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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年07月31日

インターハイ3回戦 広島観音×関東第一@泉サッカー場

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0731izumi.JPG全国ベスト8を懸けた重要な70分間。広島王者の広島観音と東京王者の関東第一が激突するラウンド16は仙台市泉総合運動場 泉サッカー場 西フィールドです。
2006年のインターハイでは代健司(富山)を擁して全国制覇を達成。10年ぶりの出場ながら、今大会でも当然日本一を目指している広島観音。県予選では準決勝の山陽戦、決勝の瀬戸内戦を筆頭に、5試合の内の4試合を1点差で勝ち切る勝負強さで全国出場権を獲得。初戦となった昨日の真岡戦も66分に横下友則(3年・能美SCジュニア)が決勝ゴールを叩き込み、1-0で競り勝ってこのラウンド16まで。その先を見据える上でも大事な70分間へ向かいます。
インターハイは今回で3年連続の全国出場。2年前はベスト4で、昨年は初戦となった2回戦でいずれも市立船橋に敗れたものの、チームとしての経験値を積み上げてきた関東第一。東京王者として臨んだ今大会も、初戦の山形中央戦を苦しみながら重田快(3年・バンデリージャ横浜)の決勝弾でモノにすると、昨日の神村学園戦も先制を許しながら、そこから4ゴールを奪い切り、4-2の快勝で2年ぶりのラウンド16へ。間違いなく上り調子で、この一戦へ挑みます。会場の泉サッカー場は大会3日目にしてようやく快晴の空模様。注目のゲームは関東第一のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは1分経たずに関東第一。左サイドでボールを受けた村井柊斗(3年・FC多摩)が思い切ったボレーを敢行。ボールはゴール左へ外れたものの、開始早々に積極的なフィニッシュを。3分には観音もボランチの安野蓮(3年・広島ピジョンFC)が左へ振り分け、山口直也(3年・KELT東広島FC JY)のシュートはヒットせずにゴール左へ逸れましたが、お互いに1つずつチャンスを創り合って、ゲームが立ち上がります。
7分は観音。ミドルレンジで前を向いた安野の25mシュートは枠を捉えるも、関東第一のGK北村海チディ(2年・GRANDE FC)がファインセーブ。直後の左CKを山口が蹴り込むと、飛び出した北村がキャッチ。9分は関東第一。村井が右へ流し、ドリブルでエリア内へ潜った重田はマイナスに折り返すも、DFがわずかにコースを変え、待っていた篠原は触れませんでしたが、重田のスピード感は今日も好調をキープ
ただ、「最初は展開が慌ただしくなった」と関東第一のキャプテン小野凌弥(3年・Wings U-15)も話したような流れの中で、少しずつペースを引き寄せたのは観音。14分には山口、佐々木寛斗(3年・廿日市FC JY)と繋いだボールを、反転しながら横下がシュートまで持ち込むも、北村がキャッチ。19分にも左サイドバックを務める中脇大就(2年・広島ピジョンFC)の短いパスから、再び安野が叩いたミドルはわずかにクロスバーの上へ消えましたが、惜しい連続ミドルに意気上がる観音応援席。
「サイドハーフの10と7の子がいいのはわかっていたから、警戒はしていたんですけど、予想以上に6のアンカーが良くて、あれを閉めて、外が空くとそこの3つでリズムを作られていた」と小野監督も話したように、観音は右の槙本稔己(3年・KELT東広島FC JY)と左の山口、両サイドハーフで基点を創りながら、窺うテンポアップの瞬間。
26分も観音。中脇が短く付け、佐々木が枠へ収めたミドルは北村がファインセーブで回避。その左CKを山口が蹴ったボールは飛び出した北村がキャッチしましたが、29分も観音。横下の右クロスをファーで拾った佐々木が残し、安野の右へ巻いたミドルは枠の右へ。30分も観音のカウンター。前へ運んだ佐々木が安野のリターンをもらい、1人外して放ったシュートはわずかに枠の左へ。「自分たちのボールの時間が全然できなかった」とは篠原友哉(3年・府ロクJY)。続く観音の時間。
小野監督は33分に決断。「交替枠も4枚あるし、いろいろ想定をしておいたので、うまくいかないことが他に波及していっちゃうと、良い所が全部出なくなっちゃいますからね」と、左サイドハーフの篠崎源太(2年・大宮アルディージャJY)に替えて、池田健太(2年・VIVAIO船橋)を最前線へ送り込み、村井が左サイドハーフへスライド。35+1分には中央からFKを佐藤誠也(1年・VIVAIO船橋)が蹴り込み、ルーズボールに飛び付いた小野のボレーはゴール左へ。35+2分にも重田がドリブルでエリア内へ切れ込み、最後に池田が叩いたシュートは、DFが体を投げ出してブロック。最終盤は関東第一にも少しリズムが出てきましたが、「前半は無失点で終われたのが大きかったと思います」という篠原の言葉通り、最初の35分間は観音がペースを掴んだ中でハーフタイムへ入りました。


