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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年03月19日

T1リーグ2018第1節 関東第一×帝京@駒沢第2

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DSC_0582.JPG東京の高校年代における2018年シーズンもいよいよ開幕。2年連続で選手権の代表権を獲得している関東第一と、着実に復権への道を歩んでいる帝京の90分間は、おなじみの駒沢補助競技場です。
インターハイは3年連続、選手権は2年連続で全国大会出場を果たすなど、近年の東京高校サッカー界を間違いなく牽引し続けている関東第一。1月中旬から立ち上がった新チームは、「始まった当初もまったく勝てなくて、メッチャ失点とかもしていて、攻撃も全然点が入る気配がなくて、『本当にヤバいのかな』って焦っていた」と小関陽星(2年・町田JFC)が話したように、なかなか結果が出なかったそうですが、ここに来て少しずつチーム状態も良化傾向に。その流れも追い風に「今日は絶対負けたくない」と池田健太(2年・VIVAIO船橋)も口にした、大事なリーグ開幕戦へ向かいます。
同校最後となる冬の日本一をキャプテンで経験した日比威監督の就任後、インターハイ予選、選手権予選と準決勝や決勝まで勝ち上がる勝負強さは見せてきたものの、あと一歩で全国切符には届いていない帝京。1年時からチームを支えてきた三浦颯太(2年・FC東京U-15むさし)や佐々木大貴(2年・FC東京U-15むさし)など、期待された世代もいよいよ最終学年を迎える今シーズンは、より一層上を狙う意味でもチャンスの年。まずはリーグ開幕で難敵相手に結果を出すことで、今後の自信に繋げたい所です。会場の駒沢補助には思った以上に冷たい風が。やや肌寒いコンディションの中、関東第一のキックオフでゲームはスタートしました。


立ち上がりは「入りが良くて、自分たちのやりたいことができた」と小関も話した関東第一ペース。9分にはボランチの宮林庸太(2年・FCトリプレッタJY)を起点に古宇田旭(2年・横浜F・マリノスJY追浜)が右へ流し、ドリブルで運んだ貝瀬敦(1年・田口FA)のシュートはクロスバーの上へ外れたものの、「立ち上がりは『もっと蹴っちゃうかな』と思ったら、思いのほかウチが1個我慢した」と小野監督も認めたように、丁寧なパスワークとシンプルな縦をうまくミックスしながら主導権を引き寄せます。
すると、先にスコアを動かしたのも関東第一。15分に昨シーズンからセンターバックを任されていた山脇樺織(2年・東急SレイエスFC)が前線にフィードを送ると、「その前に監督に『ディフェンスから離れて裏へ抜けろ』と言われていた」池田はプルアウェイの動きから、DFともつれたボールをうまく収めてエリア内へ。「最初は『ループ気味で右に流し込もうか』と思ったんですけど」、飛び出したGKを左にかわし、そのまま無人のゴールへボールを送り届けます。「メッチャ嬉しかったです」というストライカーは、「なんかみんな呼んでたんで、行った方がいいかなと思って」ベンチメンバーの呼ぶ輪の中へ。関東第一が1点のリードを手にしました。
以降も「左でちょっとゲームを創っておいて、右で広げてという感じのイメージ」(小野貴裕監督)の関東第一は、その左でサイドバックの高嶋隆太(2年・田口FA)とサイドハーフの金子直樹(2年・浦和レッズJY)が基点を創りつつ、各アタックも手数の一歩手前まで。「みんなもモチベーションが高かったですし、最初からガッツリ行きました」とは池田。握るボール。続く攻勢。
一方の帝京にファーストシュートが生まれたのは25分。左サイドで獲得したFKをレフティの仙道平雅(2年・KSCウェルネス)が蹴り込み、ハイタワーの赤井裕貴(2年・FC東京U-15むさし)がヘディングで合わせたシュートは、関東第一のGK出口貴也(1年・葛飾青葉中)にキャッチされたものの、33分には入澤大(2年・FC東京U-15深川)のパスから、赤井とのワンツーで福澤吉記(2年・ナサロットFC)が枠の左へ外れるシュートまで。少しずつ押し戻し始めたカナリア軍団。
34分も帝京。佐々木、三浦とボールが回り、入澤のスルーパスに走った赤井はわずかに届かなかったものの、スムーズなパスワークから決定機に近い形を。35分も帝京。右サイドで粘った三浦が中へ戻すと、佐々木が左スミを狙ったミドルは出口がファインセーブで何とか回避。「20番(赤井)が収まっちゃうのと、プレスバックに行っても8番(三浦)と10番(佐々木)が足元の技術があって、自分たちのやりたいようなプレーを向こうも少ししてきて、やりにくかったです」とは小関。反転したペース。押し込む帝京。
39分も帝京。スタメン唯一の1年生となったボランチ佐藤悠生(1年・三菱養和調布JY)が右へ振り分け、上がってきたサイドバックの塩入颯斗(2年・横河武蔵野FC JY)がシュート気味に上げたクロスは枠の上へ。42分は久々に関東第一のチャンス。高嶋が縦に付け、左サイドをドリブルで進んだ古宇田のシュートはDFが体でブロック。30分過ぎから帝京がペースを握った前半は、それでも関東第一が1点のリードを守って、ハーフタイムに入りました。


