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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
昨シーズンの選手権予選ファイナリスト同士が月曜ナイターで激突。帝京と関東第一の対峙はおなじみの駒沢補助競技場です。
関東大会予選、インターハイ予選と共に準々決勝まで勝ち上がりながら、前者は東京朝鮮に、後者は國學院久我山に惜敗する格好で、ベスト4には一歩及ばなかった帝京。それでも今シーズンのチームが都内有数の実力を有していることは、ここまでの戦いで証明済み。4試合勝ちなしと苦しいスタートを強いられたT1リーグも、ここ5試合は3勝1分け1敗と好調をキープ。後半戦の初戦となるこの90分間でインターハイ王者を叩き、さらなる上昇気流に乗りたい所です。
昨年度はインターハイ予選も選手権予選も東京を制して全国を経験。迎えた今シーズンも関東大会予選を粘り強く勝ち上がって優勝を手にすると、インターハイ予選でも東海大高輪台、國學院久我山、実践学園と今年の東京の主役候補たちを撃破し、4大会連続となる都内制覇を達成しつつ、3年連続となる全国切符を獲得した関東第一。「関東大会の本選ではあまりやれなくて、そこで1回下がったんですけど、インハイ予選ではしっかり守って、前もアグレッシブに行けて勝てたので、みんなそれぞれ自信はだいぶ持ってきていると思う」とは村井柊斗(3年・FC多摩)。夏の宮城を前にメンバーの底上げと勝利の"二兎"を手にしたい90分間へ向かいます。18時の駒沢にはまだ少し強い陽射しが。楽しみな月曜ナイターは帝京のキックオフでスタートしました。
ファーストシュートは2分の関東第一。右サイドを運んだ重田快(3年・バンデリージャ横浜)が中へ付け、巧みな反転から池田健太(2年・VIVAIO船橋)が放ったシュートは枠を越えましたが、インターハイ予選で驚異の3戦連発を達成したストライカーがフィニッシュを取り切ると、8分には左寄り、ゴールまで約25mの位置から村井が直接FKをクロスバーの上へ外したものの、まずは2トップが1本ずつシュートを打ち切ります。
9分も関東第一。ここも村井が左サイドで粘り強く放ったシュートは、DFをかすめて枠の左へ。この左CKを篠崎源太(2年・大宮アルディージャJY)が蹴り込むも、帝京のセンターバックを務める岡本良太(3年・FC明浜)が大きくクリア。13分も関東第一。篠崎を起点に村井が繋いだボールを佐藤誠也(1年・VIVAIO船橋)は右へ振り分け、重田のクロスは池田とわずかに合わなかったものの、「今日は結構感覚が戻ってきた感じで、練習でも自分の間合いがわかってきた感じだった」と話したケガ明けの重田がもたらす右の推進力。
一方、最前線に陣取る長身フォワードの赤井裕貴(2年・FC東京U-15むさし)は懸命に体を張るものの、なかなか前でのポイントを創り切れず、チャンスを生み出せない帝京。18分には10番を背負う佐々木大貴(2年・FC東京U-15むさし)が左へ展開すると、上がってきたサイドバックの中井翔一(1年・三菱養和巣鴨JY)はクロスまで。ファーに飛び込んだ菅原光義(3年・S.T.FC)はわずかに届きませんでしたが、ようやく惜しいシーンを披露します。
それでも、少し停滞した時間を経て、先にスコアを動かしたのは関東第一。30分に左サイドからカットインした村井は「源太が走るなというのはわかっていたし、何となく縦が空いている気がしたので、中を見ながら縦に」絶妙のスルーパス。ここにフリーで飛び出した篠崎の折り返しから、「1回ちょっと自分の前のスペースを空けて、タイミングよく入った」重田のシュートは右のポストに当たりましたが、こぼれをすぐさま重田自ら押し込みます。「最初ポストに当たっちゃってヤバいと思ったんですけど、すぐ反応できたのでプッシュできました」と笑った重田は、T1開幕戦の帝京戦以来となる公式戦のゴール。「久々のゴールでホッとしました」という18番の一撃で、関東第一が1点のリードを奪いました。
以降は「結構押せ押せでしたね」と左サイドバックの嶋林昂生(3年・町田JFC)が話した通り、関東第一の猛ラッシュ。33分には得意のドリブルで左へ流れた小関陽星(2年・町田JFC)のミドルはDFに当たってゴール左へ。直後の左CKを篠崎が蹴り入れ、ファーに走り込んだ関口聖人(2年・フレンドリー)のヘディングは枠の右へ。36分にもキャプテンの小野凌弥(3年・WINGS U-15)が右へフィードを送り、仕掛けた重田のクロスに池田が合わせたシュートは、帝京のGK白井貴之(3年・柏レイソルA.A.長生)がビッグセーブで懸命に回避。「球際の部分とかピッチを広く使うとか、練習でやっていたことが今日出たのでスムーズに運べていた」と重田。一気に傾いたゲームリズム。
40分も関東第一。小野のFKに池田が競り勝つと、反転しながらハーフボレー気味に村井が狙ったミドルは、枠を越えたものの好トライ。45+1分も関東第一。山脇樺織(2年・東急SレイエスFC)の攻撃参加で得た右CKを篠崎が蹴ると、ピンポイントでファーの小野へ。キャプテンがフリーで打ったダイレクトボレーは枠の左に逸れ、思わず関東第一ベンチも頭を抱えますが、最初の45分間は東京王者が攻勢そのままにリードを携える格好でハーフタイムに入りました。