そのハーフタイムには関東第一が2人目の交替を。スタメン起用となったボランチの宮林庸太(2年・FCトリプレッタJY)と、小関陽星(2年・町田JFC)をそのままのポジションで入れ替え、打ち出したい前への推進力。37分は観音。安野が右CKをマイナス気味にグラウンダーで流し込み、合わせた槙本のシュートはDFに当たって枠を越えたように見えましたが、ゴールキックの判定。41分は関東第一。重田を起点に村井がマーカーを外すもシュートに至らず、篠原のシュートもDFがブロックして、観音のGK井西海斗(3年・広島ピジョンFC)がキャッチ。後半も頭からやり合う両者。
42分は観音の決定機。左サイドで中村豊(3年・プリロ東広島FC JY)が素早く離し、山口のクロスからファーで枠へ飛ばした佐々木のシュートは、「チディが止めてくれると思っていたので、ピンチでも大丈夫だと思っていました」(篠原)「ウチには北村という逞しいキーパーがいるので怖くないです」(小野)と2人の先輩が信頼を口にする北村が横っ飛びでビッグセーブ。44分は関東第一に決定機。右サイドで佐藤が縦に流し、走った篠原の強烈なシュートはクロスバーにヒットし、こぼれに詰めた池田も押し込めず。一進一退。譲らない双方。
46分も関東第一の決定的なチャンス。左サイドで村井が後方に戻し、嶋林昂生(3年・町田JFC)のクロスは井西がパンチングで弾き出し、トラップした篠原は左足でゴールを狙うも、ボールはクロスバーの上へ消えてしまい、思わず応援席からもため息が。47分は観音。槙本の右クロスがこぼれ、いち早く反応した中村のミドルは北村がキャッチ。50分に観音はよく走った槙本と舩田真治(2年・広島ピジョンFC)をスイッチすると、52分にも佐々木、中村と繋ぎ、山口の左クロスから最後は中村がシュートを打ち切るも、北村が正面で冷静にキャッチ。まさにフィフティ。関東第一は小野と関口聖人(2年・フレンドリー)。観音は今野と手嶋一哉(3年・広島大河FC)。センターバックコンビを中心に、両ディフェンス陣の途切れない集中力。傾かないゲームリズムの秤。
55分のセットプレーは関東第一。小関が蹴り入れた左FKに、ファーへ突っ込んだ小野のへディングはゴール右へ。57分の観音は2枚替え。中村とセンターバックで奮闘した今野優利(2年・シーガル広島JY)を下げて、岡本大河(3年・シーガル広島JY)と原田涼平(3年・シーガル広島JY)をピッチヘ解き放つ勝負の采配を。58分は関東第一のチャンス。尻上がりにパフォーマンスの上がった山脇樺織(2年・東急SレイエスFC)が右から中へ付け、小関のヒールパスを佐藤が打ったミドルは枠を越えましたが、序盤こそミスの目立った1年生を「心と頭で持ち直したんだと思います」と評価したのは小野監督。いよいよゲームは残り10分とアディショナルタイムへ。
60分の関東第一は村井のドリブルで手にした左CK。佐藤のキックは少し大きく、そのままゴールキックに。61分も関東第一のセットプレー。左から小野が蹴った長いFKがこぼれ、小関が果敢にトライしたミドルは枠の右へ。64分はまたも関東第一にビッグチャンス。嶋林が左へ回し、村井のクロスはファーでフリーの重田にドンピシャも、頭に当てたシュートは枠の右へ。「決めてくれれば一番良かったですけど、とりあえず失点はゼロで攻撃陣を信じていた」と小野。終盤に来て上回り始めた関東第一のパワー。
押し込まれる時間の増えた観音も、66分に4人目の交替。佐々木とルーキーの塩﨑仁(1年・広島ピジョンFC)を入れ替えて、攻撃のパワー向上に着手すると、67分にはその塩﨑が縦に運び、山口を経由して岡本が左から中へ折り返すと、走り込んだ安野のシュートはDFをかすめてわずかに枠を越えましたが、1年生がいきなり決定機を演出。67分と70分にいずれも右から山口が蹴ったCKはシュートまで持ち込めず。アディショナルタイムの掲示は3分。180秒のラストバトル。
試合を決めたのは「ずっと自分が試合中に外していて、決めなきゃヤバいなと思っていた」ナンバー10。70+1分、左サイドで村井が粘って残し、嶋林は躊躇なくクロス。これをニアサイドで収めた篠原は「ボールをもらう前に中を見たら、ディフェンスが俺を狙いに来ているのがわかったので」、ワンタッチで縦に持ち出してマーカーを無効化。「1つ外したら相手が付いてこれなかったので、ゴールを見たら空いていた」右スミへ左足で打ち込んだシュートは、豪快にゴールネットを揺らします。土壇場での先制弾に応援席も沸騰しますが、「『よっしゃ!』と思って、篠原の方に行こうと思ったら足攣ってて、『アレッ?』てなりました」と小野も笑ったように、ゴール直後の篠原は両足が攣って起き上がることができず、小久保佳吾(2年・FC町田ゼルビアJY)と交替。「嬉しいですけど、ゴールを決めても攣って交替はカッコ悪いですよね」と本人は苦笑していたものの、殊勲の先制ゴールはそのまま決勝ゴールに。「みんなが今日はタフに最後までやったから、勝利に繋がったと思っています」と小野も話した関東第一が、2年ぶりとなる全国ベスト8へ勝ち上がる結果となりました。