後半も先にフィニッシュを取ったのは帝京。46分にうまくギャップへ潜ってボールを受けた佐々木は、ドリブルからシュートまで持ち込むも、ここは出口がしっかりキャッチ。51分は決定的なシーン。ここも左サイドを独力で運んだ佐々木がシュートを打ち切ると、枠へ飛んだボールは惜しくもクロスバー直撃。52分にも佐々木が右へ展開し、塩入のクロスに佐藤が合わせたボレーはヒットしなかったものの、帝京はセンターバックの萩原颯都(2年・FC東京U-15むさし)と久保莞太(2年・横浜F・マリノスJY)を軸に、相手のアタックの芽を事前に摘み取る守備もきっちり機能。ハーフタイムを挟んでも変わらないゲームリズム。
54分に高嶋、金子、池田とボールを回し、高嶋のミドルはクロスバーの上に消えたものの、久々に良い流れのアタックを繰り出した関東第一は、59分に1人目の交替を決断。「ちょっと捕まえづらかった感じでしたね」と指揮官も一定の評価を与えた金子に替えて、篠崎源太(2年・大宮アルディージャJY)をそのまま左サイドハーフへ投入し、サイドの攻守にテコ入れを図ります。
次のゴールを求め、双方が繰り出すセットプレー。62分は帝京。右サイドから三浦が蹴ったFKは、そのままファーサイドへ流れてゴールキックに。63分は関東第一。田中大生(1年・横浜FC JY)の右CKがファーへこぼれると、左から篠崎が入れたグラウンダーのクロスに、ニアで反応した山脇のボレーは枠の左へ。66分は帝京。ここも右サイドで得たFKを三浦が蹴るも、山脇のクリアはそのまま関東第一のカウンターに。貝瀬が快速を飛ばして抜け出すも、帝京のGK白鳥俊介(2年・板橋高島第二中)も判断よく飛び出してカット。68分も帝京。仙道の右CKから、ファーに突っ込んだ福澤はわずかに触れず。70分を経過して、スコアは1-0のまま。勝負はラスト20分間へ。
72分には関東第一に2人目の交替。古宇田を下げて、板垣大空(1年・バンデリージャ横浜)を送り込み、貝瀬が中央にスライドして、板垣は右サイドハーフへ。74分は帝京も最初の交替。赤井と照田拓史(1年・三菱養和調布JY)を入れ替え、前線の顔ぶれに変化を。79分に貝瀬が白鳥にキャッチを強いたミドルを挟み、81分に関東第一は池田と小久保圭吾(2年・FC町田ゼルビアJY)を、82分に帝京は福澤と梅木遼(2年・ミラグロッソ海南)を相次いでスイッチ。差し掛かる終盤。果たして勝敗の行方は。
83分は関東第一。田中が右FKを蹴り込むも、塩入がきっちりクリア。85分も関東第一。小久保と貝瀬の連係で右CKを奪い、篠崎が蹴ったキックはシュートまで繋がらず。87分に小野監督は4枚目のカードとして屋敷蒼(2年・三菱養和調布JY)をピッチへ投入し、取り掛かるゲームクローズ。88分も関東第一。田中の右FKに宮林が競り勝つも、飛び込んだ屋敷はオフェンスファウル。「もっと自信を持っていいぐらい」と小野監督も評した伊藤翔(1年・ミナトSC)と山脇のセンターバックコンビを中心に、関東第一のディフェンス陣が打ち出す安定感。
89分には帝京も中村怜央(2年・FC東京U-15深川)をピッチへ解き放ち、最後の勝負に出ましたが、タイムアップまで関東第一の堅陣は揺るがず。「開幕戦を落とすのと落とさないのでは相当違うと思うし、監督も『1個勝つのが大変だ』と言っていたので、その開幕戦を勝って、シーズンとして良い入りができたかなと。内容はもうちょっとやりたかったですけど、まず開幕戦の結果は良かったと思います」とはこの日のキャプテンマークを巻いた小関。関東第一がウノゼロで開幕戦の白星を手にする結果となりました。


「僕も2か月半ぶりぐらいだったので楽しかったです。ゲームに入る前が凄くウキウキして、多少浮わ付いた気持ちでゲームに向いてしまいました(笑)」と珍しく小野監督が笑いながら話したように、久々の公式戦という要素がプラスに働いた印象のある関東第一。新チームの立ち上げ当初を冒頭のように語っていた小関も「ここ最近本当になんかちょっとずつチームになってきて、失点も減ってきて、点が入るようになって、今はたぶん少しかもしれないですけど右肩上がりに上がっているので、この調子でどんどん行きたいです」と手応えを口に。ただ、試合に出られなかった選手たちに目を向けながら、小野監督は「今日出れなかったヤツが悔しくなると思うんですよ。そういうのがもっと出てこないと。去年は"守った"というか、我慢する1年間だったので、今年はたぶん選手の性格を考えると、我慢するだけでは彼らの良さは出ないと思いますし、自分たちからやるエネルギーが今年のポイントになると思うので、そういう部分で言えばまだ全然本来の持っているものは出ていないと思います」ときっぱり。今シーズンの関東第一もかなり楽しみになるような90分間だったのではないでしょうか。        土屋

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