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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年08月19日

T1リーグ2017第12節 FC東京U-18(B)×関東第一@小平G

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約1ヶ月ぶりに我々の元へ帰ってきたのはT1リーグ。クラ選で日本一に輝いたFC東京U-18と、インターハイで全国8強を経験した関東第一の対峙は小平グラウンドです。
真夏の群馬と西が丘を無敗で駆け抜け、2年連続で夏のクラブユース王者に輝いたのは約2週間前。今シーズンも全国屈指の実力を有していることを証明してみせたFC東京U-18。この日も年代別代表とJ3の公式戦に臨むU-23に主力選手が吸い上げられる中で、Bチームは明確にプリンス昇格を目標に置いているT1リーグの公式戦が。「平川選手や久保選手はどんどんトップチームに上がっているんですけど、2年生でプレミアに絡む選手が少ないので、どんどんプレミアに関わっていけるようにしたいですね」とは鈴木智也(2年・FC東京U-15むさし)。当然勝利を目指す中で、個人としてもさらなるステップアップを期すための90分間へ向かいます。
3年連続で東京を制し、宮城の地へ乗り込んだインターハイでは山形中央、神村学園、広島観音を相次いで退け、ベスト8進出。こちらも3年連続での対戦となった市立船橋戦は「2失点がいらなくて、決める所も決めていれば絶対に勝てたと思います」とセンターバックの関口聖人(2年・フレンドリー)が話したように、押し気味にゲームを進めながらも1-2で敗れ、またも同じチームに敗退を突き付けられた関東第一。小野貴裕監督も「今は頑張らないとという時期」と表現した今は、インターハイから強度を落とさずに来ているため、コンディション的には厳しい時期ですが、こちらも勝ち点3を狙って難敵相手の一戦へ挑みます。小平には久々に夏らしい青空も。楽しみなゲームは関東第一のキックオフでスタートしました。


静かな立ち上がりを経て、先にチャンスを創ったのは関東第一。10分に小関陽星(2年・町田JFC)が重田快(3年・バンデリージャ横浜)とのワンツーでエリア内へ切れ込み、そのままフィニッシュ。ここはFC東京のセンターバック高橋亮(2年・FC東京U-15深川)にブロックされましたが、積極的なトライを。20分に佐藤誠也(1年・VIVAIO船橋)が左から蹴ったFKは中谷太地(2年・FC東京U-15むさし)に跳ね返されたものの、まずは関東第一が攻勢に打って出ます。
22分も関東第一。左サイドバックの嶋林昂生(3年・町田JFC)を起点に村井柊斗(3年・FC多摩)が中へ流し、上がってきた右サイドバックの山脇樺織(2年・東急SレイエスFC)が打ち切ったミドルは、DFに当たって枠の右へ。直後の右CKを小関が蹴り込むと、ファーに突っ込んだ関口のスライディングシュートはゴール右へ。続く関東第一のラッシュ。
すると、先制点は勢いそのままに関東第一。26分に小関のパスを受けた重田は丁寧なスルーパス。抜け出した村井がGKと接触してエリア内で転倒すると、主審はペナルティスポットを指し示します。PKのキッカーはキャプテンの小野凌弥(3年・Wings U-15)。左スミを丁寧に狙ったキックは、GKもわずかに及ばずゴールネットへグサリ。「今は間違いなくデイフェンスリーダーというのが随所に見れるようになってきましたね」と指揮官も認めるセンターバックが貴重な先制弾。関東第一が1点をリードしました。
さて、「前半は失点するまでの所はどうしても前で受けたがる選手が多くて、みんなボールに寄ってきちゃって、同サイドで何とかしようとして、食われてそのまま行かれていたと思います」と右田聡コーチが話した通り、全体のバランスも悪く、攻撃の手数を繰り出せない東京。30分にも村井にミドルを打たれるなど、苦しい時間が続く中でワンチャンスを生かしたのは32分。左サイドで獲得したこの日1本目のCK。キッカーの金誠敏(1年・西東京朝鮮第一中)が丁寧にボールを蹴り込むと、今村涼一(2年・FC東京U-15むさし)が頭で合わせたボールは、右スミのゴールネットへ吸い込まれます。「今村がああやって決めることはなかなかないですし、ソンミンのボールもいつも定まらないんですけど、あの1本だけはたまたまでしたね(笑)」と右田コーチも笑った同点弾。スコアは振り出しに引き戻されました。
「2点目を取れればもっと試合を優位に運べたかなと思います」と関口も話した通り、そこまでの流れを考えてもややもったいない失点を喫した関東第一は、34分に佐藤の左FKから、こぼれを拾った村井の放ったミドルは東京のGK高橋優仁(1年・FC東京U-15深川)がしっかりキャッチ。40分は東京。「サイドからのドリブルとか、もっと出していけたらと思います」と話す鈴木が左サイドを運び、折り返しを今村が狙うも小野が体でブロック。41分も東京。金の左CKがこぼれ、収めたバングーナガンデ佳史扶(1年・FC東京U-15深川)のミドルはクロスバーの上へ。「失点した後で4,5分はしんどい時間が続いたんですけど、そういう時間を自分たちでちゃんとコントロールして、自分たちの時間をちゃんと創ることができたのは前節から比べると成長できた所かな」と右田コーチ。1-1で最初の45分間は終了しました。


