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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2017年07月29日

インターハイ1回戦 山形中央×関東第一@めぐみ野B

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0729megumino.JPG今年は宮城開催となった真夏の祭典はあいにくの雨模様でスタート。2年連続11回目の全国となる山形中央と、3年連続で東京を制した関東第一の激突は、みやぎ生協めぐみ野サッカー場Bグラウンドです。
昨シーズンはインターハイ、選手権と共に全国切符を勝ち獲った上に、県リーグも制して圧巻の県内3冠を達成した山形中央。貝山龍平(3年・山形FC JY)や中川和彦(3年・モンテディオ山形JY村山)、工藤万尋(3年・山形FC JY)を筆頭に全国経験者も残った今シーズンは、東北新人戦で敗れたものの青森山田と好ゲームを演じると、初挑戦のプリンス東北で強豪相手に経験値を積み上げ、今大会の予選でも準決勝で羽黒を2-0、決勝で日大山形を2-1で撃破し、2年続けて夏の全国へ。昨年は夏も冬も揃って初戦敗退を突き付けられただけに、まずは1勝を引き寄せるべくファーストマッチへ挑みます。
2年連続で出場した夏の全国では、初戦で市立船橋にスコア以上の完敗を喫したものの、その強烈な経験を糧にあと一歩が届かなかった選手権の東京代表の座をとうとう獲得。開幕戦では野洲を倒して冬の全国1勝を手にするなど、新たな歴史を築いた昨シーズンの関東第一。迎えた今シーズンはまず関東大会予選を制すると、準々決勝から登場したインターハイ予選でも東海大高輪台、國學院久我山と続いた難敵相手の2試合に、いずれも池田健太(2年・VIVAIO船橋)の決勝ゴールで1-0と競り勝ち、3年連続でインターハイの全国切符を。「自分たちは全国で戦えるチームを目指している」という村井柊斗(3年・FC多摩)の言葉を証明するためにも、非常に大事な初戦の80分間へ向かいます。降り続く雨の勢いは、試合直前になってより一層強いものに。楽しみな1回戦は山形中央のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは2分の関東第一。左サイドから村井が放ったボレーは枠の左へ外れましたが、9番のアタッカーがダイナミックなフィニッシュを。山形中央も9分にはFKのチャンス。右から水戸颯汰(3年・天童第一中)が蹴ったキックは、中央で関東第一のボランチ長谷部竣(3年・JSC CHIBA)が大きくクリア。お互いに1つずつアタックを繰り出し合います。
11分は関東第一。篠崎源太(2年・大宮アルディージャJY)が蹴り込んだ左CKは、山形中央のGK舟山奏(1年・ながいユナイテッドFC)がパンチングで弾き出し、小野凌弥(3年・Wings U-15)が残したボールを再び篠崎がクロスに変えるも、DFがクリア。15分は山形中央。右から吉田誉(3年・モンテディオ山形JY)が入れた右CKはこぼれ、拾った村上湧野(2年・モンテディオ山形JY村山)のクロスにやや関東第一ディフェンスがもたつくも、最後はGKの北村海チディ(2年・GRANDE FC)が何とかキャッチ。双方がセットプレーで窺う両ゴール前。
「ちょっと攻め急いじゃった部分はあったかなと思う」と小野貴裕監督も振り返った関東第一の決定機は16分。ボランチの小関陽生(2年・町田JFC)が左へ振り分け、篠崎は絶妙のグラウンダークロス。ここに走り込んだ池田のスライディングシュートは、しかしクロスバーを越えてしまい先制とはいかず。思わずベンチのスタッフも揃って頭を抱えます。
すると、以降は山形中央にゲームリズムが。18分の右FK、20分の左CKと共に水戸が蹴り入れたボールは、共に北村がきっちり処理したものの、22分にも左サイドバックの安藤成希(2年・モンテディオ山形JY村山)がシンブルに裏へ蹴り込み、走った吉田が抜け出し掛けると、ここは「自分から思い切り行けば相手もビビると思うから、思い切りやりました」という北村が果敢に飛び出し、タックルで危機回避。26分にも大場璃葵(3年・モンテディオ山形JY村山)が狙った25m弱の直接FKはカベにヒット。さらに27分にも、水戸の左FKに大場が合わせたシュートは北村が何とか掻き出し、キャプテンの茂木春輝(3年・東村山郡山辺中)が詰めるも北村が再びセーブ。「後ろの選手でしっかりコミュニケーションが取れていなかったから、ラインコントロールがうまくできなかった」とは北村。押し込む山形王者。
小野監督の決断は30分。早くも1人目の交替として、10番を背負う篠原友哉(3年・府ロクJY)を投入し、前線の村井を右サイドハーフへ、右サイドハーフの重田快(3年・バンデリージャ横浜)を左サイドハーフへスライドさせて、全体のバランス向上へ着手すると、31分には重田のドリブルで奪った左CKを小関が蹴り込み、こぼれを叩いた嶋林昂生(3年・町田JFC)のミドルはDFをかすめてわずかに枠の上へ。35分にも小関、重田と繋ぎ、長谷部のミドルはゴール右へ外れましたが、「篠原を入れて、1回前半立て直せましたね」とは小野監督。ペースの行き来した前半はスコアレスで35分間が終了しました。


