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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
10位の東京国際大と11位の東洋大が激突する「本当の大一番」(東洋大・古川毅監督)。浮上の足掛かりを掴みたい両チームの対戦は味の素スタジアム西競技場です。
昨シーズンはリーグ戦で6位に入り、インカレでもベスト4まで進出するなど、躍進の1年となった東京国際大。ただ、キャプテンの楠本卓海を筆頭に、5人のJリーガーを含む主力の大半が卒業した今シーズンのリーグ戦は、4節でようやく初勝利を挙げたものの、ここまでは2勝3分け3敗の10位。勝ち点3差ですぐ後ろに付けている今日の相手には、絶対に負けられない所です。
4年ぶりの1部復帰となった昨シーズンのリーグ戦では8位に食い込み、史上初の1部残留を成し遂げた東洋大。その中で後期の失速を教訓に、インカレ出場を1つの目標に置きながら臨んだ今シーズンは、リーグ開幕から6戦未勝利と苦しいスタート。とはいえ、混戦模様を呈しているリーグの中で、まだ巻き返しは十分可能。「自分たちはもう引き分けも負けもいらないので、勝ってもっと上位に食い込んでいく必要がある」と高橋宏季(4年・FC東京U-18)も言い切るように、勝ち点3だけを目指してこの90分間に向かいます。灼熱の調布は午前中にもかかわらず、既に気温は30度オーバー。厳しいコンディションの中、東国のキックオフでゲームはスタートしました。
ファーストシュートは東国。8分に右サイドから音泉翔眞(4年・関東第一)がクロスを上げ切り、こぼれに反応したボランチの荒木秀太(1年・セレッソ大阪U-18)が思い切って狙ったミドルは枠の右へ外れたものの、ルーキーが早くもアグレッシブな姿勢を。16分にも10番を背負う浅利航大(4年・水戸ホーリーホックユース)が左FKを蹴り込むと、飛び込んだ中村彰吾(4年・鹿島学園)はわずかに届きませんでしたが、まずは東国が前への圧力で上回ります。
ただ、東洋も「今年は10番として責任を持って、自分からどんどんチャンスを創っていかないといけないと思います」と話す坂元達裕(4年・前橋育英)にボールが収まり出すと、少しずつ攻撃にリズムが。19分には高橋の縦パスに坂元がワンツーで呼応し、高橋のミドルは枠を越えましたが、"むさしコンビ"でファーストチャンスを。東国も21分には高橋和洋(4年・創価)の右ロングスローから、こぼれを叩いた浅利のミドルはDFに当たって枠を越え、その右CKを浅利が蹴り込むも、小木曽佑太(3年・浦和レッズユース)のヘディングはヒットせず。先制とは行きません。
すると、スコアを動かしたのは「得点やアシストというのはずっと自分の課題でもあったので、そういう数を増やしていけばチームの勝利に貢献できるというのは自分でもわかっていた」と語る東洋の司令塔。32分に「キックフェイントが前から得意な形」という坂元が、そのキックフェイントで時間を創ると、松崎快(3年・大宮アルディージャユース)は丁寧なスルーパス。「チャンスだと思ったら出て行くというのは、自分の中でもあった」という高橋はGKとの1対1も冷静に制し、ゴールネットへボールを送り届けます。「あまり決めたことがなくて、喜び方がわからなかった」と笑った高橋の先制弾に、古川監督も「今では本当に替えの利かない選手になっていると思います」と高評価を。東洋が1点のリードを手にして、最初の45分間は終了しました。
後半のファーストシュートも東国。49分にキャプテンマークを巻く石田勇大(4年・水戸啓明)が、ミドルレンジから枠の右へ外れるシュートを放つと、次に生まれた得点は"追加点"。53分に東洋が左サイドで獲得したFK。スポットに立った高橋が球足の長いボールを放り込み、ファーに入った浦上仁騎(4年・大宮アルディージャユース)が高い打点で打ち下ろしたヘディングは、左スミのゴールネットへ飛び込みます。「仁騎からファーにボールをくれと言われていたので、自分の思い通りのボールが蹴れました」と笑った高橋はこれで1ゴール1アシスト。点差は2点に広がりました。
小さくないビハインドを背負った東国の反撃はすぐさま。55分に得たFKはやや左寄り、ゴールまで約25m強の悪くない位置。10番の浅利が短い助走から蹴り込んだキックは、左スミギリギリを捉え、東洋のGK松本健太(3年・柏レイソルU-18)も触ってはいたものの、ゴールネットへ到達。「せっかく2点目をセットプレーで取れたのに、ものの1分2分でやられてしまうと、怪しい雰囲気になるような感じですよね」とは古川監督。スコアは再び1点差に縮まります。
先にベンチが動いたのは東国。得点直前のタイミングで左サイドハーフの池添勘太郎(4年・山梨学院大学附属)に替えて、宇高魁人(2年・長崎総科大学附属)をピッチへ送り込み、着手する縦への推進力アップ。56分は東洋に決定機。ディフェンスラインの裏へ巧みに抜け出した坂元は1対1からシュートまで持ち込むも、ここは東国のGK神林健太(4年・アルビレックス新潟U-18)がファインセーブで回避。62分は東国にチャンス。左サイドでルーズボールを収めた浅利がミドルを枠へ飛ばすも、松本もファインセーブで応酬。やり合う両者。ヒートアップは両応援団。
