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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年11月12日

高校選手権東京A決勝 関東第一×成立学園@駒沢陸上(2017)

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1111komazawa1.JPG東京の頂点を決める一戦は去年と全く同じカードに同じ舞台。関東第一と成立学園の全国切符を巡るファイナルは、駒沢陸上競技場です。
昨年度のインターハイ予選から数えると、東京のトーナメントコンペティションは、ここまで18連勝かつ4大会連続優勝。都内では圧倒的な勝負強さを誇っている関東第一。迎えた今大会も東京実業に2-1、都立東大和南に2-0と粘り強く勝ち上がると、先週のセミファイナルでは東京朝鮮に終盤で2点を追い付かれる苦しい展開ながら、延長までもつれ込む激闘を村井柊斗(3年・FC多摩)の決勝ゴールで4-3とモノにして、今年もファイナルへ。「準決勝の勝ちはウチにとって相当大きいと思うんですよ。本当に苦しんだので」と小野貴裕監督も認めたように、さらなる経験値を得た上で堂々と連覇を狙います。
あと1勝を挙げれば全国という一戦で関東第一に敗れ、悔し涙を流したのはちょうど1年前。毎年のように好チームを創り上げながらも、冬の東京制覇という頂にはなかなか辿り着いていない成立学園。リベンジを期してスタートした今シーズンも、関東大会予選とインターハイ予選は早期敗退を強いられながらも、今大会は1回戦の堀越戦、2回戦の早大学院戦と共に逆転勝利を収めると、準々決勝と準決勝はそれぞれ前半でリードを奪い、そのまま逃げ切るパターンで約束のファイナルへ。「もうやるしかないですよね」と言い切ったのは宮内聡監督。まさに"やるしかない"80分間に向かいます。頂上決戦を目撃すべく、会場の駒沢陸上には4,365人の大観衆が。待ったなしのラストバトルは関東第一のキックオフで幕が上がりました。


ファーストチャンスは6分の成立。佐久間駿希(3年・田口F.A.)のパスから窪田稜(2年・S-P FUTE U-15)が抜け出し掛けると、関東第一の右サイドバックを任された田中大生(1年・横浜FC JY)が懸命にカバー。こぼれを高木健匠(2年・横浜F・マリノスJY)が叩いたシュートは枠の右に外れるも、まずは佐久間と窪田のホットラインが発動。9分にも前を向いた八木橋俊介(2年・青森山田中)の思い切ったミドルは、DFをかすめて枠の上へ。その右CKをキャプテンの鈴木皓(3年・柏レイソルU-15)が蹴り込み、照山颯人(2年・柏レイソルU-15)が枠へ飛ばしたヘディングは関東第一のGK北村海チディ(2年・GRANDE FC)がファインセーブで凌ぎましたが、まずは「去年は向こうのスタンドで応援していた子たちがほとんど」(宮内監督)の成立が攻勢に打って出ます。
さて、「成立さんがボールを動かすのはわかっていた」(小野監督)関東第一は少し耐える展開に。11分には右サイドから篠原友哉(3年・府ロクJY)がグラウンダーでクロスを送るも、走り込んだ貝瀬敦(1年・田口F.A.)は収め切れずにボールは成立のGK横井健太(3年・FCトリプレッタJY)がキャッチ。16分は成立。左サイドバックを務める中村海斗(3年・東松山ペレーニア)のドリブルでCKを得ると、鈴木のキックを大野裕輝人(3年・成立ゼブラFC)が頭で残すも、シュートには至らず。18分にも村上渉(3年・クリアージュFC)のフィードから得た左CKを八木橋が蹴り入れ、ここも大野が競り勝ったボールは北村がキャッチしたものの、ポゼッションは鈴木と菅原克海(3年・中野北中野中)のドイスボランチも受けて捌いてを繰り返すゼブラ軍団。変わらないゲームリズム。
20分前後に関東第一は配置転換。前線にいた村井が左に回り、左の重田快(3年・バンデリージャ横浜)が右へ、右の貝瀬が前線へそれぞれスライド。前線でのポイント創出とサイドの推進力向上に着手すると、少しずつ取り戻したリズム。23分には佐藤誠也(1年・VIVAIO船橋)と貝瀬の1年生コンビでCKを獲得し、こちらも1年生の田中が蹴ったボールは横井にキャッチされたものの、27分にも篠原が左へ振り分け、縦に運んだ村井のクロスは際どい軌道で枠の右へ。33分にも重田の突破がFKを呼び込み、右から田中が入れたキックをファーで村井が折り返すも、高木が懸命にクリアしましたが、ようやく手数が増えていきます。
36分も関東第一。村井が粘って奪ったFKは左寄り、ゴールまで約30mの位置。篠原が無回転で狙ったキックはクロスバーの上へ。37分は成立。鈴木、高木とボールが回り、佐久間が放った左足ミドルはDFに当たって枠の上へ。その右CKを鈴木が放り込み、照山と篠原が競った流れはゴールキックに。38分は関東第一。北村のゴールキックを村井が収め、強引に打ったミドルは枠の上へ。「リズムが行ったり来たり、向こうだったりこっちだったりという所」とは宮内監督。前半はスコアレスで40分間が終了しました。


