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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2019年04月17日

関東大会予選東京2回戦 成立学園×関東第一@駒沢第2

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成立×関一.JPG

ここ数年は全国出場を巡る東京のファイナルでも顔を合わせてきた強豪同士の対峙。成立学園と関東第一のビッグマッチは、引き続き駒沢第2球技場です。
昨年度は窪田稜(ツエーゲン金沢)、照山颯人(ベガルタ仙台)と2人のJリーガーを擁しながら、関東大会予選は帝京に、インターハイ予選は関東第一に揃って準々決勝で0-1と敗れ、13年ぶりの全国を目指した選手権予選も、セミファイナルで大成にまたも0-1で屈し、思ったような結果は引き寄せ切れなかった成立学園。今シーズンはT1リーグで2勝1分けとここまで無敗と好調をキープしつつ、今大会も初戦で目白研心を2-0で退けて、このラウンド16へ。「今年は総合力ということをテーマにやっています」とは太田昌宏監督。まさに総合力の問われる80分間を戦います。
3年前のインターハイ予選から、都内のトーナメントコンペティションで7大会連続制覇という凄まじい結果を残してきたものの、選手権予選は初戦で東京実業にPK戦で競り負け、優勝記録と連勝記録がストップした昨シーズンの関東第一。迎えた今シーズンは「新チームになってからも、練習試合でも負けることが多くて、苦しい中で実践に逆転勝ちできて、そこからチームが少しずつ上になっていきました」とアタッカーの貝瀬敦(3年・田口FA)が話したように、T1リーグでも連敗スタートを強いられたものの、第3節の実践学園戦で逆転勝利を収めると、今大会の初戦でも早稲田実業相手に「あのゲームは自分では久しぶりに良かったなと思いました」と小野貴裕監督も認める出来で1-0と勝利。上昇気流を捕まえつつあるタイミングで、難敵相手の大一番に挑みます。スタンドにはこの一戦をその目で見ようと、少なくない観衆が集結。ラウンド16でも屈指の好カードは、成立のキックオフで幕が上がりました。

いきなりアクセルを踏み込んだのは関東第一。4分に左サイドで獲得したFK。佐藤誠也(3年・VIVAIO船橋)が蹴ったキックは成立のGK大野来生(3年・ソシエタ伊勢)がパンチングで弾き出したものの、5分にも右FKを、直後にも右CKを相次いでレフティの岡田琉空(3年・FC多摩)が蹴り込むと、6分には左サイドから中央へカットインしながら貝瀬がゴール左へ外れるシュートまで。「前半の10分くらい行きましたね」とは小野監督。関東第一が掴んだゲームリズム。
さて、少し押し込まれる序盤を過ごした成立でしたが、「今年は『もう1回ウチらのサッカーをやろう』というテーマで、アイツらが『自分たちでボールを握ってサッカーをやりたい』という所から始まっている」と太田監督も口にした通り、戸田岳滉(2年・アイリスFC住吉)と金沢歩夢(3年)の動けるドイスボランチを中心に、上がっていくボールポゼッション。13分にはレフティの金沢が右FKを蹴り入れると、ここは関東第一のGK出口貴也(3年・葛飾青葉中)がキャッチ。14分にも金沢の右CKから、藤原進士郎(3年・FCトリプレッタJY)が合わせたヘディングは枠を越えるも、流れはフィフティに近い所まで。
以降は少し膠着した時間が続く中で、センターバックの木村将汰(3年・1FC川越水上公園)と大田礼玖(2年・ソシエタ伊勢)もビルドアップに関わりながら、丁寧にギャップを窺う成立ペースに。30分にはスムーズなアタック。?長真優(3年・FC府中)が藤原とのワンツーからクロスを放り込み、ニアに走った黒部光貴(3年・ヴェルディレスチ)はシュートまで行けず。36分は関東第一。右サイドバックの鹿股翼(2年・東急SレイエスFC)を起点に、類家暁(2年・東京ベイFC U-15)、笠井佳祐(2年・VIVAIO船橋)と繋ぎ、貝瀬の折り返しは中へ潜った沼田晃将(2年・東京武蔵野シティFC U-15)とわずかに合わず。39分は関東第一。岡田の右CKから、ファーへセンターバックの高村昂輝(3年・FC多摩)が飛び込むも触り切れず。最初の40分間でスコアは動かず、ハーフタイムに入りました。

