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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年11月06日

高校選手権東京B準決勝 國學院久我山×国士舘@西が丘

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1105nishigaoka1-2.JPG2年ぶりの東京制覇を目指す都内きっての強豪と、14年ぶりに全国の舞台を踏みたい古豪の激突。國學院久我山と国士舘のセミファイナルは引き続き味の素フィールド西が丘です。
今シーズンは関東大会予選、インターハイ予選とどちらも代表権の懸かった準決勝で敗退し、悔しい想いを味わってきた國學院久我山。それでも、昨年度は全国準優勝チームという称号を携えながら、初戦敗退を強いられた選手権予選こそが何よりもリベンジの機会。今大会も初戦こそ都立府中東に土壇場まで追い詰められながら、後半終了間際で劇的に追い付いて、延長で5-2と勝利を手繰り寄せると、先週の駿台学園戦も松本雄太(3年・成立ゼブラFC)の決勝ゴールで1-0と競り勝って、このセミファイナルまで。「相手よりも少しだけ勝ち上がれる力、使命を持っているのかなという部分もあると思っている」とは清水恭孝監督。確かな使命を胸に、こちらも2年ぶりとなる西が丘のピッチへ向かいます。
T2リーグは堂々の2位に入り、来シーズンからのT1リーグ復帰を決めているものの、新人戦とインターハイ予選は共に地区予選と支部予選で、同じ都立狛江に連敗を喫し、都大会進出を逃している国士舘。それでも「インターハイに負けた次の日から校内で合宿をして、『この悔しさを絶対選手権にぶつけよう』とそこからずっとやってきた」とキャプテンの和田航希(3年・横浜FC鶴見JY)が話したように、この選手権予選は初戦の学習院戦を延長の末に制すると、難敵の東海大高輪台にはPK戦で土を付け、都立駒場とのクォーターファイナルも2-1でモノにして、5年ぶりの西が丘へ。「みんな教室とかでも『西が丘行きてえ』って言ってたので、それが叶って嬉しいですけど、ここまで来たら勝って決勝の駒沢に行きたいです」とは豊川広幹(3年・横浜FC鶴見JY)。勝利への強い意欲を携えて大事な準決勝へ挑みます。注目の一戦に集結した観衆はなんと5,134人。楽しみな準決勝は久我山のキックオフでスタートしました。


「前半の立ち上がりはこっちのペースで、前の方で回せていた」と三富嵩大(3年・横河武蔵野FC JY)も振り返ったように、序盤からペースを掴んだのは久我山。すると、勢いそのままに迎えた歓喜は12分。左寄りでボールを受けた内田祐紀弘(3年・Forza'02)は右へ浮き球を送り、受けた鵜生川治臣(3年・前橋JY)は冷静なトラップからGKを外して中央へ。ここへ走り込んでいた高橋黎(2年・ジェファFC)は無人のゴールへボールを蹴り込みます。「去年から試合に出させてもらっていたので、今年からは自分が引っ張っていく存在にならないといけないのかなとずっと思っていた」という2年生が貴重な先制弾。早くも久我山が1点のリードを奪いました。
さて、「前半は経験不足なのか硬かったですね」と上野晃慈監督も口にした国士舘は、24分にファーストシュート。中央をドリブルで運んだ左サイドハーフの唐澤大地(2年・FC町田ゼルビアJY)は、そのままフィニッシュ。DFをかすめたボールは久我山のGK平田周(3年・FC東京U-15むさし)がキャッチしましたが、ようやく流れの中からチャンスを創り出します。
26分は久我山にセットプレーのチャンス。エリア左寄り、ゴールまで約20mの位置で獲得したFKのスポットには、都内屈指のプレースキッカーと言っていい三富。「もうちょっと落としたかったんですけど、結構コース的にはイメージどおりでした」という壁を越えたボールは、クロスバーを激しく叩いてピッチへ跳ね返りますが、その高精度キックに歓声とため息の入り混じる西が丘。
ただ、「前半の途中から耐える時間が多くなった」と話した三富のFK前後から、国士舘にもパスを繋ぐリズムが。センターバックの早坂海斗(3年・ジョカーレFC)と和田で落ち着いて動かしつつ、栗原力(3年・上海Ferie FC)と齋藤敦(3年・S.T.FC)で組んだドイスボランチも積極的にボールを引き出し、サイドへの素早い展開を徹底。28分には豊川の左クロスを木村翔(3年・品川荏原第一中)が丁寧に落とし、栗原が枠へ収めたボレーは平田にキャッチされましたが、ようやく攻撃のテンポが上がってきます。
久我山も36分にはエリア内へ侵入し、こぼれを三富が叩くも、ここは国士舘のGK金山英樹(3年・三菱養和巣鴨JY)ががっちりキャッチ。「前半からポストに当たったりツイている部分もあった中で、あと一歩、もう1つが足りないかなという所でしたね」とは上野監督。久我山が1点のアドバンテージを握ったまま、最初の40分間は終了しました。


