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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2018年01月23日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ FC町田ゼルビアユース×FCトリプレッタユース@小野路公園G

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0121onoji.JPG西が丘を目指すファイナルラウンドの幕開け。FC町田ゼルビアユースとFCトリプレッタユースが挑む、2018年初の公式戦は小野路グラウンドです。
T3リーグでは9戦全勝という圧倒的な結果でブロックを制し、優勝決定戦でも14-13という壮絶なPK戦の末にT3完全制覇を達成。さらに夏のクラブユース選手権でも、三菱養和SCユースと東京ヴェルディユースを破って関東予選を抜け出すと、乗り込んだ全国で見事にグループステージを突破し、敗れたもののベスト16では横浜F・マリノスユースにも肉薄するなど、成績という意味でも一定以上の成果を手にした昨シーズンのFC町田ゼルビアユース。新チームで挑むこの大会は、まだ決勝リーグ突破を果たしていないこともあって、「西が丘に必ず行きたいというのが、みんなの気持ちですね」と話すのは左サイドバックの野呂光希(2年・ウイングスSC)。明確な目標を掲げて、大事な90分間に向かいます。
久々に挑んだT1リーグでは無念の降格を強いられ、クラブユース選手権もJユースカップも関東予選でのPK戦敗退を経験するなど、悔しい結果が続いていた中で、11月には新設されたTown Club CUP 2017で初代チャンピオンに輝き、大会の歴史にその名を刻んだ昨シーズンのFCトリプレッタユース。今シーズンもリーグ戦とトーナメントコンペティションの両方で結果を出すことはもちろん、この大会で3年連続となる西が丘進出の切符を手に入れることも重要なミッション。新チームになり、「マイボールに強くなるようなスタイルで、面白いサッカーができるように、というテーマにやってきた」(大貫雅之監督)ここまでの成果を披露するための公式戦を迎えます。会場の小野路公園グラウンドは、やはり"下界"よりは気温も数度低そうなコンディション。楽しみな一戦はトリプレッタのキックオフでスタートしました。


ゼルビアの1トップを務める前田陸斗(1年・FCトレーロス)が「今日みたいなバチバチした試合は得意というか好きなので、やっていてニヤニヤが止まらないくらい楽しかったですね」と話した通り、キックオフ直後からピッチのあらゆる局面で高い強度のぶつかり合いが頻発。2分はゼルビア。右サイドバックの北野拓海(2年・コンフィアール町田)が裏へ落とすも、良く走った齊藤滉(2年・コンフィアール町田)はシュートまで持ち込めず。5分はトリプレッタ。右サイドで奪ったCKを山田吾一(1年・Forza'02)が蹴るも、こぼれに反応したキャプテンの孫立河(2年・FCトリプレッタJY)はシュートを打ち切れず。まずはお互いにフィニッシュ一歩手前のチャンスを創り合います。
以降もフィフティに近い展開の中で、お互いに惜しいシーンを。18分はゼルビア。「彼にボールが入った時の推進力は、ちょっと他の子には出ない形」と竹中穣監督も認める前田が、粘り強いキープから右へ流し、開いた小山田賢信(1年・FCトッカーノ)のクロスをファーで大塚拓哉(2年・横浜FC JY)が収めるも、シュートはわずかに枠の右へ。26分はトリプレッタ。後方からのフィードに、抜群の動き出しで飛び出した山田はGKと1対1になりましたが、浮かせたループはわずかにゴール右へ。やり合う両雄。白熱するピッチ。
30分はトリプレッタ。「マイボールの部分では落ち着いて判断できる」と指揮官も評価を口にした左サイドバックのレフティ的井文謙(1年・川崎チャンプJY)の左FKから、ルーズボールを拾った山田のミドルはクロスバーの上へ。34分はゼルビア。右サイドでボールを受けた齊藤が、カットインから左足で叩いたシュートは枠の右へ。40分はトリプレッタに決定機。ドイスボランチの一角を担う島田佑樹(2年・PERADA FC)が、ディフェンスラインの背後へ好パスを送り込み、2列目から北原康太(1年・FC Consorte)が抜け出すも、「1回コントロールを外に持って行って、角度を消しちゃった」(大貫監督)シュートは枠の左へ。先制とは行きません。
すると、スコアが動いたのは意外な形から。直後の40分。前田が縦に流したボールへ、ややトリプレッタの対応があいまいになった隙を縫って齊藤が抜け出すと、飛び出したGKに倒された位置はエリア内。主審はペナルティスポットを指差します。絶好の先制機にキッカーは佐藤陸(2年・FC町田ゼルビアJY)。右に蹴り込んだボールは、GKの逆を突いてゴールネットへ。ゼルビアが先にスコアを動かしました。
畳み掛けたいホームチーム。44分にもセンターバックの杉本裕哉(1年・東急SレイエスFC)が右へフィードを送ると、北野が頭で落とし、齊藤のドリブルを挟んで前田が狙ったシュートはDFが何とかブロック。45+1分にも好チャンス。キャプテンマークを巻く鈴木舜平(2年・FCトッカーノ)が右のハイサイドへ蹴り込み、追い付いた北野のダイレクトクロスに、飛び込んだ前田と大塚はわずかに届かなかったものの、「最後の崩しの所でサイドバックが出てくるウチのタイミングで、ちょっと足が届かなかったですね」とは竹中監督。インテンシティの高い好ゲームは、ゼルビアが1点をリードして最初の45分間が終了しました。


