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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
5年ぶりか、はたまた10年ぶりか。久々となる関東大会出場を懸けたセミファイナル。帝京と駿台学園の一戦は、引き続き駒沢第2球技場です。
近年の都内におけるトーナメントコンペティションでは、優勝にこそ一歩届いていないものの、再び上位進出の常連になってきている帝京。今大会も早稲田実業を1-0、都立東久留米総合を5-1で下すと、先週のクォーターファイナルでは成立学園相手に梅木遼(3年・ミラグロッソ海南)の1点を守り、"十条ダービー"を制して5年ぶりのベスト4進出。「今の帝京は雑草軍団でいいんですよ。走れるヤツ、戦えるヤツがピッチに立てば良い話で」とは日比威監督。春先のこの大会で確かな結果を残すことで、さらなる自信を手にしておきたい所です。
ブロックベスト8に入った昨シーズンの選手権予選は復活の兆し。迎えた今大会も修徳に4-0と大勝を収めると、T1所属の国士舘も3-1で撃破。さらに前半だけで3-3と撃ち合いの様相を呈した大森学園戦も、6-3というハイスコアでモノにして、10年ぶりに準決勝まで勝ち上がってきた駿台学園。「シーズン前に目標は立てていて、"大目標"としては都大会のベスト4ということなので、これで彼らは達成できたから引退かなと思ってますけど(笑)」と明るく笑うのは大森一仁監督ですが、もちろんここで進撃を止めるつもりは毛頭ありません。楽しみな80分間を見届けようと、駒沢第2のスタンドはかなりの大入り。セミファイナル第2試合は駿台のキックオフでスタートしました。
「入りは良かったんですけど、15分過ぎから怪しい対応が始まっちゃった」と大森監督が話したように、やや駿台ペースで進んだ立ち上がりを経て、徐々に帝京がゲームリズムを奪還する中で、スコアが動いたのは17分。GKの白鳥俊介(3年・板橋高島第二中)のキックをDFがクリアすると、拾った赤井裕貴(3年・FC東京U-15むさし)、佐々木大貴(3年・FC東京U-15むさし)とボールが回り、赤井は右へラストパス。ここへ走り込んだ中村怜央(3年・FC東京U-15深川)のシュートは、左スミのゴールネットへ飛び込みます。先週のゲームではなかなかチャンスを生かせなかった中村の先制弾。帝京が1点をリードしました。
22分にも佐々木が左寄り、ゴールまで約25mの左FKを直接狙い、ボールは枠の右へ外れたものの、惜しいシーンを創出すると、直後には駿台学園にアクシデント。右サイドバックの小比類巻翔(3年)が負傷でゲーム続行が難しくなり、三澤崚太(2年)と交替。「ある程度やられるのは覚悟していたんですけど、ちょっといただけない失点だった」(大森監督)流れから、1人目の交替を想定外の形で強いられるなど、嫌な空気が漂い掛けます。
ところが、36分に訪れた歓喜の主役は「ちょこちょこしか出ていなかった2年生」(大森監督)。左サイドでCKを獲得すると、キッカーの布施谷翔(3年)はニアへ。GKが弾いたボールはファーへ流れ、ここに突っ込んだ三澤のヘディングはゴールネットへ到達します。「ずっとセットプレーでは取っていなかったので、『今日はセットプレーがカギだぞ』と言っていたんです。そこで取れたのは本当に大きかったかなと思います」とは大森監督。前半途中からピッチへ送り込まれた2年生右サイドバックが大仕事。駿台がスコアを振り出しに引き戻して、最初の40分間は終了しました。
後半のファーストチャンスは駿台。41分にGKの猪田光哉(3年)が得意のキックを蹴り込み、高根沢翔が繋いだボールから上原飛翔(3年)が狙ったシュートは、クロスバーの上に消えるも好トライ。45分にも布施谷が右にサイドを変え、上原がダイレクトで折り返すと、大野竜之(3年)のシュートは帝京のセンターバック萩原颯都(3年・FC東京U-15むさし)が体でブロックしたものの、「先週だけスタメンじゃなくて悔しかったので、『次の試合は絶対スタメンで出よう』と思って練習から意気込んでいました」という9番が1つフィニッシュを。
47分は帝京に決定機。梅木がドリブルで右サイドを運び、抜け出した入澤大(3年・FC東京U-15深川)のシュートは枠を捉えるも、左のゴールポストにヒット。50分は駿台にもセットプレーのチャンス。ドリブルで仕掛けた布施谷がマーカーに倒され、最初はPKを指示した主審が、副審と協議して訂正したFK。左サイド、エリアすぐ外のFKを布施谷が蹴ると、白鳥が懸命に伸ばした手に少し当たったボールはクロスバーにハードヒット。お互いにやり合った"あわや"。一段階上がったスタンドのボルテージ。
53分に動いたのは帝京ベンチ。梅木に替えて、中島涼太(3年・練馬石神井中)をそのまま右サイドハーフへ送り込み、狙う攻守のバランスアップ。54分には駿台にも2人目の交替。負傷した田中竣(3年)を下げて、鮫島貴士朗(2年)がセンターバックの位置へ。55分は駿台。左サイドで粘った布施谷のシュートは白鳥がキャッチしましたが、自らの特徴を「流れを持ってくる所」と言い切る布施谷の推進力もあって、徐々にペースは駿台へ。
