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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年10月17日

高校選手権東京B1回戦 駒澤大学高×都立南葛飾@駒沢第2

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1013koma2-2.JPG2年前の東京王者が登場する1回戦の注目カード。駒澤大学高と都立南葛飾の対峙は、引き続き駒沢第2球技場です。
2年連続での全国ベスト8から一転、昨年度の選手権予選ではまさかの初戦敗退を喫し、悔しいシーズンを過ごした駒澤大学高。そのメンバーの大半が残った今シーズンも、ここまでは各種コンペティションで思ったような結果は引き寄せ切れず。「夏は走って、結構キツい想いもしたんですけど、それが無駄じゃなかったことをこの大会で証明できたらと思います」と齋藤我空(3年・Forza'02)が話せば、「関東もインターハイもTリーグも結果が出ていなくて、ここが最後のチャンスだと思う」とは江藤惇裕(3年・坂戸ディプロマッツ)。選手権に懸ける想いを目の前の80分間へぶつけます。
近年の選手権予選では地区予選や1次予選での早期敗退が続いていたものの、今大会の1次予選は初戦で東京都市大附属に3-1と勝利を収めると、都立国際を3-0、都立文京を延長の末に2-1で下し、堂々と2次予選まで辿り着いた都立南葛飾。そもそも今年のチームは新人戦でも2勝を挙げ、インターハイ予選でも3連勝で支部予選を勝ち抜けるなど、勝利の喜びを味わってきた世代。難敵相手のゲームにも怯む気持ちは毛頭ありません。スタンドの観衆は一層集まってきた雰囲気も。緊張感高まる双方にとっての初戦は、南葛飾のキックオフでスタートしました。


いきなりの衝撃は開始わずか3分。右サイドで獲得した駒澤のCK。「3年生中心に下級生もやりやすいようにやっていこうと思っています」と話すキッカーの江藤がファーまで届けると、待っていた稲井宏樹(3年・FC駒沢)はダイレクトボレーにトライ。完璧なインパクトから放たれた軌道は、ゴールネットへ一直線に突き刺さります。いきなりのスーペルゴラッソにどよめく場内。駒澤が早くも1点のリードを手にしました。
以降も勢いは駒澤。8分に今度は左から江藤が蹴ったCKを、原田大渡(2年・FC東京U-15深川)が頭で残し、山田英生(3年・三菱養和調布JY)が合わせたヘディングは枠を越え、13分にも「サッカーセンス的にはものすごく良いですよね」と評価する大野祥司監督がスタメンに抜擢した青木優音(1年・クラブ与野)が、左スミギリギリにシュートを打ち込むと、ここは南葛飾のキャプテンを託された文随翼(3年・葛飾葛美中)が必死にブロックしましたが、次にスコアを動かしたのも赤黒軍団。19分に左で丁寧につないだ流れから、最後は原田が冷静にフィニッシュ。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。2年生ながら10番を背負ったアタッカーの一刺し。点差は2点に広がります。
さて、押し込まれる展開が続き、なかなか攻撃に移れない南葛飾。25分には杉浦理仁(2年・KSCウェルネスFC)がFKを蹴り込むも、齋藤が大きくクリア。猪股和馬(3年・葛飾新宿中)と杉浦の2トップや、右に横山達己(3年・パルドラール浦安)、左に小日向椋太(2年・葛飾大道中)を並べたサイドハーフへボールが入るとスイッチが入り掛けるものの、シュートを打ち切るまでには至りません。
27分も駒澤。ボランチの涌井蓮(3年・国立第一中)が残したボールを、羽鳥陽祐(3年・フレンドリー)が打ったミドルはゴール左へ。29分も駒澤。左から島田竜汰(3年・FC川崎チャンプ)が放り込んだロングスローから、江藤のシュートは枠を捉えるも、南葛飾の左サイドバックに入った青山裕樹(1年・葛飾葛美中)がライン上でスーパークリア。30分も駒澤。センターバックの位置から上がってきた齋藤が、枠越えミドルにチャレンジ。「去年を経験している選手が多かったので、そこの部分では気を引き締めて入れたんじゃないかなと思います」と齋藤も言及した経験値で上回る駒澤ペース。
34分の主役は「自分は点を取るよりも、チームを支える方をやらないといけないんです」と笑ったナンバーセブン。江藤からのパスが目の前に来た涌井は、「練習でもこぼれ球をそのまま自分で打つことが多くて、昨日の練習でも入らなかったんですけど、ああいう形がありました」という"デジャヴ"に左足を強振。ボールは豪快にゴールネットを揺らします。「簡単なシュートよりああいうミドルの方が結構自分は入るので、狙い通りかなというシュートです」と本人が話せば、「ああいうのを持っているんですよ」と指揮官も言及。スコアは3-0に変わりました。
36分は駒澤にまたもビッグチャンス。左から島田が投げた"2投目"のロングスローに、青木が枠へ飛ばしたシュートは南葛飾のGK堀井大之(2年・墨田寺島中)がファインセーブで応酬。39分には涌井、青木と繋いだパスから、浮き球でマーカーを外した原田のボレーは枠の上へ。40+1分は久々に南葛飾。右サイドから杉浦がFKを入れるも、島田がきっちりクリア。「昨日の練習があまりうまく行かない部分があったんですけど、その失敗も無駄ではなかった」と齋藤も口にした駒澤が、3点のアドバンテージを携えてハーフタイムに入りました。