後半はスタートからトリプレッタが2枚替え。右ウイングの芳山詩思(1年・FCトリプレッタJY)と松本大樹(2年・VERDY S.S.AJUNT)を、左サイドバックの的井と松尾大暉(1年・FCトリプレッタJY)をそれぞれ入れ替え、松本はそのまま右ウイングに、松尾は右サイドバックに入り、その位置にいた竹本海人(2年・FCトリプレッタJY)を左サイドバックへスライドさせ、「背後は3番にガンガン置いていかれていたので、そこは修正を入れなきゃなという」采配を大貫監督は振るいます。
後半最初のチャンスは51分のゼルビア。「前に行く自分の姿勢を示すことで、後ろも安心感とか期待を持ってやれると思う」という前田が粘って左へ付けると、上がってきた野呂のシュートは枠の左へ逸れましたが、「今年はどんどん仕掛けていきたいと考えていて、やっぱり今日もどんどん仕掛けようと思っていました。そうしないと相手も怖くないと思うので、怖いサイドバックになりたいなというのはありますね」と語る左サイドバックの、恐れずに仕掛ける姿勢はゼルビアの大きな推進力に。
次の得点を巡る攻防は、お互いにセットプレーで。58分はトリプレッタ。右から的井が蹴り込んだFKから、こぼれに反応したセンターバックの明石寛司(1年・三菱養和調布JY)のシュートはヒットせず。62分はゼルビア。前田の仕掛けで右CKを得ると、野呂のキックは孫が懸命にクリア。63分もゼルビア。佐藤が蹴った左CKもクリアに遭いますが、「トップの前田にボールは届くものの、少しノッキングというか、そこにもう少しシンプルに参加できる子が近くにいて欲しいと思って」(竹中監督)、システムを4-1-4-1から4-4-2にシフトしたゼルビアが上回り始めた勢い。
64分はトリプレッタに同点のチャンス。竹本を起点に山田吾一が左から中へ。ボランチの前田莉玖(2年・府ロクJY)のシュートはDFに跳ね返り、拾った北原のシュートはクロスバーを越えてしまい、天を仰ぐピッチとベンチ。ゼルビアも70分に大塚と内野豊羽(2年・FC町田ゼルビアJY)を入れ替えると、1分後に追加点機。右サイドの裏に飛び出した齊藤は1対1を生み出すも、果敢に飛び出したトリプレッタのGK島田航樹(2年・PERADA FC)がコースを狭め、やや角度のない位置から放ったシュートは左のポストにヒット。GKの市橋和弥(2年・FC町田ゼルビアJY)と、杉本に半袖で気合を入れる青木拓洋(2年・FC Consorte)のセンターバックコンビを中心に、ゼルビアは守備陣の安定感も抜群。スコアは1-0のままで、残された時間は15分間とアディショナルタイムへ。
79分はゼルビアに齊藤のドリブルから奪ったFKのチャンス。ゴールまで約25mの位置から、佐藤が直接狙ったキックはカベにヒット。85分はゼルビアに2人目の交替。「観客を魅了するプレーというのは、今は10回に1回しかできないですけど、それを増やすことでもっと上に行けるというのは、最近凄く考えていることですね」と頼もしい言葉を紡いだ前田が球際の激しいバトルでやや傷み、塩澤拓馬(1年・FC栃木)とスイッチ。86分はトリプレッタが再び2枚替え。山田真暉(1年・バディーJY)と渡辺琉偉(1年・FCトッカーノ)を同時にピッチへ送り込み、何とか強奪したい同点弾とその先。
それでもゼルビアが見せるのは「この後もあるので絶対に勝っておきたい試合」(野呂)という共通認識。89分には左サイドでCKを獲得するも、追加点を取りに行くよりもコーナー付近で時間を使うプレーを選択すれば、直後も齊藤は粘り強いキープから、思い切り良く枠の左へ外れるフィニッシュまで。これには竹中監督も「去年のテーマは『勝利を追求する』というテーマで、それを継続することと、今年は『プロ意識を持って取り組む』という中で、彼らが彼らなりのジャッジがああいう表現だったのかなと、僕は非常に前向きに捉えています」と評価を口にします。
90分には齋藤星太(2年・東京実業高)を5枚目のカードとして送り込み、キープ力で存在感を見せていた森友紀(2年・学習院中)、山田真暉、齋藤を前線に配し、最後の勝負に出たトリプレッタに対し、ゼルビアも90+2分に甲斐稜人(1年・FC町田ゼルビアJY)を投入し、きっちりゲームクローズの態勢を整えると、小野路に響いたタイムアップのホイッスル。「西が丘に必ず行きたいというみんなの気持ちが強くて、課題が多く見えた試合でもあったんですけど、勝てたことが一番良かったかなと思います」と野呂も話したゼルビアが、ウノゼロで決勝リーグ初戦を制する結果となりました。