後半のファーストシュートは久我山。46分に竹浪良威(2年・FC東京U-15むさし)を起点にして、左サイドを鵜生川がドリブルで運び、こぼれを拾った三富は右へ。松本のシュートはクロスバーの上へ外れるも、先に久我山がチャンスを生み出しましたが、後半最初の決定機は51分の国士舘。右サイドバックの菊地駿斗(2年・三鷹F.A.)が縦に付け、栗原が粘って残すと、エリア内へ上がってきた菊地は思い切り良く右足一閃。左スミを捉えたシュートは平田がファインセーブで弾き出したものの、一気に上がった国士舘応援団のボルテージ。
久我山は52分に1人目の交替。松本に替えて、永藤楓(3年・Forza'02)をそのまま右ウイングに投入し、サイドの顔ぶれに新たな変化を加えるも、流れは「もう行くしかない」(上野監督)国士舘。53分に右から菊地がCKを蹴り込み、高い打点で合わせた齋藤のヘディングはクロスバーの上へ。56分にもビッグチャンス。中盤でボールを引っ掛けた流れから、木村が右へ流すと、瀧口太陽(3年・フィグラーレ狭山FC)は絶妙のピンポイントクロス。走り込んだ豊川がフリーで打ったボレーは、しかし枠を捉え切れずゴール左へ。同点弾とは行きません。
59分に久我山も右サイドで粘った井上翔太(2年・ジェファFC)が、鵜生川との連係からボレーを放つも枠の上へ。国士舘も60分に1人目の交替を決断。唐澤を下げて、戸津直哉(3年・東京ベイFC U-15)を送り込む左サイドハーフ同士の入れ替えを。62分も国士舘。左サイドバックの長谷川翔(2年・FCトレーロス)が斜めに打ち込み、走った栗原のミドルは枠を越えるも好トライ。63分は久我山に2人目の交替。鵜生川と宮本稜大(2年・東急SレイエスFC)をスイッチして、最前線の強度アップに着手。65分も国士舘。和田が左へ送り、長谷川のクロスはゴール方向を襲い、わずかに枠の右へ逸れましたが、あわやというシーンにどよめく客席。「相手がどんどん前から来て、自分たちがボールを保持する時間が前半に比べて凄く短くなった」と話したのは久我山不動のセンターバック上加世田達也(3年・Forza'02)。勢いは間違いなく「後半はしっかり自分たちのゲームになるんじゃないかなと思っていた」と指揮官も語った国士舘に。
67分は国士舘。和田が右へ展開したボールを、カットインから菊地は左足でクロス。飛び込んだ戸津の前で久我山の1年生センターバック保野友裕(1年・東京武蔵野シティU-15)がクリアしたものの、惜しいシーンを。68分に上野監督は2枚替え。木村と豊川に替えて、184センチの池亀智紀(3年・足立第十四中)と柳陽哉(2年・GA FC)を投入。2トップをそっくり入れ替えて勝負に出ます。
69分も国士舘。菊地の左CKに池亀が合わせるも、ここはオフェンスファウルの判定。72分は久我山。永藤が右へ付け、宮本が右ポストにぶつけるシュートを放つも、その前に副審の旗が上がりオフサイド。直後の72分は国士舘に4人目の交替。瀧口を下げて、福田竜之介(2年・FCトッカーノ)を投入し、これで4枚のアタッカーはいずれも途中出場の選手に。76分も国士舘。戸津を起点に池亀が右へスルーパスを通すも、少し長くなってしまい、走った福田は追い付けず。1-0のままで、いよいよゲームは最終盤へ。
後半はシュート数でも上回られた久我山でしたが、「単純に80分間自分たちの時間帯でサッカーをやれるなんてありえないと思っていて、そういう意味では耐える時は耐えなきゃいけない」という清水監督の言葉を理解し、実行できる粘り強さも今年のチームの特徴。「いつもあまり声を出さない福井とか高橋とかも『拾っていくぞ』みたいな声を出していて、厳しい時間も『乗り越えよう、乗り越えよう』ってみんなが言っていましたし、良い雰囲気だと思いますね」とはディフェンスリーダーの上加世田。1年生アンカーの福井寿俊(1年・東急SレイエスFC)も懸命に保つバランス。79分には三富が得意の直接FKを枠内に打ち込み、金山が懸命に触ったボールはクロスバーに当たって、追加点は取り切れなかったものの、ゴールへの脅威を突き付けながら、きっちりと確実に時計の針を進めていきます。
80分は国士舘のラストカード。中盤で奮闘し続けた栗原に替えて、三代航大(3年・鹿島アントラーズノルテJY)をピッチへ。80+1分は久我山も3人目の交替。内田と澤田雄大(3年・FC多摩)をスイッチして、明確に取り掛かったゲームクローズ。80+1分は久我山。三富の左CKは金山が何とかパンチング。80+3分も久我山。高橋は右のハイサイドへ蹴り込み、走った宮本のシュートは金山にキャッチされたものの、アディショナルタイムをしたたかに使う久我山の前に、国士舘はなかなかアタックの形を創り切れず。80+4分に傷んだ宮本と加納直樹(1年・ジェファFC)をすぐさま入れ替え、80+5分には三富が直接FKを枠内へ打ち込み、金山にキャッチを強いるなど、最後は試合巧者ぶりを発揮した久我山に軍配。実践学園の待つファイナルへと駒を進める結果となりました。