後半のファーストチャンスも成立。43分に大野が付けたパスから、鈴木が狙ったミドルはヒットせずに北村がキャッチ。46分にもカウンターから佐久間が左へ流し、1人外した窪田のシュートは北村ががっちりキャッチ。52分に鈴木が蹴った右FKが中と合わずにゴールラインを割ると、直後に宮内監督は1人目の交替を。八木橋に替えて、田村裕(3年・成立ゼブラFC)をそのまま左サイドハーフへ投入。サイドにアクセントを創りたい采配を振るいます。
55分は関東第一に決定機。ドリブルで中央を運んだ佐藤が左へ流し、村井は中を窺いながらカットインしてシュートを放つも、ここはDFとGKが決死のブロックで得点阻止。56分は成立。鈴木の右CKから、ルーズボールを拾った大野はオフサイドの判定。59分は関東第一。村井のドリブルから掴んだ左CKを佐藤が蹴り込むも、シュートには至らず。お互いにセットプレーで窺う相手ゴール前。後半も半分が経過。依然としてスコアは動かず。
成立は61分に2人目の交替。「ヒロは私と一緒にずっと自分たちのサッカーを創り上げるためにやってきたキャプテンなので、最後まで戦ってもらいたかったんですけど、ちょっと足が攣り始めて、少し判断も遅くなったりとかしていたので」(宮内監督)鈴木を下げて、武井颯太(3年・成立ゼブラFC)をそのままボランチの位置へ送り込み、キャプテンマークは村上の腕へ。62分は関東第一の左CK。佐藤が入れたボールに、センターバックの山脇樺織(2年・東急SレイエスFC)が突っ込むも、ヘディングはヒットせずに枠の右へ。一進一退。
64分は成立。窪田が粘り強いキープで残し、佐久間が枠へ収めたミドルは北村が丁寧にキャッチ。66分も成立。中村のオーバーラップでCKを奪い、左から武井が入れたボールはシュートまで持ち込めず。67分も成立。「左右に蹴り分けられたと思うんですけど、少しああいう展開ができる選手」と指揮官も評した武井の思い切ったミドルは枠の右へ。70分には成立に3人目の交替。高木と田中将太(3年・バリエンテオンセFC)を入れ替え、最後の勝負に打って出ます。
73分の主役は「スタメンに起用してもらって、そこはまた自分がチャレンジャーとしてやるしかなかったので、ガムシャラにやろうと思っていました」というナンバー11。小関陽星(2年・町田JFC)が左サイドで粘り、中央でこちらも執念のキープを見せた村井は右へラストパス。「ゴール前で待っていれば絶対チャンスが来ると思っていたので、焦れずに待っていた」重田のシュートは、左スミのゴールネットへ突き刺さります。「凄い気持ち良くて、『とりあえず応援してくれている仲間の所に行こう』と思って、応援席に駆け寄った感じです」という重田の先制弾に、「重田は今日は足は動いていたので、最初からあるかなと思っていました」とは小野監督。1-0。とうとうスコアが動きました。
「あの辺の所で一発あるぞというのはもう十分わかっていたんですけどね」と宮内監督も話した成立は、この終盤で追い掛ける展開に。ただ、77分は関東第一。カウンターから貝瀬がドリブルで運び、左で受けた村井は2人外して右へラストパス。篠原のシュートは枠を越えるも、きっちりフィニッシュまで。78分に小野監督は1人目の交替として、村井と宮林庸太(2年・FCトリプレッタJY)を入れ替え、その宮林を中盤アンカーに置く4-3-3で「勝っていて逃げるためのシステム」へ。78分には決定機も。篠原が右から左へ振り分け、貝瀬が粘って残し、小関のシュートは横井のファインセーブに阻まれましたが、追加点を狙いつつも確実に進める時計の針。「今日は北村の前の所を小野がしっかり抑えてくれた」と指揮官も名指しで評価したキャプテンのセンターバック小野凌弥(3年・Wings U-15)を中心に、途切れない関東第一ディフェンスの集中力。アディショナルタイムは3分。残された180秒の最終盤。
80+2分は成立。右から大野が投げたロングスローはエリア内にこぼれるも、重田が大きくクリア。80+4分はラストチャンス。大野と佐久間の連係で崩し、関東第一の左サイドバック嶋林昂生(3年・町田JFC)が必死にクリアして生まれたCK。右から武井が蹴ったボールは中央と合わず、ゴールラインを割ってしまうと、程なくして駒沢のピッチに鳴り響いたファイナルホイッスル。「点を取った後の時間がメッチャ長くて、電光掲示板をずっと見ていたんですけど、時間が消えたと思ってから『ずっと続くな』と思っていて、『長いなあ』と思ったらやっと終わりましたね」とは篠原。「今日送り出す時も『今、間違いなく運が付いているのはウチなので、今は勝てる時期だから、弱気になる必要は全然ないから、やりなさい』ということを言ったんです」と小野監督も明かした関東第一が連覇を達成。全国切符を勝ち獲る結果となりました。


