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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年06月11日

インターハイ東京2回戦 早稲田実業×帝京@東久留米総合G

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0610kurume2.JPG4月の関東大会予選でも対峙した両雄のリターンマッチ。早稲田実業と帝京のベスト8を巡る一戦は、引き続き東久留米総合高校グラウンドです。
昨シーズンは関東大会予選、インターハイ予選と共に東京8強まで勝ち上がり、選手権予選こそ都大会初戦で東京朝鮮にPK戦で敗れたものの、近年はコンスタントに都でも上位進出を果たしている早稲田実業。迎えた今シーズンの関東大会予選は、初戦で帝京に0-1で惜敗を喫しており、今大会の一次トーナメントで暁星と日大豊山を倒し、辿り着いたこのゲームは何が何でもリベンジを果たしたい所。気合十分で目の前の80分間へ向かいます。
ここ最近のトーナメントコンペティションでは、常にファイナルやセミファイナル近くまで勝ち上がってくるものの、代表決定戦での敗退が続いている帝京。新チーム初の公式戦となった関東大会予選も、早稲田実業、都立東久留米総合、成立学園と難敵を相次いで退け、関東大会出場に王手を懸けながら、準決勝で駿台学園に屈して、またも代表権は幻に。今大会は一次トーナメントの明大明治戦でも開始早々に先制を許しながら、終わってみれば6ゴールを奪ってこのステージへ。久々に夏の全国を手繰り寄せるためにも、このクォーターファイナルは落とせません。清瀬の上空からは1試合目以上にはっきりとした雨粒が。意地と意地のぶつかり合いは、12時ジャストにキックオフされました。


均衡が破れたのは開始早々の8分。立ち上がりから左サイドのアタックで優勢を取りつつあった早実は、ここも左サイドで10番の橋山航輔(3年・横浜F・マリノスJY)が、センターバックの鈴木俊也(3年・FC東京U-15深川)が通したスルーパスに抜け出すと、切り返してから中央へラストパス。ここに走り込んだ木下悠人(3年・FC.GIUSTI世田谷)のシュートは鮮やかにゴールネットを揺らしてみせます。勢いそのままに3年生コンビで先制弾を。早実が1点のリードを手にしました。
「前回の試合も立ち上がりに失点していて、『締めよう』という話だったんですけど、今回もまた立ち上がりにやられてしまった」と入澤大(3年・FC東京U-15深川)も話した帝京は、またも1点を追い掛ける展開に。12分には三浦颯太(3年・FC東京U-15むさし)の左クロスがこぼれると、佐々木大貴(3年・FC東京U-15むさし)のシュートは早実の左サイドバック新井田裕介(2年・東急SレイエスFC)が体でブロックし、その流れから塩入颯斗(3年・横河武蔵野FC JY)が上げた右クロスに、195センチの赤井裕貴(3年・FC東京U-15むさし)がヘディングで合わせるも、ボールはクロスバーの上へ。同点とは行きません。
逆に17分は早実に決定機。左サイドを単騎で抜け出した橋山は、そのままシュートまで持ち込むも、ここは帝京のGK白鳥俊介(3年・板橋高島第二中)が果敢に飛び出してファインセーブ。18分は帝京。右サイドを中島涼太(3年・練馬石神井中)がえぐり切り、折り返しを赤井がシュートまで持ち込むもヒットせず。21分も帝京。中盤で前を向いた入澤がスルーパスを送り、3列目から中村伶央(3年・FC東京U-15深川)が抜け出すも、早実のGK山崎泰斗(2年・浦和レッズJY)は果敢に飛び出し、オフェンスファウルになりましたが、「みんなで慌てないでできたかなという感じです」とは三浦。少しずつ帝京が押し戻します。
30分は早実。オーバーラップした鈴木が左アーリーを放り込み、収めた橋山が右へ流れながら打ったシュートは白鳥がファインセーブで掻き出し、こぼれを橋山が中へ送るも、植村竜也(2年・東京SAISON)とはわずかに合わず。31分は帝京。佐々木を起点に、三浦がダイレクトでスルーパスを通し、入澤が右足アウトで狙ったシュートは山崎がキャッチ。32分も帝京。左サイドバックの鷲田優斗(3年・FC町田ゼルビアJY)がクロスを送り、赤井が競り勝った所に突っ込んだ入澤はシュートまで至らなかったものの、漂うゴールの香り。
輝いたのはカナリア軍団の長身ストライカー。33分に「1年生から出させてもらっているので、自分が引っ張っていかなくてはいけない」と意識する三浦が右へ振り分け、中島はダイレクトでクロスをファーへ。走り込んだ赤井のヘディングは、右スミのゴールネットへ収まります。「気持ち的にも彼自身は結構良いコンディションでやっているんでしょうね」と日比監督も認めた赤井の一撃。スコアは振り出しに引き戻されました。
以降は帝京がセットプレーで狙う次のゴール。35分に三浦が蹴った左FKを、ファーで赤井が戻すと、深田憧(3年・横河武蔵野FC JY)が放ったシュートは鈴木がブロック。37分にも三浦が右からCKを蹴り込むも、ファーに飛び込んだ赤井はシュートを繰り出せず。40+1分にも三浦が蹴り込んだ右CKは、早実の高橋一真(3年・Forza'02)が大きくクリア。やや帝京が押し戻し、フィフティに近い展開となった前半は、タイスコアで40分間が終了しました。