初戦に続いて劇的な勝利を収めた関東第一が、次のラウンドで対峙するのは市立船橋。前述したように一昨年も昨年も夏の全国で敗退を突き付けられた相手であり、3年連続で顔を合わせることになりました。大会前から「イチフナとやる機会があるので、そこは絶対倒したいと思います」と話した嶋林を筆頭に、準々決勝で対戦する可能性のある市立船橋は間違いなくチーム全体が意識してきた相手。今年のメンバーの中で去年のゲームに唯一出場していた篠原も「本当に何もまったくできなくて、力の差を見せ付けられた」1年前を思い出しながら、「今回は1つでも通用するところを見せて、全員で一丸となって勝ちたいと思います」と意気込めば、キャプテンの小野は「リベンジって気持ちがみんな強いと思うんですけど、個人的には中学で一緒だった吉田歩未って選手がいるんですけど、アイツとは全国の舞台でやれたらいいねという話をして、それが実現するのでバチバチやりたいです」とこちらも既に臨戦態勢。言うまでもなく過去2回の敗戦を知る小野監督は、「たぶん持っているものがあって、使えるものの大きさがあるとしたら、イチフナとやることで、使えるものを大きくする経験にはなると思うんです。去年のインターハイは持っているものを使えなかったけど、自分たちの骨格と価値観は明らかに大きくなったから、そこは全国に行かないと経験できない所かなと思うんですよね」という言葉に続けて、「一番良いのは持っているものを使って、それが自分のキャパの大きさをグンと突き破ることなんですけど、もしかしたら自分の箱が大きくなる経験かなと思うので、この相手とやりたいというのがあったんです」とのこと。「『2度あることは3度ある』じゃなくて『3度目の正直』にしたいですね」とまったく同じフレーズを口にした小野と篠原。楽しみなクォーターファイナルは2日。ひとめぼれ宮城スタジアムです。     土屋

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