後半最初のチャンスはいきなりの決定機。42分。吉長を起点に中村大輝(3年・東松山ペレーニア)が右へ振り分け、豊田優磨(3年・成立ゼブラFC)がクロスを上げると、藤原が左足で放ったシュートは枠の左へ外れたものの、ビッグチャンスにベンチも揃って天を仰ぐ一連が。48分も成立。右から金沢が入れたCKは、DFが大きくクリア。直後に関東第一は1人目の交替。右ウイングに入っていた板垣大空(3年・バンデリージャ横浜)に替えて、宇山輝(2年・FC杉野)を左サイドハーフに送り込みつつ、貝瀬を右サイドハーフへスライドさせ、高村とキャプテンの田中大生(3年・横浜FC JY)で組んだセンターバックコンビの安定感を後ろ盾に、4-4-2に近い形へシフトします。
49分は成立。吉長のパスから、豊田が1人かわして打ち切ったシュートは出口がキャッチ。54分は関東第一。貝瀬の右クロスから、ファーに飛び込んだ宇山はエリア内で収めるも、シュートは打てずに大野がキャッチ。55分は成立。右サイドから中村が枠内へ打ち込んだシュートは出口が弾き出し、さらに吉長が狙ったシュートも出口がファインセーブで回避。58分は同時に動いた両ベンチ。関東第一は沼田と横山慎也(3年・ブリオベッカ浦安U-15)を、成立は中村とキャプテンの宇津木優人(3年・柏レイソルU-15)をそれぞれ入れ替え、残り20分間へ向けて整える態勢とバランス。
結果を出したのはゼブラ軍団のナンバー9。60分に藤原から左でボールを引き出した黒部のシュートは枠を越えましたが、1分後の61分に再びチャンス。左サイドバックを務める竹谷玲音(3年・田口FA)のパスを藤原が外へ付け、開いた吉永はクロス気味のシュート。出口も懸命に掻き出しましたが、そこに飛び込んだ黒部は胸でボールをゴールネットへ押し込みます。「全員がチームのために走って、喋って、繋がってというベース」(太田監督)を証明するような複数人が絡んでの先制弾。成立が1点のアドバンテージを手にしました。
「後半にエネルギーが出せなくなるのは嫌だったので、『前半は別に0-0でもいいや』って思っていました」という小野監督が組んだ大枠のプラン通りに進んでいた中で、ビハインドを追い掛ける展開になった関東第一は、70分に3人目の交替。フォワードの安藤慎之助(2年・VIVAIO船橋)を左ウイングに送り込み、中央に宇山、右に貝瀬という配置転換を施すと、すぐさま形として現れた成果。
71分に相手陣内へ攻め込んだ関東第一は、貝瀬が中央へ付けたパスを宇山が繋ぎ、笠井はワンタッチで右へ。「来た時にちょっとボールがズレて自分のステップとあまり合わなかったんですけど、しっかりそこで今日は合わせることができた」という貝瀬が右足で振り抜いたシュートは、GKを破って左スミのゴールネットへ突き刺さります。「ビハインドだったのでベンチの所に行こうか迷ったんですけど、周りが来ちゃったので(笑) もう1点取りに行こうと思ったのでそんなに騒ぎ過ぎずでしたけど、自分の中ではメッチャ嬉しかったです」と笑った11番の同点弾。関東第一がスコアを振り出しに引き戻しました。
「アレは関一の個人の技術だったりが1枚上だなって。あそこを決めてくるんだから」と太田監督も話した成立は、72分に2人目の交替。足を攣らせた金沢を下げて、中田開人(2年・成立ゼブラFC)をピッチへ。75分は竹谷のドリブルで左CKを獲得すると、宇津木のキックをファーで木村が折り返すも、出口がきっちりキャッチ。76分は3人目の交替。先制点の黒部と森田純(3年・エクサス松戸SC)をスイッチし、戸田と森田がドイスボランチに並び、右サイドハーフに藤原、左サイドハーフに中田、最前線に吉長、1トップ下に宇津木を置く布陣で最後の勝負に。
79分は宇津木が左へ流したボールを中田がクロスに変えると、ルーズボールを叩いた藤原のシュートは出口がファインキャッチ。「ビハインドを迎えた後も自分たちのテンションが落ちちゃったので、その時にあの一発で決めれて凄く良かったです」と振り返る貝瀬の一撃が終わらせなかった80分間。ゲームは前後半10分ずつの延長戦へもつれ込みます。