やや膠着した立ち上がりとなった後半の手数は、山形中央のフィニッシュから。42分に右サイドを上がった村上がクロスを上げ、ルーズボールに反応した中川のミドルはクロスバーの上へ外れましたが、先にシュートを打ち切ると、直後には関東第一に2人目の交替。池田に替えて、小久保佳吾(2年・FC町田ゼルビアJY)を最前線に送り込み、篠原をボランチに置きつつ、小関は右サイドハーフへ、村井が再び中央へスライドして、押し出したい全体の推進力。
46分は関東第一の好アタック。重田と篠原が2回ワンツーを交わし、篠原のラストパスに走った小久保はシュートまで持ち込めませんでしたが、スムーズなパスワークでフィニッシュの一歩手前まで。47分はセットプレー。左から小関が蹴ったCKに、センターバックの関口聖人(2年・フレンドリー)が飛び込むも、当てたヘディングはゴール右へ。関東第一も反発力を打ち出します。
やり合う両者。48分は山形中央。安藤のパスを受けた中川はドリブルで運んで折り返すと、ニアで合わせた茂木のシュートは北村がファインセーブで応酬。51分も山形中央。大場の右クロスから、吉田が当てたシュートは北村が必死に弾き、ファーで詰めていた中川のシュートはわずかに枠の左へ。52分は関東第一。長谷部からパスを引き出した村井のミドルはクロスバーの上へ。直後も関東第一。小関が右からカットインしながらスルーパスを通し、ゴールライン際から村井が折り返すも、小関は残し切れず。お互いに変えられないスコアボードの数字。
57分は関東第一に3人目の交替。村井とルーキーの佐藤誠也(1年・VIVAIO船橋)をスイッチさせ、再び篠原が高い位置へ。60分は山形中央に最初の交替。茂木を下げて、小嶋克哉(2年・新庄FC)をピッチへ送り込む勝負の一手を。この時間帯は「思ったよりセカンドボールの拾い方で背負うのがうまかったので、巻き込まれちゃうという感じだった」と小野監督も口にしたように、中盤でことごとくセカンドを回収していた山形中央ペース。66分にはビッグチャンス。左から中川が丁寧に入れたクロスに、ニアへ突っ込んだ大場のシュートは、ここも「常に『最悪なことを想定しろ』って言われていて、失点してもそんなに慌ててやることはないかなと思ったので、押し込まれていてもそんなにヤバいとは思っていなかったです」という北村が、この日4つ目のファインセーブで仁王立ち。残された時間はアディショナルタイムを合わせても5分あまり。最終盤。勝負の時間帯。
68分の主役は「時計を見て、30分を超えていたので、ここで取るしかないなと思っていた」という3年生。右サイドで時間を創った小関が後ろに戻し、山脇樺織(2年・東急SレイエスFC)のアーリークロスが中に入ると、「たまたま自分の前に来た」と口にする重田は、「1回トラップして打とうと思ったんですけど、ボールが高くて振れないなと思ったので」、1つ溜めてから左足でフィニッシュ。ボールはゴールネットへ吸い込まれます。「嬉しさが爆発しちゃって、応援席のメンバーもこの雨の中でずっと声を出してくれていたので、決めたら行ってあげようと思っていた」という重田は応援団の元へ一直線。PK戦目前の土壇場で関東第一が先制点をもぎ取りました。
得点が入るや否や、ボランチを長谷部から宮林庸太(2年・FCトリプレッタJY)にスイッチして、関東第一が取り掛かるゲームクローズ。山形中央も最後の力を振り絞って総攻撃。70+2分に吉田が投げ込んだ左ロングスローを貝山が収めるも、シュートには至らず。70+3分にも吉田の右ロングスローから、山口龍之介(2年・天童第二中)が粘って残すも、関東第一ディフェンスも粘って打たせず。70+4分にも右から吉田がCKを蹴り込み、DFのクリアを中川がダイレクトで叩いたシュートが枠の左へ外れると、これがこのゲームのファイナルシュート。最後は「みんなで守り切ったという感じ」(重田)の関東第一がウノゼロ達成。2回戦へと駒を進める結果となりました。


MVP級の活躍を見せた北村のプレーは圧巻でした。ファインセーブの連発はわかりやすい好パフォーマンスですが、特筆すべきはキックの正確さと飛距離。「地面のことを考えて、スリッピーだからどういうパスを出した方がいいかとか、そういう所を意識しながらやりました」と本人も話したように、繋ぐ時と蹴り出す時の使い分けも正確。攻撃の起点としても確実に機能していた印象です。また、ロングボールやロングスローで押し込まれた終盤では昨年度の選手権で得た教訓も。「正智深谷のゲームは、自分が失点した後にあまり声を出せなくて、そこからどんどん押されちゃったので、そこで押されていても自分から声を出せるように意識してやりました」と北村。終盤の2失点でまさかの逆転負けを喫したゲームの再現を防いだ裏には、北村の"声"という影響もあったのは間違いありません。「次もゼロで押さえて、前が取ってくれるのを待つだけなので、一戦一戦全力で戦えるように頑張りたいです」という守護神の躍動が、2回戦の神村学園戦でも非常に楽しみです。       土屋

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