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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年12月11日

高円宮杯2017 プレミアEAST第18節 FC東京U-18×青森山田@小平

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DSC_0019.JPG1年前と同じチーム同士が、同じ会場で雌雄を決する最終節。FC東京U-18と青森山田の大一番はおなじみの小平グラウンドです。
昨年度はクラブユース選手権、Jユースカップと堂々たる全国二冠を達成しながら、プレミアEASTでは優勝を懸けたホームの最終節で青森山田に0-1と惜敗し、悔しい想いを味わったFC東京U-18。今シーズンはクラ選2連覇という偉業を成し遂げたものの、やはり一番欲しいのは「毎試合どの選手がいなくなって、どの選手が試合に出るかわからない状況の中で」(高瀬和楠・3年・FC東京U-15深川)戦い抜いてきたリーグのタイトル。その行方は首位に立つ清水エスパルスユースの結果次第ではありますが、まずは「青森山田に勝つことだけに集中しようという」(品田愛斗・3年・FC東京U-15深川)スタンスで、目の前の90分間へ向かいます。
最終節の激闘を制し、悲願のプレミアEAST制覇を引き寄せた勢いそのままに、チャンピオンシップでも広島ユースに競り勝って日本一に輝くと、高校選手権でも並み居る強豪を次々と撃破して初優勝を手にするなど、飛躍の1年を過ごした昨シーズンの青森山田。迎えた今シーズンは、インターハイこそ厳しいブロックに組み込まれた中で、東福岡に勝ったものの、前橋育英に屈してベスト16敗退となりましたが、連覇を目指すリーグ戦ではきっちり優勝争いを。前節も首位の清水ユースと壮絶に撃ち合った結果、4-4のドローで勝ち点1をもぎ取り、逆転優勝の可能性を残したまま、最後の1試合へ臨みます。会場には優に1000人を超える観衆が詰め掛け、整ったビッグマッチの雰囲気。東のラストバトルは青森山田のキックオフでスタートしました。


勢いよく立ち上がったのはホームチーム。2分に左サイドで獲得したCK。品田の蹴ったボールは中と合わず、ゴールラインを割りましたが、5分にも小林幹(3年・FC東京U-15むさし)のフィードを原大智(3年・FC東京U-15むさし)
が落とし、吉田和拓(3年・FC東京U-15深川)のボレーは枠を越えたものの、まずは「凄く良い立ち上がりだったので、みんな気持ちが入っているなと感じました」と高瀬も話した東京が攻勢に打って出ます。
ただ、青森山田もセットプレーで反撃開始。9分に右から堀脩大(3年・FC東京U-15深川)が蹴り込んだFKは原がクリアしましたが、直後の左CKを田中凌汰(3年・青森山田中)がショートでニアに付けると、中村駿太(3年・柏レイソルU-18)は鋭い反転でマーカーを剥がしてマイナスへ。ゴール右スミを捉えた堀のシュートは、カバーに入っていた横山塁(3年・FC東京U-15深川)が掻き出したものの、あわやというシーンを。10分にも右CKを堀が蹴り入れ、ファーに飛び込んだ田中のヘディングは高瀬がファインセーブで弾き出すも、青森山田がデザインするセットプレーの豊富なアイデア。
15分は東京。品田がミドルレンジから狙ったシュートはクロスバーの上へ。17分も東京。原のパスから吉田が放ったシュートはわずかに枠の右へ外れるも、2トップが披露するスムーズなコンビネーション。19分は青森山田のセットプレー。右から入れた堀のFKはこぼれ、佐々木友(3年・青森山田中)が叩いたボレーは枠の左へ。24分は東京のセットプレー。品田が右からファーへ飛ばしたFKに、横山が合わせたヘディングは枠を越えましたが、続く東京のゲームリズム。
青森山田も28分には右サイドから中村が速いクロスをグラウンダーで上げ切り、ここは良く戻った東京のセンターバック長谷川光基(3年・FC東京U-15深川)が懸命にカットし、高瀬がキャッチすると、29分には意外な形からホームチームに先制機。味方のバックパスをGKが手で取ってしまったことで得た、エリア内での間接FK。人壁の中から品田がずらし、小林が狙ったキックは青森山田のキャプテンを務める小山内慎一郎(3年・青森山田中)が体でブロックしましたが、青赤の歓喜はその直後。
左のコーナースポットに立った品田が「青森山田のウィークポイントを突こうという所で、原選手を相手のキーパーの前に立たせて、その頭を目掛けて蹴ろうという感じで」右足を振り抜くと、綺麗な弧を描いたボールはGKの頭上を鮮やかに破り、右のサイドネットへ吸い込まれます。「練習でも1人であのキックの練習をしていましたからね」と佐藤一樹監督も言及した一撃は、本人にしても「直接入っちゃったらラッキーみたいな感じでしたけど、ちょっと自分でも期待はしていました。何本か決めたこともあったので」という狙い通りのゴラッソ。30分。品田の直接CKで東京がスコアを動かしました。
ラッシュは東京。35分に杉山伶央(3年・FC東京U-15むさし)が左へ流し、原が枠へ収めたシュートは青森山田のGK飯田雅浩(2年・東京ヴェルディJY)がファインセーブで弾き出し、こぼれは何とか佐藤拓海(3年・三菱養和調布JY)がクリア。直後の35分にも品田のパスから、吉田が左足で打ったシュートは飯田がキャッチ。37分は決定機。横山の横パスを吉田が落とし、原のスルーパスに抜け出した杉山のシュートは枠の右へ外れるも、綺麗なアタックでフィニッシュまで。
38分も東京。果敢に上がった吹野の右クロスに、最後は小林が振り切ったボレーはクロスバーの上へ。40分は青森山田。堀が左へ振り分けたボールから、檀崎が狙ったシュートはゴール右へ。43分は東京。吹野が入れた浮き球を原が頭で落とし、吉田のリターンから原が打ち込んだシュートは飯田が何とかキャッチ。最終ラインもキャプテンの篠原新汰(3年・FC東京U-15深川)と長谷川を中心に安定感を誇った東京が、「今日は自分たちの入りが良くて、失点しない時間も長く作れた」という品田の先制弾で1点をリードして、最初の45分間は終了しました。