後半はスタートから早実に交替が。植村に替えて、永瀬祐(2年・エスペランサSC)を1枚目のカードとして送り込むと、次のゴールが記録されたのは直後の41分。左サイドでのルーズボールを諦めずに追った新井田が、DFともつれながら収めたボールを中へ。ニアに飛び込んだ橋山のシュートは、ゴール左スミギリギリに飛び込みます。「普通にやっておけば何も問題なかったシーン」とは帝京の日比威監督ですが、一瞬のスキを突いた早実が再びリードします。
51分は早実のチャンス。右サイドバックの佐井康人(1年・Forza'02)を起点に、木下が鋭いスルーパスを繰り出し、小松寛太(2年・三菱養和巣鴨JY)が走るも飛び出した白鳥がきっちりクリア。53分は帝京のセットプレー。右CKを三浦が蹴り込み、ニアで早実のセンターバック吉岡直輝(3年・浦和レッズJY)が弾くと、塩入が残したボールを中村が叩いたミドルは枠の上へ。お互いに手数を出し合う中で、生まれたのはカナリア軍団が誇るレフティのゴラッソ。
55分に帝京はスローインの流れから、塩入が左足でグラウンダーの右クロスを放り込むと、収めた三浦は「相手をブロックしながら左足が伸びて、うまく触れたかなと思います」と振り返ったように、マーカーを背負いながらGKを浮き球でかわしてループ。ボールはゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。「たぶんキーパーが前に出ていたので、頭の横ぐらいを狙ったら入りました。あまり覚えていないですけど感覚です」と笑った8番の一撃に、日比監督も「キーパーかわしてループまでやって、スーパーでしたね」と称賛を口に。またも帝京が追い付いてみせました。
66分の主役はナンバーセブン。中央で前を向いた佐々木が少し運んで右へ送り、中島が打ち切ったシュートは左ポストに当たって跳ね返るも、こぼれに反応した赤井はすかさず後方へ。「このスリッピーなグラウンドだったので、『ボールが来たら、まずはシュート』という意識で思い切って」狙った入澤のシュートは右スミギリギリを捉え、ゴールネットへ滑り込みます。「良い感じで入ってくれたので良かったです」という入澤は、渾身のガッツポーズを問われ、「素が出ちゃいました(笑)」を満面の笑み。とうとうこのゲームで初めて、帝京が一歩前に踏み出します。
2度のリードを引っ繰り返された早実は、71分に2人目の交替。小松を下げて、佐久間大地(2年・ラッセル郡山)を送り込み、右から亀井英志(3年・早稲田実業中)、鈴木、橋山が並ぶ3トップ気味の布陣で最後の勝負へ出たものの、75分は帝京にチャンス。入澤が右へ展開し、中島のクロスから左足で放った佐々木のシュートはゴール右へ外れるも、あわや4点目というシーンを。加えて終盤に差し掛かり、萩原颯都(3年・FC東京U-15むさし)と深田のセンターバックコンビを中心に、安定感を取り戻した帝京ディフェンス。
早実も76分に植村と大橋優貴(2年・VITESSE福岡FC)をスイッチする3人目の交替を敢行しましたが、アディショナルタイムの2分間でもゴールは生まれず、清瀬の空に鳴り響いたファイナルホイッスル。「良い内容ではないですけど、80分を通してみんなでブレないでできたかなと思います」と入澤も話した帝京が、準々決勝へと駒を進める結果となりました。


「彼は良い選手ですね。クレバーな選手で、帝京にはない部分を持っているので凄く勉強になりますね」と日比監督が名指しで称えた早実の鈴木は、前述したようにFC東京U-15深川出身。この日の決勝ゴールを挙げた入澤とは、中学時代のチームメイトでした。「相手の4番が深川のチームメイトで、そういう所で想いがあるというか、負けられないなという気がしていました」と明かした入澤に、「試合前に連絡は取ったの?」と尋ねると、「LINEはしました。『久留総のどしゃぶりは強いぞ』みたいなことを送ってきたので、無視しました(笑)」とのこと。「やっぱり卒団してから時間が経って、『あっちも頑張っているから、こっちも頑張らないといけない』という気持ちはありますね」と続けた言葉に、鈴木への気遣いも感じられました。帝京のスタメンには実に7人のJ下部出身者が名を連ねる中で、入澤も「自分たちの代はユースに上がれなかった人たちが多い代なので、『なにくそ』という想いを持っている選手が多いと思いますし、まとまった時は強いと思います」ときっぱり。自らの進んだ道の正しさを証明する意味でも、彼らの戦いはまだまだ続きます。       土屋

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