ハーフタイムに関東第一は交替を決断。佐藤に替えて、長野真大(2年・VIVAIO船橋)をそのまま左サイドハーフへ送り込み、サイドの推進力向上に着手したものの、後半のファーストチャンスは東京。48分に寺山翼(2年・FC東京U-15むさし)がクロスバーの上へミドルを外すと、55分にも金、寺山と回ったボールを鈴木は枠の左へ外れるミドルまで。「後半はみんなどんどんゴールを狙っていこうとハーフタイムに話していた」とは鈴木。立ち上がりのペースは青赤。
歓喜の逆転弾は58分。右サイドバックの天野悠貴(2年・FC東京Ù-15むさし)のフィードは相手に渡るも、「相手が低い位置で前を向いたので」寄せてボールを取り切った鈴木は左足一閃。「ニア上が空いていたので、そこに強くシュートを打とうと思って、きれいに打てた」という一撃は豪快にゴールネットへ突き刺さります。「自分は今までサイドバックをやっていて、今日はTリーグで初めて左サイドハーフをやったんですけど、今日は誕生日なので絶対点を取ろうって思ってました」と笑った鈴木のゴラッソ。東京が逆転に成功しました。
東京はゴール直後に1人目の交替を。中谷を下げて、芳賀日陽(2年・FC東京U-15深川)を右サイドハーフへ投入し、金がボランチヘスライド。一方、「相手が後半良くなっちゃうのは仕方なかったので、いつカードを切ろうかと思っていた」小野監督は63分に2人目の交替を。長谷部竣(3年・JSC CHIBA)と貝瀬敦(1年・田口FA)を入れ替え、小関は右サイドハーフからボランチヘスライドし、貝瀬が右サイドハーフの位置へ。お互いに人と配置を入れ替えつつ、勝敗に直結するであろう、次のゴールを狙いに掛かります。
67分は東京に決定機。鈴木からボールを引き出した今村が、1人かわして左足で放ったシュートは右のゴールポストにハードヒット。直後の68分には東京に2人目の交替。「背後に飛び出していくようになって、そこからちょっと押し込んで、そうすると中盤も空いてくるので、やっとボールを動かせるようになってきたと思う」と右田コーチもその働きを評価した小林里駆(1年・FC東京U-15むさし)と久保征一郎(1年・太陽SC U-15)をスイッチして、前線にさらなるパワーを。73分にはFKのチャンス。ゴールまで約30mの位置から金が左スミギリギリへ収めたキックは、北村海チデイ(2年・GRANDE FC)が丁寧にキャッチ。「後半はずっとウチのペースでやれていた」と話す右田コーチも「ここに来てようやく自分を出せるようになってきた、上に強くて、対人も強くてという子」と評したセンターバックの湯本創也(1年・FC多摩)を中心に、守備陣の安定感も後ろ盾にしながら押し込む東京。耐える関東第一。
「エアポケット」(右田コーチ)を見逃さなかった東京王者。76分に小関からボールを受けた長野は、前を向くとすかさずスルーパス。走った重田はマーカーの前に体を入れてボールを収め、GKとの1対1も冷静に左スミのゴールネットへボールを送り届けます。全国での3ゴールを経て、プレーに自信がみなぎってるように見える重田の同点ゴールに「よく1点取ったなと思います」とは小野監督。再びスコアは振り出しに引き戻されました。
ここからは双方にチャンスが。78分は東京。左から金が蹴り入れたCKに、寺山が頭で合わせたシュートは枠の上へ。79分は関東第一。スタメン起用されたルーキーの田中大生(1年・横浜FC JY)が縦に付け、左サイドで1人かわしながらカットインから狙った村井のミドルは高橋がキャッチ。81分の東京は3人目の交替として、金と武井翔暉(1年・FC東京U-15深川)をスイッチ。「お互いに勝ち点を欲しかったゲーム」(小野監督)はいよいよ最終盤へ。