後半最初の決定機は追い付きたい青森山田。51分、郷家友太(3年・ベガルタ仙台JY)を起点に中村が右へ付け、田中が右スミを狙ったシュートは高瀬がファインセーブ。その右CKを堀がマイナスにグラウンダーで蹴り込むも、フリーで走り込んだ鍵山慶司(3年・FC東京U-15深川)のシュートはクロスバーを越えてしまうと、52分には1人目の交替として佐々木と瀬尾純基(3年・ガイナーレ鳥取U-18)を入れ替え、引き上げたいサイドの推進力。
ところが、次の得点を記録したのも青赤軍団。53分に吹野がインターセプトから右サイドを持ち上がり、カットインしながら放ったシュートは飯田にキャッチされましたが、57分にも品田のパスを受けた横山はやはり右サイドを駆け上がりながら、「ちょうど昨日の練習でもああいうシーンで点が取れたので、いつもは縦に行くんですけど、今日はチャレンジしてみようかなと思って」カットインしながら左足一閃。ボールはニアサイドをすり抜けて、ゴールネットへ到達します。「今まで全然点が取れなくて、チームに貢献できていなかったので、『今日こそは自分が点を取って勝ってやろう』という気持ちが強かった」という11番の貴重な追加点。両者の点差は2点に広がりました。
60分は青森山田に2人目の交替。負傷明けのGK坪歩夢(3年・青森山田中)がこのタイミングでゴールマウスへ。64分に沸いた場内。品田のシンプルなフィードを、パーフェクトなトラップで収めた原は、シュートこそ枠の左へ外しましたが、トップチーム昇格コンビが見せたその一連のスムーズさは特筆モノ。69分は両チームに交替が。青森山田は3人目。佐藤に替えて、住田将(3年・名古屋グランパスU18)がそのまま左サイドバックへ。東京は1人目。前線で奮闘した吉田を下げて、久保建英(1年・FC東京U-15むさし)を送り込み、貪欲に狙うのは試合を決める次の1点。
72分は青森山田。郷家、檀崎とボールが回り、中村が打ったシュートはDFが体で懸命にブロックし、こぼれを拾った郷家のシュートは枠の左へ。74分は東京。入ったばかりの久保が右へスルーパスを送り、横山が走り込むも、ここは飛び出した坪ががっちりキャッチ。他会場では清水ユースが1-2で柏レイソルU-18に負けているとの報も。残された時間は15分。このままなら、すなわちこの会場の勝者が東の王者に。
ディフェンディングチャンピオンの執念。75分に郷家からボールを引き出した堀はエリア左を縦に仕掛けながら、マーカーに囲まれた中でも迷わず得意の左足でフィニッシュ。少しディフェンダーに当たったボールはコースを変えながら、ゴールネットへ飛び込みます。深川時代の同級生でもある品田も「ボールを持ったら非常に良いものがあるので、自分も何度かかわされかけたりもした」と認めた堀が古巣相手に強烈な一発。たちまち点差は1点に縮まります。
違いを見せたのはピッチ上で唯一の16歳。失点から1分後の76分。中盤で前を向いた久保は右へ振り分け、横山の丁寧なリターンを受けると、縦にコントロールしながら躊躇なく利き足とは逆の右足でシュート。低く抑えられたシュートはグングン伸びて、左スミのゴールネットへ突き刺さります。スーパーなゴールを奪ったレフティは、観客席側に走り出して渾身のガッツポーズ。再び東京のリードは2点に変わりました。
双方が切り合うカード。77分は青森山田。4枚目のカードとして浦川流樺(3年・横浜F・マリノスJY)をピッチへ。78分は東京。「鹿島戦が前半から飛ばせなくて、『今日は飛ばしていこうかな』と思っていたので、交替しちゃったんですけど、出し惜しみなくできました」という1ゴール1アシストの横山に替えて、草住晃之介(3年・FC東京U-15深川)を左サイドバックに投入し、杉山が右サイドハーフへ、チーム随一のポリバレント荒川滉貴(3年・FC東京U-15深川)が左サイドハーフへそれぞれスライドし、整える勝利への態勢。81分は青森山田。堀と安藤駿(3年・FC.アヴェニーダソル)も入れ替えて最後の勝負へ。
ディフェンディングチャンピオンの執念、再び。85分に最終ラインから声を出し続けていた蓑田広大(3年・大豆戸FC)がフィードを送り、郷家が競り勝ったボールに檀崎がいち早く反応すると、飛び出したGKのすぐ横を転がして破る冷静なシュート。ボールはゆっくりとゴールネットへ転がり込みます。「郷家選手がいきなりパワーを出してきたなという感じで、終盤に力を発揮してきたので、少し驚いた部分はありましたね」と品田も言及した通り、郷家はラスト15分で2アシスト。3-2。1点差。残された時間は5分間とアディショナルタイムに。
87分は青森山田。左サイドで得たFK。郷家は中へ入れず、ややトリック気味に左へ付けたものの、中村はシュートまで持ち込めず、住田の左クロスも小山内のボレーは枠の左へ。90分も青森山田。檀崎の巧みなループミドルが枠を襲うも、「普段から試合の中のいろいろなシチュエーションのことを考えて、ああいうシチュエーションのシュートも普段からやっているので、その積み上げが出たのかなと思います」と話す高瀬がビッグセーブ。アディショナルタイムの掲示は3分。最終盤。180秒に託されたタイトルの行方。
90+2分も青森山田。坪が蹴り込んだFKは右へこぼれ、懸命に残した鍵山のクロスは混戦を生み出し、田中がきっちり抑えたボレーは枠を捉えるも、ここは吹野が決死のブロック。直後に田中が蹴り込んだ左CKは、原が高い打点で丁寧にクリア。佐藤監督も90+3分に杉山と寺山翼(2年・FC東京U-15むさし)を3人目の交替としてスイッチしながら、確実に時計の針を進めると、93分を少し回った頃、小平のピッチを切り裂いたタイムアップのホイッスル。そしてこのゲームの勝利を手繰り寄せたホームチームに、程なくして届けられたのは清水敗戦の報。歓喜と涙の入り混じった青赤の初戴冠。「『一生懸命やっているともしかして自分たちにそういったサッカーの神様が微笑んでくれるかもしれないよね』みたいな話はしたんですけど、まさにそうなったということは、彼らのサッカー人生にとって本当に貴重な成功体験になったと思う」と佐藤監督も語った東京が、悲願とも言うべきリーグ制覇を達成する結果となりました。