古川監督も62分に1人目の交替を。レフティのボランチ坪川潤之(3年・矢板中央)を下げて、ルーキーの桝谷岳良(1年・川崎フロンターレU-18)を投入し、中盤の強度向上を。65分は東国。菅野佑哉(3年・明秀日立)が蹴り込んだ右FKに、エースの町田ブライト(4年・成立学園)がドンピシャヘッドで合わせるも、副審のフラッグが上がり、オフサイドの判定。69分も東国。左サイドに開いた浅利がハーフボレーで打ち切ったシュートは、再び松本がファインセーブで仁王立ちも、「押し込まれる展開と苦しい時間が続きましたね」と口にしたのは坂元。72分には東国も2枚目の交替として、音泉と室井佑斗(4年・鹿島学園)をスイッチ。耐える東洋。押し切りたい東国。
75分は東国。浅利の左FKは、松本が大きくパンチング。その左CKを菅野が入れるも、松崎が懸命にクリア。77分も東国。浅利の左FKから、こぼれを宇高が狙うも、飯澤良介(1年・横浜FCユース)が体を投げ出す決死のブロック。79分も東国。高橋和洋の右ロングスローは、土田直輝(2年・大宮アルディージャユース)が大きくクリア。直後も東国。ここも高橋和洋の右ロングスローから、荒木が放ったボレーはゴール右へ。右から坂本涼斗(2年・柏レイソルU-18)、浦上、土田、渡辺星夢(4年・前橋育英)で組む東洋4バックの途切れない集中力。
東洋は81分に2人目の交替。ここもルーキーの神山京右(1年・横浜FCユース)を投入し、取り掛かる攻守のオーガナイズの再構築。東国も83分に3人目の交替。奮闘した浅利に替えて、柳園良太(4年・西武台)をピッチへ解き放ち、最後の勝負へ。84分は東国。宇高が左へ振り分け、町田の折り返しから荒木が狙ったミドルは枠の右へ。いよいよゲームは残り5分とアディショナルタイムのみ。
輝きを放ったのは「自分は今までずっと出ていたのに1点しか取っていなくて、全く何もやっていなかったので、何としてでも自分が得点に絡んで仕事したい、という想いがずっとあった」ナンバー10。87分に浦上のFKで右サイドへ飛び出した坂元は、「結構コースもなくて、自分も正直『入らないかな』ぐらいの感じだったんですけど、その前の1対1を外した場面で、メッチャ狙って豪快に外しちゃったので、『今度は外しても良いから思い切り蹴ろう』という想いで」、利き足とは逆の右足を振り切ると、ボールはニアサイドを抜けてゴールネットへ突き刺さります。古川監督も「あそこで生き返ったような感じはありました」と認めたエースの追加点。試合の大勢は決します。
貪欲なストライカーの再アピールは90+2分。替わったばかりの丹代藍人(4年・青森山田)が浮かせたパスを出し、収めた坂元はここも躊躇なく右足一閃。ボールは左スミのゴールネットへ吸い込まれます。「意外とああいうのは多くて、去年も右足で半分くらい決めているので、こぼれ球のシュートとかは意外と左より上手いかもしれないです」と笑ったレフティは右足でドッペルパック。ファイナルスコアは1-4。「今日は内容どうこうというよりは、次に繋げないといけないゲームだったので、繋がってくれてとりあえずはホッとしています」と古川監督が安堵の表情を浮かべた東洋が、今シーズンのリーグ戦2勝目を手にする結果となりました。
この日の主役と言っていい活躍を見せた坂元と高橋は、FC東京U-15むさし時代の同級生。高校時代はU-18へ昇格した高橋も、前橋育英へと進学した坂元も、共に東洋での最終学年を迎える訳ですが、お互いに確かな成長の跡が窺えました。例えば坂元は「高校の時は体の強さとか、正直自分には必要ないかなと思っていて、体の使い方や素早さで、相手に当たらなければやっていけるという想いはあったんですけど、大学に入って自分の身軽さだけじゃやっていけないなと早々に気付かされて、そこから筋トレだったり、トレーニングというのをやることになって、背負う場面も自分が務めるようになりました」と。例えば高橋は「中盤は何でもできないといけないと思っていますし、上に行くためにも球際やセカンドは絶対欠かせない所だと思うので、体づくりもそうですけど、予測や頭の中での考えも変わりました。大学はどこのチームも球際や体は凄く強い部分があって、そういう経験をしていく中で、もっと強くならなきゃいけないと思ったので、自分の中でも気付かされることが多かったですね」と。2人が共通して伸ばしてきたのは『力強さ』や『粘り強さ』。もともと技術の高さは十分持ち合わせていただけに、プラスされた部分を見せてくれたこの日の活躍は、両者の今後に大きく期待したくなるようなそれでした。坂元達裕と高橋宏季。この"むさしコンビ"、まだまだこれからもやってくれそうです。 土屋
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