「今年のチームは勝ち上がるために一生懸命頑張っていて、自分たちの良さありきだけではないので、勝ち上がろうという意味では本当に粘り強くやってくれていると思います」と清水監督も話した久我山は、これで2年ぶりの全国出場にあと1勝まで迫りました。昨年度の選手権予選について「もっと3年生と一緒にやりたかったし、初戦で終わっちゃったというのは本当に悔しかった」と話す三富も、「今は3年生全員からとにかく『全国へ行こう』という雰囲気が練習から出ていると思うので、選手権になって結構自分も声を出すようにしていて、あまり得意じゃないんですけど、チームが苦しい時に鼓舞できるようにというのは意識しています」と自身の変化を口に。それもこれもすべては全国のため。今の久我山には執念にも近い勝利へのこだわりを感じます。最後の相手は今シーズンの公式戦で3戦3敗の実践学園。「最後にゲームを決めるのは、一生懸命ボールを拾ったり、プレスバックしたり、球際を負けないようにとか、そういう所を実践の彼らよりできるのかという所だと思っているので、そういう部分を出しながら、久我山らしさも出せる瞬間を創りたいと思う」と清水監督が話せば、「勝負強い久我山になれるように、この歴史を創ってくださった先輩方に失礼のないように、自分たちのサッカーをして勝ちたいです」と意気込むのは高橋。上加世田の「今シーズン実践には1回も勝っていないですからね。もう最後ぐらいは勝たないと、このままじゃ終われないです」という想いをピッチで表現する舞台は1週間後。駒沢陸上競技場です。        土屋

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