東京がシーズンを戦う中で最も難しかったのは、言うまでもなくU-23チームが参加しているJ3との並行。「もう2年目なので、そういう流れがあるというのは選手自身もわかっていましたし、僕もそこに対して『当たり前でしょ』『やるでしょ』と。それに対して『選手もやります』と。選手はどちらかと言ったら『やりたい、やりたい』の選手が多いですからね」と話した佐藤監督でしたが、続けて「とはいえ、連戦に強い選手も弱い選手もいますし、J3で長い時間出た選手、短い時間だけ出た選手、それによって明日なのか前日なのか、中1日あるのか、急にトップにケガ人が出て前日にJ3へスライドなのかと、毎週末いろいろな状況を想定しながらやってきたので、思わず優勝した瞬間には涙が出てしまいました」と本音も口に。高瀬も「『今週はJ3で何人いない』とか言われても全然気にしないというか、そういう選手がいないから『今回はヤバいな』というのも全然なくて、いなくなった選手の話が試合前に出ないくらい、このメンバーでどう戦うというのがハッキリしていますね。それは去年の3年生たちが見せてくれた姿でもあるし、自分たちが積み上げてきたものなので、それが実際結果として出たのは嬉しいです」と明かしましたが、それは昨年のチームも含めて、スタッフと選手たちで築き上げてきた一体感の証。間違いなく国内の2種年代の中でも、トップクラスに難しいシチュエーションを強いられた中でのタイトル獲得だけに、より価値があったことは強調しておきたい部分です。1週間後に迫ったチャンピオンシップについて問われた品田は、「せっかく最後まで来れたので、また1週間チームで最高の準備をして、一体感を持って最高の結果を手にしたいと思います。中学生の頃からを含めてFC東京ではタイトルを獲り続けて来ているので、その勝負強さというのを最後も見せることができたらいいなと思います」ときっぱり。カズ・トーキョーが挑む、2017年最後の"お祭り"は1週間後。埼玉スタジアム2002がその舞台です。
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土屋

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