84分は関東第一。小関のドリブルで獲得したFK。中央やや右寄り、ゴールまで25m強の位置から村井が直接狙ったキックは、カベに当たってクロスバーの上へ。そのCKを左から小関が蹴るも、DFがきっちりクリア。86分は東京。寺山が左へ振り分け、バングーナのクロスに芳賀が飛び込むもわずかに届かず。87分も東京。右から今村が蹴り込んだCKに、寺山が当て切ったヘディングはゴール左へ。直後に東京は今村と谷地田陸人(1年・FC東京U-15深川)を入れ替える4人目の交替を敢行するも、以降の両チームにシュートは生まれず。「ちょっと悔しいゲームで終わってしまいました」(鈴木)「今日は勝てたゲームだと思いました」(関口)と2人が言及したように、久々に夏らしいコンディションの中で行われた90分間は痛み分け。両者に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「この前の実践の時は早い段階で1点取られてしまった後に、そこからバタついて2点、3点と連続で失点してゲームが決まっちゃうような内容だったので、もう1点取り切れなかったのは残念な所なんですけど、ゲーム全体をコントロールしていくという意味では前節から成長したのかなと思います」と右田コーチが話した東京。前述したようにJ3やプレミアというステージがその先にある中で、右田コーチは「ここにいるヤツらが、Tリーグで活躍することはもちろんなんですけど、もう来週のプレミアの清水戦にも何人か絡んでいくと思いますし、そこで当たり前のようにプレーして、Tリーグの方は1年生とか中学生を引き上げてでもやれるようになっていかないと、J3が始まってどんどん吸い上げられている成長に、Tのグループが一番追い付いていかないといけない所で、本当にそういう所まで発展していかないといけないのかなと思います」ときっぱり。バースデーゴールを決めた鈴木も「次は僕たち2年生がクラ選3連覇を目指してやるためにも、ここからどんどん追い上げていきたいと思います」と高い意識を口に。残りは6試合。自らの未来を切り開く意味でも、残された540分間は今まで以上に大切な時間になってきそうです。
インターハイ、金沢とトップギアで走り続け、迎えたこの一戦は「勝てれば自信も付くし、レベルも上がるしという感じ」(小野監督)という位置付けの中で、勝ち点1という成果を手に入れた関東第一。「グッとやる所の強さの本質を知っている子たちというか、そこの本質をリーグの中で一番持っているチーム」と指揮官が評した相手に、押し込む時間も創った90分間は決して悪い出来ではなかったのかなと。また、センターバックの関口は「東京予選ではできていたことがインターハイではできなかったですし、特に市船の福元(友哉)選手は衝撃で、スピードも東京にはない速さで、競り合いも本当に強くて、自分とコンタクトした時のボディバランスが凄く良くて、全然崩れないし、むしろこっちが崩れるくらいで、すべてレベルが違ったので凄く刺激をもらいましたし、またイチからしっかり見つめ直すことができる良い経験でした」と話すなど、インターハイで感じた全国レベルは確実にチームの目線を上げている様子。再び競争のサイクルに入っている関東第一の今後も注視していく必要があるのは間違いありません。      土屋

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