小さくないビハインドを背負った南葛飾は、後半開始から2枚替え。前線の猪股とボランチの一角を担っていた本庄悟(1年・南葛SC)に替えて、佐々木一吹(1年・VIVAIO船橋)と鈴木潤(2年・江戸川小松川第二中)をそのままの位置に送り込み、攻撃への姿勢を鮮明に打ち出すも、好機を創出するのは駒澤。43分に中央をドリブルで運んだ青木のシュートは、堀井が丁寧にキャッチ。45分には島田が上げた左クロスから、江藤が繋ぎ、細川竜征(3年・Forza'02)の決定的なヘディングは、カバーに戻った小日向がゴール寸前で必死にクリア。続く駒澤の攻勢。
49分は南葛飾。右へ小日向が振り分け、開いた杉浦のクロスはDFにきっちりクリアされると、駒澤も1人目の交替を。細川を下げて、橋本雄也(2年・ルキナス印西)を最前線へ送り込み、羽鳥がボランチにスライド。53分には3列目から羽鳥が縦へ付け、涌井のミドルはクロスバーの上へ。54分にも橋本を起点に、涌井が枠外ミドルを打ち込んだ流れで、大野監督は56分に羽鳥と時田悠人(2年・Y.S.C.C.横浜U-15)を入れ替え、中盤の顔ぶれに変化を加えつつ、狙う次の1点。
59分の煌めきは「ようやくって感じ」の右サイドハーフ。右サイドで得たFKを、替わったばかりの時田が蹴り込むと、ファーに潜った齋藤はヘディングで中央へ。全身で飛び込んだ江藤のダイビングヘッドは、きっちりゴールネットへ到達します。「FKの前にキッカーとキャプテンの齋藤我空と自分で話して、ファーに蹴って折り返してというパターンを持っていたので、それがそのまま狙い通り入って良かったです」と江藤も破顔一笑。大きな4点目が駒澤に記録されました。
61分も駒澤。橋本のドリブルが冴え、時田と涌井を経由し、青木がボレーで狙ったシュートはヒットせず、堀井がキャッチ。63分も駒澤。右サイドバックの山田が綺麗にスルーパスを通し、走った時田はGKを外し切れずにシュートチャンスを逸しましたが、攻勢が続いていく中で、65分には双方に交替が。駒澤は原田が下がり、T2で結果を残してきた佐藤海来(1年・杉並アヤックスU-15)がピッチへ。南葛飾は青山と熊田眞士(2年・KSCウェルネスFC)をスイッチし、小日向が左サイドバックにスライドしつつ、右から大塚俊祐(1年・両国FC)、松宮歩(2年・葛飾新宿中)、文隨、小日向で4バックを組み、ドイスボランチに小俣佳輝(2年・江戸川篠崎第二中)と佐々木を並べ、熊田は右サイドハーフに入る勝負の一手を講じます。
ただ、次に生まれたのも追加点。67分に右サイドでスポットに立った時田のFKから、稲井と齋藤が粘ってエリア内へこぼすと、佐藤がプッシュしたボールはゴールネットへ収まります。「若い力を借りて、このままチームも成長できればいいんですけどね」と大野監督も言及した、1年生ストライカーが選手権予選の舞台でゴールという結果を。5-0。大勢は決しました。
何とか1点を返したい南葛飾は、72分には小俣と河内尚斗(2年・葛飾高砂中)を入れ替える4人目の交替を施すと、直後には左から文隨が飛距離のあるロングスローを投げ込み、ニアで佐々木が競り勝つも、中央でオフェンスファウルを取られ、シュートは打てず。駒澤も73分に森田陸翔(2年・クラブ与野)を、78分には森尾波月(1年)を相次いでピッチへ解き放ち、最終盤で企図するゲームクローズ。
この一戦の"大トリ"は「自分は自分のやるべきことをやるだけなので」と言い切るキャプテン。79分に左から時田が蹴り込んだCKへ、飛び込んだ齋藤は「時田が良い感じのボールを上げてくれたので、自分は当てるだけという感じだった」というヘディングをゴールに叩き込んでガッツポーズ。終わってみればファイナルスコアは6-0。「今日はいろいろな子が試せたので、それに関しては良い収穫だったかなと思いますね」と大野監督も口にした駒澤が、2回戦へと勝ち上がる結果となりました。


試合後。涌井に話を聞いていた際、左手にある選手の名前がマジックで書いてあることに気付きます。そのことを尋ねられると、一気に溢れた言葉。「これはT1に入っていた、自分が一番仲の良い選手なんですけど、この前メンバーから落とされちゃって... 夜とかも1時間2時間と電話する仲なんですけど、昨日も電話して『やってくれよ!』ということを言われたので、自分で書いて臨みました。本当に上手くて、サッカーの頭も良くて、ふざけたりするんですけど、メッチャ努力するヤツなんです。自分はその選手がメンバーから落ちちゃったことを考えるだけで涙がこみ上げてきちゃうので、そういう選手のためにも頑張りたいなと思います」。やはり選手権は3年生の力が最後に効いてくるのは間違いない所。「3年生が最近活躍できていなくて、全然うまく行かない時期が続いたんですけど、この選手権が自分たちは見返すチャンスだと思っていましたし、今までも選手権は3年生中心に戦ってきたと思うので、僕らがリーダーシップを持って、1,2年生を引っ張っていけたらいいと思います」とはキャプテンの齋藤。駒澤の3年生たちがそれぞれの立場でチームに果たしている役割にも、より注目したいと思います。        土屋

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