関東第一のキックオフでスタートした延長前半は、82分に関東第一のチャンス。貝瀬が仕掛けて獲得した右CKを佐藤が蹴ると、中央でオフェンスファウル。86分は成立。宇津木のパスから、豊田のクロスに飛び込んだ戸田はわずかに届かず。90分も成立。宇津木の左CKから、ファーへ入った木村の折り返しに竹谷が当てたヘディングは出口がキャッチ。泣いても笑っても残されたのは10分間のみ。
97分は関東第一。岡田を起点に笠井がドリブルでグングン運び、そのまま狙ったシュートはクロスバーの上へ。99分は成立。安藤が左へラストパスを通し、宇山が打ち切ったシュートは枠の上へ。99分はスタンドもざわつく成立の2枚替え。藤原と岡澤韻生(2年・ソシエタ伊勢)の交替に続き、GKも大野から古市蓮(3年・FC町田ゼルビアJY)へスイッチさせ、万全を期したPK戦シフト。
意地と誇りの発露が呼び込んだ奇跡。100+2分。安藤のドリブルで関東第一が得たFKのチャンス。ピッチ中央、ゴールまで約30mの距離でスポットに立ったのは佐藤。「フリーキックはいつも練習していて、本当に不安とかなく自信を持って蹴れました」という8番が右足を振るうと、ボールは完璧な軌道を描いて、左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「練習の時とかそんなに良いボールとか蹴れないんですけどね(笑) 最初はカベの外を巻いて右方向に蹴るか考えつつ、『ちょっと壁が高いな』と思ったんですけど、1回同じようなのを決めていてイメージはあったので、あまり考えずに、考えすぎないで蹴りました」というフリーキックが決まったのと同時に、聞こえたのはタイムアップのホイッスル。「シビれました。いやあ、本当になんか、こんな気持ちいい感じを味わえたのは久々です」と笑った佐藤の延長サヨナラゴールで、関東第一が劇的に準々決勝へと勝ち上がる結果となりました。

「昨日初めて田中が自分の所に『もっと自分たちから守備を行きたい』って言ってきたんですよ。オレはちょっと保守的で弱気な人間なので、『ブロックを作ろうかな』と思ったんですよ。だから、今週は守備のトレーニングをやっちゃったんです。そうしたら田中たちが『この間の早実の時みたいに行きたい』って言ってきたから、『ヤベー、これでまた自分は弱虫な指揮官になっちゃうな』って。『これでまた勝つためだけに行かなくなったら、東実に負けてせっかく思い出したのに、コレはダメだ』と思って。だから、今日の試合前は『悪い。またオレが弱気になる所だった』って。『もうオマエらがやりたいって言うなら行っていいぞ』って。だから今日も人の配置とかは替えましたけど、大して戦術的な指示は言っていないんです」と小野監督。「今まで自分が入学してからずっと勝ってきていて、それであの選手権で1回戦で負けちゃって、またこういう所でも負けちゃうと『関一が弱くなったな』って思われちゃうので、『やっぱり関一強いな』って思ってもらえるように、こういう所でしっかりチャンピオンを狙ってやっていきたいです」と貝瀬。「今回はチーム全体が、本当に出れていない3年生も2年生も献身的にやってくれて、本当に良い雰囲気で試合に入れたので良かったですし、本当にみんなで勝利やゴールを分かち合えて、チームとしてもレベルアップできて次に臨めると思います」と佐藤。どうやら関東第一に立ち込め掛けていた厚い雲は、少しずつ晴れ始めているようです。        土屋

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