「普段はもっと勇気を持ってパスワークをやるんですけど、そこでプレッシャーに飲まれたかなという感じですね。後ろも受けないし、もうちょっと作って欲しかったんですけど」と悔しげな表情を浮かべたのはトリプレッタの大貫監督。「判断とコンビネーションはトレーニングから抜かないでやっているので、初戦でどれだけそれが出せるのかもわからない中で、選手たちがちょっと弱気な部分を出したかなと思いますね」と話した指揮官は試合終了直後のミーティングで、「『逃げたな』と説教しましたけどね(笑)」とのこと。ただ、それは「全体が噛み合ってきたり、1人1人の技術と判断がちょっとずつでも上がれば、Jでも勝負できないこともないと自分の中では思っている」と続けたように、チームのに一定の手応えを感じているからこそ、この90分間に対しては厳しい見方になったようです。今シーズンのチーム作りを問われ、「去年はディフェンシブにまとまりがあったので、この大会で結果が出ましたけど、T1を戦わなければいけないというチーム作りの中で、どうしてもディフェンスに追われる所があったので、今年はT2ですし、元々のチームカラーを前面に出していきたいですね」と大貫監督。いわゆる"トリプらしさ"がどこまで出てくるのか、今年の彼らにも注目していきたいと思います。
前後半の戦い方について、「基本的には何も変えない。人も替えなかったですし、形も変えなかった中で、1つ変えるとしたら前半の最後の崩しの所で関わっているのは3枚だったので、それを4枚、5枚と数を増やすことで、『やっぱりゲームを完結できるでしょう』と。『完結をしないと称賛されないよね』という話だけして、あとは選手たちが変えずにやってくれたと思います」と口にした竹中監督は直後に、「それでもあえて名前を出しますけど、大塚にしても後半の仕事量はまだまだ足りないし、マイボールになった時の佐藤陸の質も、ボールが縦、横、斜め、後ろとあると考えたら、鈴木舜平が攻撃でいつ、何を選ぶかに関しても、まだまだ全然だと思っていますけどね」とキッパリ。それも「去年から出ているメンバーがもうちょっとと言わず、今年はそれより3回りぐらいやってくれないと困るので」という竹中監督の期待の表れであることは間違いありません。前述したように、去年の『勝利を追求すること』というテーマに加え、今年は『プロ意識を持って取り組む』というテーマを掲げているゼルビア。橋村龍ジョセフ(2年・FC町田ゼルビアJY)が既にトップへ帯同する中で、「『君の同級生にもプロの登録選手がいますよ。いいんですか?』と。『遅れてますよ、もうこの時点で』という投げ掛けはしていますし、そう思ってもらわないと、プロのアカデミーにいる子たちなので困る訳で、そこは基準値をかなり上げないと、トップには追い付かないなと思っています」と指揮官は明確な『プロ意識』へのアプローチを続けていく様子。「トップに上がって、そこに登録されることではなくて、試合に出て、周りの方たちに評価していただくと。サッカーの世界でプレーヤーとして、人として評価を得るような立場になれるかどうかという基準値」(竹中監督)をベースに置いた今シーズンのゼルビアユースからも、やはり目が離せそうにありません。      土屋

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