後半は日比威監督から喝を入れられ、ピッチに帰ってきた帝京が先にチャンスを。46分にややラフなロングボールを赤井がうまく収めて左へ。抜け出した佐々木はオフサイドを取られたものの、あわや決定機というシーンを創出。49分に篠崎が右CKを短く蹴り出し、小関のクロスから関口が打ったシュートも帝京ディフェンスがきっちり凌ぐと、50分にも中村怜央(2年・FC東京U-15深川)が左へ流し、中井のクロスからこぼれを叩いた菅原のミドルはDFにブロックされましたが、ようやく帝京に出てきた前へのパワー。
すると、次に記録された得点は同点弾。52分に相手のクリアを中村怜央が頭で弾き返すと、ボールはセンターバックの間に潜った中田廉太郎(3年・横浜F・マリノスJY)の足元へ。一瞬で抜け出した中田がスライディングしながら右スミを狙ったシュートは、ゴールネットへゆっくりと吸い込まれます。このゲーム最初の決定機できっちり結果を。帝京がスコアを振り出しに引き戻しました。
「4バックの所であまり安定感がなかったので、一発でやられたら流れを持っていかれた」と嶋林も話したように、同点の前後から明らかに速まった帝京のボールアプローチ。アンカーの渡辺楓(3年・横河武蔵野FC JY)がセカンドを回収しつつ、センターバックの岡本と深田憧(2年・横河武蔵野FC JY)も相手の縦パスにタイトへ寄せ切るシーンが増加。62分には関東第一も村井とのワンツーから、小関がシュートまで持ち込むもエリア内で3人近いDFが確実にブロックするなど、カナリア軍団は守備の集中力も十分。
63分に関東第一は1人目の交替を決断。篠崎に替えて古宇田旭(2年・横浜F・マリノスJY追浜)を右サイドハーフへ送り込み、重田は左サイドハーフへスライド。72分は関東第一。重田のパスを池田が粘って落とし、村井が放ったミドルはゴール右へ。74分は帝京。右サイドバックの中村祐隆(3年・西東京保谷中)がクロスを上げ切り、こぼれを拾った赤井のシュートはDFに当たって枠の左へ。75分は関東第一。高速カウンターから抜け出した重田が左から中へ流し込み、池田のシュートはゴールネットを揺らすもオフサイドの判定。76分は帝京。佐々木が左へ送ったスルーパスへ中田が懸命に走るも、ここはトップチームのデビュー戦となった関東第一のGK出口貴也(1年・葛飾青葉中)が果敢に飛び出してキャッチ。やり合う両者。混沌としてきた勝敗の行方。
84分の主役は「自分がフィニッシャーになるというのは言われていて、最後決める所に自分が立っているというのは結構意識しています」と話すナンバー9。「サイドハーフがもっとのびのびできたら攻撃も守備もやりやすいと思うので、気持ちよくやらせるようにしています」という嶋林からパスを受けた重田は、「あの形になると自分が時間を創れば相手が食い付くってわかるので、あそこは見ないでも出せるくらいのイメージがあった」と左から中央へラストパス。「快があそこまで行くというのは普段の練習からわかっていたし、あそこで止まっていたらボールが出てくるというのもここ最近の試合で何度もあった」と振り返った村井は、「キーパーが届かないくらいの所にひねって打つか、相手の股を狙うかという二択」から前者を選択。左スミへ向かったボールは鮮やかにゴールネットを揺らします。「なかなか自分の決勝点というのはなかったので、決めて凄く気持ち良くて、みんな来てくれて嬉しかったですね」と笑った村井の勝ち越し弾。関東第一が再び1点のリードを手にしました。
何とか追い付きたい帝京は87分に1人目の交替として、中村怜央と照田拓史(1年・三菱養和調布JY)を入れ替えて最後の勝負に出ましたが、フィニッシュまではなかなか持ち込めず。逆にボランチヘ長谷部竣(3年・JSC CHIBA)を投入し、小関を右サイドハーフに移してゲームクローズに取り掛かる関東第一は、88分に小関が白井にキャッチを強いるミドルを放つと、90+3分に得たFKのチャンスには、1年生ながらボランチの位置で小気味よい配球を披露し続けた佐藤がスポットへ。直接狙ったキックはクロスバーを越えましたが、直後に吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。「前節も負けていたので、やっぱりこういう時こそ前線の3年のヤツが引っ張っていかないといけないなというのは感じていて、そういうのが気持ちで出せたので良かったと思います」と村井も語った関東第一が勝ち点3をもぎ取る結果となりました。
今シーズンのチームの特徴とも言えるような粘り強い戦いで勝利を引き寄せた関東第一。やはり目線は1ヶ月を切った全国へ向く中で、「チーム内でもインターハイは17人というメンバーがあるので、そこにもしっかり入っていけるように結果を出していきたいです」と重田が話したように、ここからはメンバー入りを懸けたサバイバルがトレーニングから続いていくはずです。「全国は自分にとって初めてなので楽しみですし、どのくらい自分たちが通用するのかなと思ったりしています。目標は優勝することが一番なんですけど、チームワークというものを一番に出して、その中で個人が生きるということがあると思うので、チームを1つにしてまとめていきたいなと思います」と嶋林が話せば、「1個1個目の前の試合を戦っていって、そうしたら最終的に結果になると思うので、1つ1つ勝つというのを自分は強く思っています。今年の夏はベスト4に行った代ぐらい、自分たちが動かして走ってというサッカーをやっていきたいと思うので、あと1ヶ月必死に頑張っていきたいですね」と口にしたのは重田。ほとんどの選手にとっては初体験となる全国舞台での躍進に期待したいと思います。 土屋
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