寶船月斗(1年・前橋ジュニア)をスイッチして、最後の勝負に。
84分はFC東京。森田の左CKに常盤が突っ込むも、合わせたヘディングは枠を越え、思わず頭を抱えた17番。86分もFC東京。青木が「今日出てみて『ちょっと走りがキツかったな』というのはあって、『まだ体力も落ちているな』というのは自分で感じていた」とは言いながらも高い位置で相手ボールを奪い切り、森田が放ったミドルはゴール右へ。掲示されたアディショナルタイムは3分。180秒の行く先で奪える勝ち点は3か、1か。
90+3分のラストチャンスは桐一。落合のパスから若月がドリブルでスピードアップを図るも、「若月選手が足が速いというのは聞いていましたけど、自分は誰が来ても変わらないというか、そこで自分がスピードでちぎられないようなポジショニングは意識してやりました」という常盤がいち早く寄せてピンチの芽を摘むと、直後に夕暮れの空へ響き渡ったタイムアップのホイッスル。「結果に関しては3連勝しているのは良いことなんですけど、すべてがどっちが勝ってもおかしくない試合なので、良い言い方をすると『際どい試合を勝てている』、悪い言い方をすると『力がまだないぞ』という。そんな感じですかね」とは中村監督ですが、接戦をしっかりモノにしたFC東京が3連勝を手繰り寄せる結果となりました。
「イメージとしては去年より手堅くやれるのかなと思うんですね。チームの方向性みたいなものは去年の子たちより付けやすいです」と中村ヘッドコーチも話した桐一は、既に目指すスタイル自体は明確。「自分の武器がチームの武器になるように自分も練習しているので、基本はパスを繋ぐ形で、その中で自分が背後を取るみたいなのを練習から意識していますね」と若月も話したように、丁寧にボールを動かしていくスタイルに、若月という絶対的な存在をどう組み込んでいけるかによっては、かなり面白いチームになりそうだなと。「このリーグにいるのは幸せだと思うので、去年の先輩たちがしっかり頑張って残してくれたリーグですし、それを無駄にしないように、先輩たちを見て学んだものをこのリーグで自分たちの活力にして頑張りたいと思います」とキャプテンの丸山が口にすれば、「去年までまるっきり経験値のない所からここでやっているので、前期の9試合は目をつぶりながらでいいかなと思いながら。『プリンスは3試合の6セットだよ』って言っていて、"1セット目"が終わったので、『この次のセットは勝負だよ』っていうのは話そうかなと思います。頑張ります!」と中村ヘッドコーチ。今シーズンの桐一にも大いに注目したいと思います。
後半スタートからピッチに送り出された青木のゴールが結果的に決勝ゴールとなり、開幕3連勝を飾ったFC東京。「青木は凄く元気にトレーニングをやっていて、もう元気な子が試合に出るのは僕のポリシーなので。彼の元気の良さや思い切りの良さが出たのかなと思います」とは中村監督。本人も「中村忠監督になってから、あの方は熱いというか、『元気があるヤツを使いたい』って言っていますし、元気が出せれば試合も勝てるだろうし、『元気って大事だな』って思います」と話すなど、"元気"が少しずつ今年の彼らのキーワードになりつつあるような印象を受けています。その青木にとっては、少し前述したようにこれがいわゆる"復活弾"。「ケガしてしまったのはもうしょうがないことで、そこで自分が復帰することを考えた時に、どれだけ筋トレをやって、どれだけチームのためにできて、ということを考えながら、本当にずっと『試合に出たい』という想いで過ごしていましたけど、自分は結構ポジティブに捉えていて、休んだ期間が良いリフレッシュになったかなと。ケガは本当にツラかったですけど、その分いろいろ周りを見ることもできたし、『頭の整理をしたり。体を休めることで、完全な状態に持っていける』と思ったので、それは良かったと考えていました」と振り返った苦しい時期を経ての、チームを救う一発。今年はFIFA U-17ワールドカップも控えているだけに、代表監督の森山佳郎監督が視察に訪れたゲームという意味合いに「結構不安というか緊張もあって。でも、思い切りやりました」とも。きっちりゴールという結果で様々なアピールに成功したのではないでしょうか。 土屋
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