「ケガ人が出たり、調子の良い悪いが出ても、『ちゃんと試合をやれるチームを創りたいな』とインターハイが終わってから臨んできたので、メンバーが毎試合入れ替わったんですけど、その中でも勝ちを拾ってこれたのは、チーム力が少し上がってくれたんじゃないかなと思っています」と小野監督も話したように、毎試合毎試合起用された選手たちがきっちり役割を理解し、チームの最大値を出すことに貢献してきた今大会の関東第一。初戦の東京実業戦と決勝ではスタメンだけでも6人が入れ替わっていますが、大会期間中に存在感を増してきたのは3年生たち。「今まで1,2年が多かったチームなので、今日も別に感情的に3年が最後だからというつもりでは全然出してなくて、むしろ最後は1,2年がやるだろうなと。それまでの間で3年の良い所が出せればなと思っていたくらいなんですけど、今日は3年の力が凄く大きくて、結果的に点を取ったのも3年だったし、本当によくやってくれたと思います」と指揮官も認める彼ら最上級生のパフォーマンスが優勝の大きな原動力になったのは疑いようがありません。「全国に出てくるチームは凄いチームばかりで、そう簡単には勝てないので、まだ1ヶ月ちょっとある中で、もう一段階成長できるように練習していきたいと思います」とは篠原。さらなる高みを目指す関東第一の歩みは、まだまだ止まる気配がありません。      土屋

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