63分は駿台。中盤で田中亮汰(3年)はダブルルーレットを成功させて右へ。三澤がダイレクトで打ち込んだクサビは、わずかに上原と合わなかったものの、狙いは上々。64分は帝京。中央で前を向いた10番の佐々木は、2人を外してシュートまで持ち込むも、駿台の左サイドバックに入った今大会初スタメンの渡邊駿介(3年)が体に当てて、猪田がキャッチ。このプレーで足の攣った渡邊は、中村海知(2年)との交替を余儀なくされ、これで最終ラインは3人が替わったことになりましたが、「コレもウチっぽいですよね」と大森監督。スタメンの4バックで唯一残った山崎亮(3年)を中心に、渡邊と同じく今大会初スタメンでボランチの一角を託された高橋竜太郎(3年)も粘り強い守備を続けるなど、集中力の続く駿台ディフェンス。
65分は帝京。右でサイドバックの塩入颯斗(3年・横河武蔵野FC JY)を起点に中島が仕掛け、最後は赤井がシュートを放つも、ボールは枠の右へ。66分も帝京。入澤が左へ展開し、受けた佐々木は右足でピンポイントクロスをファーへ。飛び込んだ中島のボレーはヒットしなかったものの、佐々木はさすがのチャンスメイク。72分は駿台。田中のフィードに上原が抜け出すも、GKにエリア外で倒されて得たFK。右寄り、ゴールまで20m強のポイントから布施谷が直接狙ったキックは枠の上へ。最終盤。残り時間は5分間とアディショナルタイムのみ。
75分の主役は「今日は大野で行こうと決めていた」と指揮官も言及した逆襲のストライカー。右サイドで三澤が縦に付けたボールを、走った上原はさらに運んで中央へ。エリア内で収めた大野は、「ずっと練習の時からキーパーの光哉と左足で打つという練習をしていて、それがちょうど同じ形で来たので」左に持ち出しながら左足一閃。ボールは右サイドのゴールネットへ吸い込まれます。「左足は振らない男なので、まさかあそこで振るとは思わなかったですけど」という大森監督に対し、「右足よりは左足の方が決めている確率は高いので。左足のシュートには自信があります」という大野の"食い違い"はご愛敬。終盤で駿台が逆転に成功しました。
追い込まれた帝京はラッシュ。77分には佐々木のパスから、司令塔の三浦颯太(3年・FC東京U-15むさし)が左へ流し、入澤のシュートは山崎が執念でブロック。入澤と福澤吉記(3年・ナサロット)の交替を経て、左から佐々木が蹴ったCKは中央でオフェンスファウル。80分は駿台に3人目の交替。高根沢と松本州(3年)をスイッチして、取り掛かるゲームクローズ。いよいよゲームは後半のアディショナルタイムへ。
80+1分は帝京にビッグチャンス。ほとんどの選手を前に上げて、萩原が蹴った長いFKに赤井が競り勝つと、センターバックで奮闘した久保莞太(3年・横浜F・マリノスJY)が丁寧に落とし、左サイドバックの鷲田優斗(3年・FC町田ゼルビアJY)がきっちりシュートを枠へ収めるも、「出れない選手もああやって、応援とかでいつも声を掛けてくれるので、その分も出ているヤツらは覚悟を持ってやっている」と言い切る猪田が正面で丁寧に、丁寧にキャッチ。最後は渡辺鉄也(3年)もピッチへ解き放ち、さらに時間を使いながら、聞いたのは勝利を告げるホイッスル。「奇跡に近いんですけど、『大森采配的中!』って書いといてください。アハハハハ」と豪快に笑った指揮官。駒沢に響き渡る"カモン駿台"。逆転で帝京に競り勝った駿台が優勝した2008年度以来、10年ぶりとなる関東大会の出場権を獲得する結果となりました。
「ここまでやれるとは思わなかったですけど。本当によく頑張ったと思います。できすぎですね」と大森監督も笑った駿台ですが、T1の国士舘と帝京を下してファイナルまで勝ち上がった実力はホンモノ。とりわけ4試合で15ゴールを奪った爆発的な攻撃力は、「勢いだけというか、そういうのでやっているので、自分たちで上げていけたら良い試合ができると思います」と猪田も話した強烈な"勢い"を感じさせます。また、その"勢い"に「声援がガッと聞こえると、自分たちはもうアガってくるので、応援は大きいですね。普段からずっと仲良くて、一緒に楽しみながらやっているので」と大野も話した応援団が少なくない影響を与えていることも間違いのない所。そんな応援団の中には、この勝利に涙を浮かべる選手も。「どんなに相手の応援団が多くても、それに張ってやってくれるので力になりますね。国士舘の試合でも泣いているヤツがいるくらいでしたし、今日も本当にそういうヤツらを泣かせれたので良かったですね」とは猪田。この一体感もこれからの駿台にとって、大きな武器になっていくはずです。関東大会に向けての意気込みを問うと、「ウチの子たちがどこまでやれるのか、もう楽しみでしかないんですけどね。本当に今は勢いもあるので。あまり調子に乗らないようにとは思っているんですけど、絶対にアイツらは調子に乗ります(笑) だから、調子には乗らせますけど、足元はちゃんと見つめながら、謙虚に練習はやりたいかなと思っています」と大森監督。2018年の駿台学園には、ここからの東京も大いに沸かせて欲しいですね。 土屋
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